以下のページは、Mainichi Communications Inc.が発行しておりました「ウィンドウズ・インターネット第3号」に掲載された内容を、同誌のオンライン版より転載させていただいております。
「ウィンドウズ・インターネット」誌は、現在休刊となっており、オンライン版も、毎日コミュニケーションズのホームページ上からも削除されております。
このページは、福冨忠和氏の本文と井手県議のアンケートの回答を掲載いたしました。
ご意見、ご質問等はWeb管理者の井手までよろしくお願いいたします。
ネットワークデモクラシー!?
インターネットは政治を変えるか?
《ご質問事項》
1)インターネットのホームページを公開していますか? 党、議員個人、後援会など、ど のレベルでもかまいません。もし公開している場合は、そのURLを教えてください。
2)選挙公示以前に電子メールなどインターネットやパソコン通信を活用した政治活動を行っていましたか。もし行っていれば、その具体的な内容について教えてください。
3)選挙公示後と公示前ではホームページの内容に変更がありましたか? もしありましたら、その具体的な箇所と理由について教えてください。
4)インターネットやパソコン通信を利用した選挙活動、政治活動などについてご持論や政策、そのほかのご意見がありましたら、お聞かせください(党レベルでも個人レベルでもかまいません)。
5)ネットワークデモクラシーという言葉について定義してください。
6)電子ネットワークを利用した国民の政治参加や、直接民主制の可能性について、是非を含めたご意見をお聞 かせください。
7)以下の項目につきまして、ご意見がおありでしたらお答えください。
①電子ネットワークを利用した在外者投票について
②アセアン諸国をはじめとして、インターネットの送受信内容に関する政治的な規制が進行していることにつ いて
②インターネットなどの電子ネットワークが国家や社会に及ぼす影響について
8)その他、特にご意見がありましたら、お書きください。
1)HP名称:ホットラインfromひたち http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/index.htm
2)県議会議員のため、今回の選挙には直接関係がない。政治活動にHPは大いに活用するが、選挙活動にHPを使う考えは全くない。あくまでも、HPは議員の情報公開のツールであり、宣伝の媒体ではないと思う。
3)いっさい変更はない。ただし、総選挙の焦点となった「消費税」に関しては、特集のページをアップした。現在50通以上のmailをいただき、消費税の引き上げについて様々な方と論戦? を交わしている。 http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/syo_presen.htm
4)公職選挙法とインターネット情報についての私見(1996/4発表)
インターネット利用が、政治の世界でも急ピッチで進んでいる。私のようにホームページを持って、意見や情報の発信をしている議員も多い。政党のホームページが次々と公開されている。
しかし、公職選挙法との関連で大きな課題があることを見逃してはならない。わが国の公選法が、インターネットを選挙運動に利用することを禁止しているためだ。公選法142条は、選挙運動に利用できる「文書図画」としてポスターやハガキ、ビラ、選挙広報などを列挙し、それ以外を禁止している。
自治省選挙課は「選挙期間中であるかどうかに関わらず、インターネットで選挙運動や立候補予定者のPRはできない」という公式見解にたっている。
新聞や政党機関誌など定期刊行物なら可能な公認候補の紹介も「ホームページは定期刊行物ではないので、法律違反の可能性がある」ともいわれている。
その反面、「政治活動にインターネットを使うのなら、選挙期間中でも問題ない」という自治省の見解もある。
どこまでが政治活動で、どこまでが選挙運動なのか、厳密に区分けするのは容易ではない。自治省は、明確なガイドラインを示す必要がある。
さて、諸外国の状況はいかがなものであろうか。
わが国で禁止されているインターネットを利用した選挙運動は、海外主要国では原則自由で規制は見られない。
