TPP参加の影響額は1481億円
11月16日、環太平洋連携協定(TPP)に関して、JA茨城県中央会は、橋本昌知事に対して、交渉参加反対の緊急要請を行いました。
この中で、JA県中央会は、関税撤廃など協定内容が実施された場合の本県農業への影響額について、農業産出額が2008年度比で35%、約1481億円が減少するとの試算を公表しました。
影響額は、2008年度の本県の農業粗生産額を基に、農水省が発表した全国の減少率の割合を掛けて算出しました。それによると、産出額がコメは約901億円(減少率94%)減少するのをはじめ、豚肉は307億円(70%)、鶏肉62億円(17.5%)、牛乳85億円(56%)、肉用牛92億円(75%)、ブロイラー7億円(20%)、さやいんげん3億円(23%)、らっかせい4億円(40%)、小麦9億円(99%)、茶1億円(25%)、リンゴ5000万円(9%)などに影響が出るとしました。
中央会は、こうした試算額を盛り込んだ上で、「食料自給率向上、農業の多面的機能と両立できないTPP交渉参加に反対する」とし、政府や国会への働き掛けを求めています。
地元紙に報道によると、席上、JA県中央会の市野沢会長は、「不退転の決意で茨城農業を守る考え。全国知事会でも反対の強い意見を述べてほしい」などと語りました。これに対し橋本知事は「要請を踏まえた対応を取り、政府にも慎重な対応を求めていきたい」と答えました。(茨城新聞2010/11/17付け)
わが国は、WTOドーハ・ラウンド交渉において、世界の国々において多用な農業が共存しうる貿易ルールの確立を国の方針として主張してきました。
しかしながら、菅首相は、10月1日突如として米国、豪州など9カ国が行うTPP(環太平洋連携協定)への参加について言及いたしました。
TPPは、関税撤廃の例外措置を認めない完全な貿易自由化を目指すものであり、TPPへの参加は日本の農業・農村を崩壊させる恐れがあり、断じて認められないものです。
我々は、工業製品の輸出拡大や資源の安定確保を否定するものではありません。しかし、この国が貿易立国として発展してきた結果、我が国は世界で最も開かれた農産物純輸入国となり、食糧自給率は40%と著しく低下しました。さらに例外を認めないTPPを締結すれば、農産物輸入が激増し日本農業は壊滅します。
茨城県における影響額も米が901億円減少(減少率94%)、豚肉は307億円(減少率70%)、牛乳は85億円(減少率56%)等、主要農産物合計で1481億円(減少率35%)を超える生産縮小が想定されます。
さらに関連産業は廃業し、地方の経済・雇用、農業が守ってきた多面的機能も失われます。これでは、国民・県民の圧倒的多数が望む食糧自給率の向上、安全・安心なくらしの実現は到底不可能であります。
我々は、食糧自給率向上、農業の多面的機能の発揮、世界の食料問題の解決と両立できないTPP交渉への参加に反対であり、断じて認めることはできません。
以上が本県の現場で働く農業者の総意であり、この趣旨を十分ご理解いただき、貴職におかれましては、政府・国会に対して働きかけを行われるよう強く要請いたします。