11月9日、公明党は、環太平洋連携協定(TPP)参加交渉への拙速な対応に反対する方針を、正式に決定しました。TPPに関する公明党のプロジェクトチーム(PT、西博義座長=衆院議員)は、同日、衆院第1議員会館で党内論議を行い、野田佳彦首相が11月12日からのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での表明をめざすTPP交渉参加について「この段階では拙速だ」とする中間報告を取りまとめまたものです。
席上、参加者の意見を集約した西座長は、「アジア太平洋地域の自由貿易推進や、2国間でのEPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)をさらに強化していくことは重要だ」との認識を強調。その上で、今回のTPP交渉参加をめぐる民主党政権の対応については「今に至るまで十分な議論もなければ、メリット(長所)とデメリット(短所)の国民への説明もない」「TPP参加後の日本の貿易戦略があいまい」などとし、「国民に十分な説明もなく、国民の声も十分に聞いていないこの段階で交渉参加を決定するのは拙速だ」と述べました。
(2011/10/11更新)
国民の懸念解消へ説明不十分:山口代表
11月10日、公明党は中央幹事会で、環太平洋連携協定(TTP)に関する党プロジェクトチームの「中間とりまとめ」【全文】を了承しました。山口那津男代表は幹事会の冒頭、TPP交渉参加問題について、大要、次のような見解を述べました。
- 結論から言えば、見切り発車で参加表明することは、拙速という以外にない。TPPについては昨年、菅(直人)前首相がにわかに提言したものだ。わが党は十分な議論を経て、見切り発車することがないよう警告してきた。しかし、野田政権に至っても、今日まで政権がこの問題について積極的かつ、十分な議論をした形跡はない。
- TPP交渉を進めれば、農業や医療、文化や環境に至るまでさまざまな影響が懸念されており、現に各分野からも具体的な懸念が表明されている。しかし、政府から懸念を解消するような説明もなく、逆にどう国益増進に資するのかの説明も、十分にされていない。その証拠に、与党の中でも議論が収束することもなく、民主党でもいまだに反対論が多い中で、結論を参加表明の方向に持っていけない状況だ。
- こうした中で、野田佳彦首相が参加に向けての意思を表明するのは、拙速以外にない。政府に対し、国民の懸念解消に向けて努力するよう強く求めたい。
TPP問題に関する党プロジェクトチーム「中間とりまとめ」
11月10日の党中央幹事会で了承された環太平洋連携協定(TPP)に関する党プロジェクトチームの「中間とりまとめ」(全文)は以下の通りです。
- 日本は、アジア太平洋地域内の2国間EPA(経済連携協定)やFTA(自由貿易協定)をはじめ、アジア太平洋地域における21世紀型の貿易・投資の自由化、円滑化に向けて主導的に取り組むべきである。最終的には、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)構築をめざして引き続き努力していくべきである。
- 今回のTPP交渉参加については、政府部内で十分な検討もなされないまま、菅前首相の突然の“思いつき”からはじまった。野田首相も「しっかり議論をする」と言いながら、必要な情報を提供することもなく、十分な議論ができる環境ではない。
- TPPは、農業をはじめ、健康、文化、環境政策など様々な分野にわたって多大な影響を及ぼすことが想定される。政府には、TPP参加により国民生活がどう変わるのか、そのメリットやデメリットは何かなどを国民に明確に説明する責任があるが、全く果たされていない。
- 野田首相は、11月10日に交渉参加を決断し(注=11日に先送りされました)、12日からのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議の席上で、関係国に交渉参加を表明する方針とされる。議論は未成熟なまま、民主党の提言ですら「慎重な判断」を求めており、連立政権内でも意見が一致していない。こうした状況でありながら、見切り発車で、参加を表明することは、拙速と言う以外にない。