アメリカでは、11月の大統領選に向け各陣営が盛んにホームページを利用。「史上初のインターネット選挙」といわれるほどの過熱ぶりだ。
イギリスでは、野党の自民党がマルチメディア利用に最も熱心であり、パディ・アッシュダウン党首自身が、市民との電子メール交信に励んでいるといわれている。
ドイツも、3月の州議会選挙で選挙運動に利用され、各政党がホームページを開設している。同じく、3月に総選挙があったオーストラリアでは各党がホームページで火花を散らした。このように、インターネットを利用した選挙運動は、何の規制も加えない、自由が大原則なのである。
私は、日本でもこの原則を定着させるべきだと主張する。
従来の選挙運動に利用できる「文書図画」、つまりポスターやハガキ、ビラ、選挙広報は、その情報を必要としない人にも送りつけられる可能性がある。テレビやラジオ、新聞等のマスコミも同じ性質がある。こうしたメディアは、公選法での規制の枠がはめられてもいたしかたないと感じる。
しかし、インターネットというメディアは、その情報を得る人は積極的、能動的アクションを起こして、初めてその情報が得られるわけである。インターネット上の情報は、ほしい人が、ほしい時にアクセスしてくるのである。こうした、インターネットの本質を無視した、規制論には大きな矛盾を感ずるのである。
日本でもホームページ上の活発な政策論争を期待するものである。
5)ネットワークデモクラシーという特別なものがあるとの感覚は持ち合わせていない。政治家にとって自らの主張を、有権者に伝えることは、権利と言うよりも義務である。政治家が自らの職能で得られた情報を独占することは許されない。その情報の所有者は、本来国民(県民)であるはずだから、あらゆる媒体を使ってその情報を公開する義務が発生すると考えている。そしてその媒体のうち、私にとって、最も有効な媒体がインターネットであったと言うことだ。
6)電子投票のような電子ネットワークを利用した政治参加への道は今後検討されるかもしれないが、当面は無理があると思う。
7)
①電子ネットワークを利用した在外者投票について
電子投票が最初に利用されるとしたならば、外国在住者の投票であると思う。電子マネーの技術を応用した本人確認のシステムが一般化すれば、いち早く実用化されると思う。しかし、公職選挙法の改正などの環境整備の方が時間がかかるかもしれない。
8)私は、地方議員では数少ないHPを開設している県議会議員です。一昨年の12月に初当選した一年生議員ですが、地域での情報基盤整備に全力投球をしています。
私が、インターネットを中核とする地域情報システム整備の重要性を強く訴える理由は、以下の5点に要約される。
その第1は、情報公開の推進である。
地方における民主主義とは、住民のより多くが納得できる行政を進めることである。そして、その前提条件として、住民ひとり一人に充分な情報の提供がなされていることが不可欠である。
しかし、その地域の情報は、あまねく住民に知らされているであろうか?
いわゆるマスコミの発する情報は、国民の大多数に普遍的な内容に偏っている(偏っているという表現は不適切かもしれないが)。国際状況や、国会の審議の内容は、新聞の一面を飾り、テレビのニュースで広く紹介されるが、我が町内の下水道の改修計画を教えてくれるメディアはまずないだろう。新聞の地方版は、多くて2ページ、通常は1ページである。よく漫才のネタにされるが、犬が人に噛みついても記事に取り上げられることはなく、人が犬に噛みつくような非日常的な記事しか掲載されないのである。地域に住む住民にとって、当たり前の情報を知らせてくれる機会は余りにも少ない。
そういった意味では、地方行政にあっては、その情報公開の度合いはここ50年来余り変わっていないといっても過言ではないだろう。
地域のローカル紙や県域ラジオ・県域テレビ・ケーブルテレビにその役割を求める声があった。特に、県域テレビの可能性を主張する方も多い。現に、私も県会議員選挙に立候補するときの公約に、県域テレビの実現を考えたこともあった。
しかし、冷静になって考えてみると、県域テレビやケーブルテレビが一日に流す報道番組の時間はどのくらいの長さになるであろうか? ケーブルテレビの多チャンネル形式は別として、最大でも5時間程度であろう。その中で、知りたい情報を全て流すことができるであろうか。
