野党やマスコミの誤解を正す!
選挙が近づくと、共産党や民主党の一部などから、消費税に頼らなくても社会保障は維持できるなどの根拠のない悪宣伝が繰り返されます。このブログで、その中でも代表的な3つの誤解について、具体的に数字を上げて考えてみました。
まず、大前提として社会保障にどの位の費用がかかっているかを確認しなくてはなりません。少子高齢化が進み、税金や保険料を納める現役世代の人口が減る一方で、年金や医療、介護などの社会保障に充てる国の費用は、毎年1兆円規模で増えています。国の2014年の予算ベースでみると、年金に56兆円、医療に37兆円、介護や子育て支援に22.2兆円の費用がかかります。合計115.2兆円の必要予算の内、保険料などでまかなえる部分は約64.1兆円、残り31.1兆円は国の予算から支出されています。地方も11.9兆円負担しています。それ対して消費税8%による収入は、国と地方合わせて約22兆円です。この数字をしっかり捉えなくてはなりません。
誤解-1 「社会保障の財源を確保するために、公共事業予算や防衛費を削れ」という主張。
15年度の公共事業費は約6兆円、防衛費は約5兆円です。合計でも11兆円。仮に、これらを全部削って社会保障費に回しても、消費税収入の半分程度にしかなりません。公共事業費のうち、防災、減災など国民の生命や財産を守る予算を大幅に削ることは出来ません。北東アジアの緊張が高まり、イスラム過剰派のテロの脅威が増大しています。その中で防衛費を削減することは現実的ではありません。
誤解-2 「大企業の法人税や金持ちへの課税を強化すれば社会保障費は賄える」
例えば消費税を5%から10%に引上げる増税分を、すべて法人税で賄おうとすれば、法人税は現行の2倍以上になり、日本企業の国際競争力の低下を招きます。国際化した企業の本社機能の海外移転を止められなくなります。結果的には雇用の減少などが起り、日本の産業は空洞化してしまいます。
同様に所得税では所得税率が2倍近くに跳ね上がり、現役世代の生活を直撃します。課税を免れるため、富裕層の海外逃避が加速。結果的にGDPの3分の1を支える個人消費に大きな影響を与えます。
誤解-3 「消費税が公共工事などの目的に使われている」
平成12年8月に成立した「税制抜本改革法」をみてみると、消費税は年金、医療・介護、少子化対策だけに充てることが明記されています。消費税は社会保障以外の目的には使えないのです。
こうした政治や行政に関わる者にとって最低限知っていなければならない常識を無視して、「公共事業予算や防衛費を削れば、消費税を上げる必要はない」などと、主張することは誤解ではなく、国民を惑わす「うそ」とした言いようがありません。