解散総選挙に踏み切った理由について、高市早苗首相は、「国論を二分するような大胆な政策、改革にも、批判を恐れることなく果敢に挑戦していくためには、どうしても国民の皆様の信任が必要だ」と説明しました。この言葉からは、強い覚悟と決意が感じられます。
しかし、冷静に見つめてみると、この「国論を二分するような大胆な政策、改革」とは、具体的に何を指しているのかが、選挙戦の終盤に至っても、十分に語られていません。国民生活に直結する物価高対策や社会保障、防災・減災、地域経済の再生といった課題について、明確な改革の全体像が示されているとは言い難い状況です。
こうした中で、大きな注目を集めたのが、2月4日、大阪市内で行われた自民党の応援演説での麻生太郎副総裁の発言です。麻生副総裁は、日本の防衛について「やられたらやり返す」という露骨な表現で語りました。
一見すると、この言葉は「国を守るための強い決意」や「抑止力の象徴」のようにも聞こえます。しかし、その中身を丁寧に読み解いていくと、日本がこれまで大切にしてきた平和主義や民主主義の土台を揺るがしかねない、極めて重い意味を含んでいることが分かります。
麻生氏は演説の中で、アメリカの影響力低下や国際情勢の不安定化を背景に、「これからは日本が自分で自分を守らなければならない」と訴えました。そして、防衛費をGDP比2%まで引き上げること、非核三原則の見直し核抑止力の議論、さらには憲法改正にも踏み込む必要性を語りました。
その上で示されたのが、「高めた防衛力を、いざとなれば使う覚悟」と、「やられたらやり返す」という姿勢です。さらに、「やられたらやり返す」という国民的合意と、それを率いる強いリーダーの存在が重要だとまで踏み込んでいます。
つまり、この「やられたらやり返す」という言葉は、単なる防衛の話ではありません。相手の攻撃に対して報復することを前提とし、場合によっては先制的・過剰な対応も辞さないという、極めて軍事的な発想を含んでいます。「日本を戦争が出来る国に変える」という強い意志が感じられます。
ここで私たちは、改めて立ち止まって考える必要があります。日本はこれまで、「専守防衛」と「戦争放棄」を基本に、武力の行使を極力抑制しながら国の安全を守ってきました。その背景には、「力には力で対抗する」という発想が、際限のない緊張と対立を生むという歴史の教訓があります。
「やられたらやり返す」という考え方が社会に広がれば、どうなるでしょうか。相手も同じ論理で構えます。結果として、疑心暗鬼と軍拡競争が続き、偶発的な衝突が大きな戦争へと発展する危険性が高まっていきます。
日本はかつて、軍部の判断が政治を凌駕し、国民の意思が十分に反映されないまま戦争へと突き進んだ苦い歴史を経験しました。その反省の上に築かれてきたのが、現在の平和憲法であり文民統制の考え方です。
「やられたらやり返す」という言葉は、その積み重ねを軽視しかねない危うさをはらんでいます。
もし、高市首相が語る「国論を二分する大胆な改革」の正体が、こうした安全保障政策の大転換にあるのだとすれば、政府はなおさら、その内容を正面から国民に示し、十分な説明と議論を尽くす責任があります。曖昧な言葉で信任だけを求める姿勢は、民主主義のあり方として決して望ましいものではありません。
一方で、こうした強硬路線とは異なる道を示しているのが、中道改革連合(中道)です。中道は、非核三原則の堅持と憲法尊重を基本に、必要な防衛力の整備と、徹底した文民統制の両立を重視しています。
武力による威圧ではなく、対話と外交、国際協調を通じて緊張を管理し、平和を築いていく。その姿勢は、「やられたらやり返す」という対立の連鎖とは一線を画するものです。必要な備えは怠らず、しかし使い方は慎重に、民主的な手続きを通じて判断する。このバランスこそが、これからの日本に求められる安全保障の姿ではないでしょうか。
今回の選挙は、単なる政権選択ではありません。日本が「力の論理」に傾いていくのか、それとも理性と対話を重んじる道を選ぶのか、その進路が問われる重要な選択の場です。
私たちの未来を、一部の政治家の強硬な思想に委ねるのではなく、平和と民主主義を大切にする政治を選び取ることが、今こそ求められています。その意思を示すためにも、今回の総選挙では、中道改革連合への一票を通じて、平和と理性の政治を後押ししていきたいと思います。
この選挙で、私たち一人ひとりが、次の世代に誇れる日本の姿を選び取っていきたいと思います。
麻生太郎副総裁の発言の書き起こし(2026/2/4 大阪市内)
70年前、少なくとも北朝鮮からミサイルが飛んでくるなんて心配をする必要はなかった。
また、台湾海峡で中国の船がいっぱい出てきて、そこで日本の船が通れないなんていうこともなかった。
もし仮にそういうことがあったとしても、それはアメリカがそれを全部取り払ってくれたのです。
しかし、今はアメリカにはその力はありません。 我々は世界の警察官をやる力はもうない。アメリカははっきりそう言っています。
そういう具合になってきたら、自分のことは全然守らないやって当たり前ですよ。
それで我々は間違いなく防衛費を増やすということをやる。
安倍内閣、岸田内閣、それで高市時代、覚悟して出てきます。
少なくとも国民総生産の1%を防衛費に当てる時の倍の2%としまして、防衛3原則も核抑止まで取り付いて、大体これ改憲もさせていただくと間違いなく強くなるようになってくる。
しかし、防衛力を高めるだけではダメなんです。
防衛力を高めたその高めた防衛力を使う。いざとなったら使うという国民的合意がいる。その国民的合意の先頭に立って戦うというリーダーが出てきて、初めて防衛力というのは高まるじゃないか、2つあればいいんじゃないか。
日本は今もう2つできることあるんじゃないかと思うんですが、違います。 もう1点あります。
それは、うちはやられたらやり返すよ、やり返ってきたのもあるけど、超えてそれをやるという国民的合意も、それを引っ張るリーダーも揃ったということを北朝鮮に知らせて、それで初めて抑止力といって、この3つが揃うその前提は何といっても自由民主党しかありません。
やっぱり。そういう意味で、今回の総選挙では私どもは何がなんでもこの機会を生かすと、極めて厳しいという国際情勢の中にあって、日本の立ち位置をはっきりさせるという志の高い人たちと圧勝を期待して、今回極めて1年 3ヶ月という短い期間ではありましたけれども、解散総選挙に踏み切らせていただいて、今、おかげさまで全体として流れはいい(以下略)