また、最大の悩みがある。地域の問題は、ある地域の人には生計をも左右する重要問題であるが、その他大勢の人にとっては、全く価値のない話題なのである。
先ほどの下水工事のニュースなど隣の町内の人にはまず関心がない問題である。そうなれば、たとえ県域テレビ、ケーブルテレビといっても取材し、報道するニュース価値は余りにも低いものになってしまう。
その上、そんな小さな情報、または専門的で個人的な情報を報道されても、受け手である住民も困るのである。
オン・デマンド(ON DEMAND)という言葉があるが、このての情報は、まさにオン・デマンド「必要な人が、必要な時に、自由に入手できる情報」でなくてわならない。この意味で、インターネットはまさにオン・デマンドを実現する媒体である。Aさんの母親が突然倒れ、在宅の福祉サービスを受けたいとする。家庭で、役所の窓口で、プライベートに使用しては上司に注意されるかもしれないが、職場のパソコンで、サーチエンジンに「在宅福祉」と入力する。自分が住む町の名前も合わせて入力しよう。すると、在宅福祉サービスのメニューが表示される。「昼食の配達サービス」の項目を選び、クリックする。曜日や、内容を選択し、登録をする。もちろんパソコン上で、サービスの申し込みを市役所にすることができる。しばらくすると、電子メールが市役所から届く。「何月何日から昼食の宅配サービスを開始します」。といった具合である。
この二つの例は夢物語ではない。少なくても、ここ10年で構築しなくてはならないシステムである。
いつでも、誰でも、どのような情報でも、引き出せてこそ、真の情報公開である。 官僚や行政担当者、そして一部の議員が情報を独占する時代は代えなくてはならない。地方自治体の情報開示の方策としての、インターネット活用システムを作ることにより、真の地方民主主義、地方分権を育てることができる思う。
その第2点は、行政改革の推進である。
インターネットとイントラネットの項で述べたように、イントラネットをインターネット対応で整備することのメリットは多い。ここでは、行政改革の立場からそれを検証してみたい。
まず、縦割り行政の弊害を是正することができるという利点がある。
現在、茨城県では、いくつものデータベースが各部署毎に稼働している。衛生部の管轄では、健康科学センターが健康データベースや統計案内データベース。福祉部は、福祉施設データベースやボランティアデータベース・福祉制度データベースを福祉情報センターが統括している。農業総合センターでは、文献・統計・気象情報のデータベースを有している。
工業技術は、工業技術センターのデータベースに蓄えられ、生涯学習センターでは、生涯学習ボランティアの情報が集められている。
こうしたデータベースを一カ所で検索することは、現状では県庁内でもできない。その操作方法も、一つづつ違い、全てのデータベースを操作することができる職員は果たしているだろうか。
一つの端末から全ての情報が得られるメリット、統一された操作環境から得られるメリット。こうしたメリットは縦割り行政の敷居を次第に低くしていくのである。行政改革に果たす役割の2つ目は、その投資額の低さである。
専用のLANを構築することなくネットワークを構成できるイントラネットは、投資額が飛躍的に少ないといわれている。昨年来、話題となっているウィンドウズ95対応のパソコンであれば、電話回線を利用すればモデムを接続するだけで、ほとんど追加投資なしで端末機としては活用できる。ネットワークを整備する費用が大幅に圧縮できるのである。
更に、インターネット対応型イントラネットには大きなメリットがある。それは、設備を漸進的に整備できるという事である。専用LANの環境では、原則的にその設備は一挙に立ち上げる必要がある。こうしたシステムを全庁的に整備するとするならば、その投資額は莫大なものになろう。しかし、インターネット対応システムの場合は、できたところから、少しずつ進めていけばよいのである。WWWという統一方式で運用されたシステムであるから、その基本さえ忠実に再現していけば、臨機応変にシステムの拡張が可能となる。 現状の各部署毎のシステムは約5年周期で更新されている。したがって、各システムが更新時期に至ったときに、インターネット対応型に改変すればよい、単年度主義の自治体にとって、このメリットは大きいのである。
