長寿医療制度への批判の中でも、保険料を公的年金から天引きすること(年金からの特別徴収)に対する批判は、特に強いものがあります。一般的には行政コストも下がり、お年寄りの手間も減らせると思うのですが、その感覚は非常にデリケートなものがあるようです。介護保険制度導入から始まった年金からの特別徴収は、長寿医療制度だけではなく、今後、国民健康保健の保険料や個人住民税の徴収にまで拡大されることになっています。
今年(2008年)10月から、65歳以上75歳未満の高齢者(前期高齢者)の国保保険料(国保税)が、年金から天引きされることになります。65歳以上75歳未満の高齢者が、年額18万以上の年金を受給している場合、世帯主の年金口座から国保加入の世帯全員が世帯主の年金から天引きされることになります。世帯の構成員によって特別徴収と普通徴収(直接徴収)の場合が混在することも起こります。
さらに、個人住民税についても65歳以上の公的年金受給者の場合、09年の10月から公的年金からの特別徴収が行われます。
住民税の徴収率の低下に頭を悩ます全国市長会や町村会などの3年間にわたる強い要望を受け、昨年12月の税制改革で決定された、この4月から改正地方税法が施行されました。個人住民税は、老人夫婦で夫の年金が200万円以下で妻が基礎年金だけの場合は、住民税はゼロになりますので、実際に特別徴収の対象となるのは65歳以上の公的年金受給者のうち、約2割強だと言われています。
これまでは、生活が大変だからといって、国保保険料(国保税)の納期を延ばしてもらったり、分納にしてもらうなど、市町村窓口で様々な相談にのってもらっていた方が大勢います。運用にあたっては、きめ細やかな対応が不可欠となります。