こうした、メリットにより行政改革の切り札としてのインターネットシステムの導入は是非とも実現させなくてはならない。
インターネットを中核とする地域情報基盤整備の第3の目的は、新たな産業基盤の創出である。
県が有する既存の情報ネットワーク上のデータを、より多くの県内企業が利用できるようにすることで、技術力、経営ノウハウ、人材紹介などの支援が可能となる。
また、県内企業の優れた商品、技術などを全世界に紹介するとができる。反対に、全世界からの情報を容易に入手することができるようになる。
様々な行政官庁への許認可申請や報告資料提出などをインターネット上で可能とすれば、民間企業の事務効率を飛躍的に向上させることになる。
また、こうした間接的なメッリトとともに、これから大いに発展が期待されるインターネット関連のプロバイダー事業者・ソフト業者への直接的なメリットも大きい。
とにかく著しい国際化の波は、規制緩和の大きな追い風を受けて茨城の地域経済に打ち寄せるであろうことは確実である。アメリカのメーカーが、EUの国の設計の商品を、中国の原材料を使って、製品を東南アジアで作り、最終的に茨城で販売する。といった国際的分業は日常茶飯事となる。
逆をいうなら、東京という今までの一極集中の都会から離れた地域であっても、世界という視野から見るならば、デジタル化された情報の距離で見るならば、世界の中心となっても何ら不思議ではない時代の到来である。
第4は、次代を担う青少年の教育に関する必要性である。
インターネットは、瞬時にして全世界の情報に接することができる。もし、子どもたちがその情報に触れれば、より深く、広い情報を自らの手で収集できる感激を知ることとなる。
まさに、教室は世界の窓口となるわけである。
更に、そうした情報の多くは英語を使ってやりとりされる。生きた英語教育がそこでは行われるだろう。インターネットでは、チャットと呼ばれる即時性のある電子メールのやりとりも可能である。
「こんにちは、日本の茨城県から発信しています」と、送信すれば、相手は「今晩は、ここアメリカのコロラド州では、深夜1時です」と返信してくる。こうした会話を楽しむこともできる。もちろん、英語で行われるわけであるが。更に、インターネットテレフォンは、インターネットを介しての音声電話や、テレビ画像電話をも可能にしようとしている(もちろん国際電話のような料金は必要としない、インターネットの接続のための市内通話料金とプロバイダー費用だけで通話できる)。英語の専任教師を教室に迎えることになる。
インターネットは、遠隔地の授業にも役立つであろうし、その双方向性は、教室から全世界に情報を発信することもできるようにする。
教室で拾得するであろう、インターネットに使用する言語(HTML言語)は、パソコンの機種に依存しない、インターネット対応型データベースが世界標準となれば、学校での授業の成果が、そのまま社会で通用する。学校で使っていたワープロが、社会に出たら全く役立たないといった時間と習得の労力の無駄遣いは限りなく解消されるであろう。
まさに、インターネットは青少年の世界への眼を広げる大きな武器となるに違いない。
そして、第5のポイントは、地域コミュニケーションのツールとしての活用である。
インターネットの優れた特性に、誰もが簡単に情報の発信者となれるということが挙げられる。
私は、あくまでも自分の住む郷土茨城、その中でも日立という地域にこだわっての情報をインターネットを使って発信しはじめた。日立に新しくできたインターネット接続業者(プロバイダー)と契約をし、「井手よしひろのホームページ」を開設したのだ。そのURL(インターネット上の住所にあたるもの)は「http://www/jsdi.or.jp/y~ide/index.htm」。これを入力すれば、全世界から私のホームページにアクセスできる。
このホームページを作るためのことばが「HTML」と呼ばれる。作り方は、そんなに難しくはない、ゴールデンウィークを挟んだ一週間で全くゼロの状態から、本を読みながらホームページを開設することができた。まさに、家庭から全世界への窓口を開くことができたのである。
永年こつこつと調べ上げた郷土史の研究を発表するホームページを作る人もいるであろう。趣味の短歌や和歌を全世界に紹介することもできる。ボランティアの情報も載せられる。就職活動もすでに個人のホームページ上で行っている学生もあると聞く。高齢社会の中で自分史の作成が静かなブームと聞く。せっかくの自分史である、インターネット上で発表してみたらどうだろうか。出版の費用は、ずっと少なくて済むし、ずっと多くの人に読んでもらえるかもしれない。
町内会の回覧板も変わるかもしれない、生活リズムの多様化から隣近所ともなかなか意志の疎通ができない場合も多い。回覧板が、電子メール化されれば、一瞬にして水戸市全体であろうとも、茨城全県であろうとも、大事な情報をもれなく伝えることが可能となる。
インターネットは、その誕生当初から、情報を流す人の実名が明示されてきたという特徴がある。新聞でのペンネーム、匿名記事や、パソコン通信でのハンドルネームでのやりとり、といったものは原則あり得ないのである。こうした、実名主義は、地域のネットワーク形成において、その責任を明確にし、健全なコミュニケーションづくりに貢献すると確信する。
インターネットは、まさに高度情報時代に対応した地域のコミュニケーションツールである。インターネットを中心に、新たな地域コミュニティーづくりが始まる可能性は高い。
また、非常時の利用も先の阪神大震災のその有効性が実証された。そもそも、インターネットの誕生の歴史を見ると、戦争という非常事態で、ある情報のラインが途絶しても、情報の流れを止めないですむシステムとして考案され、発展してきた経緯がある。
地震等の巨大災害に対して、被災者の状況や避難場所の紹介、緊急物資の状況等、時々刻々と情報を送ることができる非常時のコミュニケーション方法としても不可欠な存在である。
●井手よしひろの具体的提案
インターネットの活用のメリットを「情報公開」「行政改革」「産業振興」「教育振興」「新たなコミュニケーションツール」の5つのポイントから概観してきた。茨城県の地域情報基盤整備の基本は、インターネットを中核においた県並びに関連機関、そして市町村のイントラネットの整備であることを、理解していただけると思う。
それでは、その整備をどのように進めるべきか、以下8点にわたり、具体的な提案をさせていただきたい。
提案その1:県民が等しくインターネットにアクセスできるよう、一刻も早く公共のプロバイダーを設立すること。
本年3月に、県が委嘱した「茨城インターネット研究会」の提言がまとめられた。これによると、県民が、安価で定額のアクセス料で、県内どこからでもアクセスできるインターネット網の整備が提案されている。そしてその母体として、「茨城県高度情報推進協議会(仮称)」の設立を求めている。具体的には、
1.サービスの早期開始
2.接続形態としては、専用線によるIP接続、電話線やISDNによるダイアルアップ接続
3.電子メール、ネットニューズ、FTP、Telnet、WWWによるインターネットの基本的サービスの提供。
4.ホームページ提供サービスの検討
5.ネットワークの保守・運用・共用サーバーの設置されるネットワークオペレーションセンターの開設。
6.アクセスポイントを県内全てのMA(市外局番毎)に設置し、均一料金の実現。
以上の6点にまとめられる。この提言には、個人的に全面的に賛成であり、速やかな実現を強く望むものである。
この提言を踏まえて、更に必要であろうと思われる内容を追加提案すると、
1.サービス開始は、本年(1996年中)中の開始をめざす。
2.接続料金は、年間15,000円程度の安価なものとして、固定料金制とする。
なお、アナログでもデジタルでも料金に差をつけない。(県外居住者の加入には料金格差もやむをえない)
3.アクセスポイントに、東京を含める。これによって、県東京事務所などとのイントラネット形成が容易となり、また都内勤務の県民の便宜性、茨城出身都民の便宜性が高まる。また、携帯端末によるインターネットの接続の可能性を確保することができるためである。
4.インターネットプロバイダーには、個人・グループのホームページを作成できる よう、WWW用のハードディスク空間を貸し出すサービスを行うこと(ホームページ作成サービス、その容量は最低でも5Mを確保し、希望によって更に拡大できるシステムとする)。
5.プロバイダーへの登録、WWWによる個人のホームページ開設は、実名主義とし、これをもって健全なコミュニケーションの場としてインターネットを育て、公序良俗に反するようなWWWの掲載に抑止をかけること。
提案その2:県及び県関連のデータベースをイントラネットの発想を充分活かし、2001年までに再構築すること。
既存の県関連のデータベースは、企画部関連で「茨城県インターネット情報サービス」。 衛生部が、「茨城県保健情報システム」(茨城県健康科学センター)。福祉部、「茨城県福祉情報システム」(茨城県福祉情報センター)。 農林水産部、「茨城県農業技術情報ネットワークシステム」(茨城県農業技術情報センター)商工労働部、「茨城テクノインテリジェンスシステム」(茨城県工業技術センター)と「中小企業情報システム」(茨城県中小企業情報センター)教育庁関連では、「茨城県生涯学習情報提供システム」(水戸生涯学習センター)等が現在稼働している。いずれも独自に運営されており、操作性も統一されていないのは先に述べたとおりである。
概ねいずれのシステムも、5年を目処に更新されており、順次インターネット対応にシステムを更新する必要がある。
本年度は、「茨城県福祉情報システム」(茨城県福祉情報センター)と「茨城テクノインテリジェンスシステム」(茨城県工業技術センター)が更新期を迎えており、新しい情報発信の形態を目指しての更新作業が望まれる。
さらに、今後整備が計画されている新規の県民情報サービスも、この思想を徹底して行くべきである。
例えば、行政データ共通利用システム(総務部)、消費者行政苦情情報システム(生活環境部)、交通死亡事故総合分析システム(生活環境部)、防災情報システム(生活環境部)、原子力防災安全システム(生活環境部)、医療機関情報システム(衛生部)、県立図書館情報システム(教育庁)など。 またすでに、インターネットを活用して情報発信を開始しているシステムに関しても充実を図る必要がある。
例えば、県立医療大学(Ibaraki Prefectural University of Health Science’s Home Page:衛生部、すでに稼働中のシステムの充実)、観光情報提供システム(商工労働部、茨城インターネット情報サービスの中で運用中、充実拡大)。
提案その3:県民への情報公開をインターネットを活用し更に推進すること。
県民に広く行政情報を公開するために、次のようなデータベースサービスも検討すべきである。
1. 県からのメッセージ・県民の声データベースシステム(県からの広報、県報、プレスリリースのオンライン化 、県民からの提案・陳情・相談等のデータベース化)
2. 統計情報公開システム(県の所管する統計情報をオンラインで広く県民に提供するシステム)。
3.監査情報提供システム(県並びに関連機関の監査情報のデータベースシステム)。
4.博物館・美術館情報システム(県並びに公営の博物館・美術館の所蔵品、企画展等の情報サービス)。
5.入札情報公開システム(県並びに関係機関の入札に関わる全ての情報をオンラインで公開する)。
6.県民情報公開オンラインシステム(現在県民情報センターで行われている県民への情報公開をオンライン化する)。
提案その4:茨城県議会のホームページを早急に開設し、議会情報の発信を行うこと。
茨城県議会のホームページを早急に開設し、順次以下の内容を含む総合的議会情報のデータベースを構築する(整備完成を平成10年度程度とする)。
1.県議会の議案書並びに報告書等のデータベース化。
2.県議会の本会議議事録、委員会議事録のデータベース化。
3.本会議・委員会の議員の出席状況の県民への公開。
4.議員の資産公開情報の県民への公開。
提案その5:3年以内に、県内小中高等学校へのインターネット導入を実現すること。
情報ハイウェー構想で再選をねらう、クリントン大統領は、1月の一般教書演説で「2000年までに全米の各教室にインターネットを接続する」と発表している。先に述べたように、教室でのインターネットの活用は様々な可能性を秘めている。
茨城県においては、平成6年度より、6カ年計画で、「第3次教育用コンピュータ整備計画」がスタートした。この事業により、県立普通校には、一校当たり42台、一人一台のパソコンが整備されることとなる。昨年秋の一般質問でも、こうした設備更新期にインターネットへの接続を提案したところではあるが、前向きの答弁を得るには至っていない。
将来的には、全ての学校に一人一台で操作できるインターネット対応のパソコンを整備することが必要であるが、その投資額は莫大なものになると試算される。
したがって、当面は一学校あたり一回線のインターネット接続を、実現することを提案する。 そのための具体的方策としては、
1.先に提案した公共プロバイダーが、小中高等学校一校あたり一回線、インターネット接続料を無料提供する。
2.教育研修センター内にインターネット支援設備を充実させる。
3.教員のインターネット研修を行う。
4.各学校のホームページを作成するための、スクールインターネットボランティアを組織化する。
5.公立の小中学校がインターネット接続を行う場合の県費補助を創設する。
こうした施策を緊急に計画・実施する必要性を力説するのもである。
提案その6:新県庁舎の庁内情報システムは、イントラネットの発想を充分検討し、設備投資の圧縮や操作性の統一化、簡略化を図ること。
今、平成11年の新県庁舎の完成に合わせて、新たな庁内ネットワークシステムの整備に全力を挙げることが必要である。
その整備手法は、一つの端末から全ての情報が、同じ手順で呼び出すことができる方式とすべきである。
さらに、電子メールシステムや電子決済システムを採用し、行政事務の簡素化、経費の削減に最大限の眼目を於くべきである。
提案その7:インターネット、イントラネットのセキュリティーの確保について充分な研究を積み重ねること。
わが国のパソコン通信ネットワークの草分け的存在の「コアラ」から発展したインターネットへの接続サービス「ニューコアラ」(事務局・大分市、会員数約4000人)でホストコンピューターのシステム管理データが壊れ、システムファイル中のインターネット会員約2000人分のパスワードや個人データが消滅するという事件が4月12日起こった。事務局は「故障とは考えられず、悪質な侵入者(ハッカー)によるもの」とみている。「最悪の場合は、個人情報が盗まれ、プライベートな情報が悪用される可能性もある」とし、会員にパソコン通信の画面上で注意を呼びかけ、直ちに会員のパスワードを再登録、速達で発送した。あくる13日には回復した事故ではあったが、インターネットの社会で起こる事故の恐ろしさを垣間見せてくれた。
県庁内・関係機関の内部情報は、個人のプライバシーに関するものや、様々な業務の進行に不可欠な重要な情報が多い。こうした情報が、インターネットから不法に引き出されたり、いわゆるハッカーの進入によりデータやプログラム自体が破壊される危険性がある。また、コンピュータウィルスの感染の問題も深刻な課題である。
このように情報のセキュリティーを確保すること、外部情報(インターネット情報)と内部情報(イントラネット情報)の間のファイアーウォールを堅固にする研究を進めなくてはならない。
提案その8:市町村の情報システム整備に関して、その指導ならびに補助金制度を創設すること。
公共のインターネット情報システムは、地方自治体のもっとも身近な単位である市町村へのネットワーク無しには完結しない。
市町村の情報システムへの啓蒙、指導体制の強化。人材育成の機関充実。設備補助金制度の創設が是非とも必要である。
また、先導的政策として、県の情報ネットワークの端末を積極的に市役所・町村役場や支所、公民館などに配置し、県内全地域から良質で均一なサービスができるよう配慮することも必要である。
Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51659499.html
Windows internet 12月号に掲載「インターネットは政治を変えるか」井手よしひろのアンケートの回答文
http://blog.hitachi-net.jp/archives/51659500.html
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毎日コミュニケーションズ「ウィンドウズ・インターネット第3号」より転載
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