1000万円以上の入札工事は一般競争入札に
2月9日、公正取引委員会(公取委)が20112年8月に改善措置を求めた茨城県の出先機関による官製談合を調査していた県の入札談合等関与行為調査委員会(第三者委員会)は、その調査結果をまとめ公表しました。県は、この報告をもとに調査結果と改善策を公取委に報告することになっています。
それによると、談合に関与していた県職員は23人に上り、職員と業者間で金品の授受は確認されなかったとしています。第三者委員会は職員の処分や損害賠償請求も検討するよう求めています。また、一般競争入札の適用範囲の拡大などの改善措置が必要と報告しました。
第三者委員会の報告は、県にとって大変厳しい内容となりました。金銭の授受がなかったものの業者との共同不法行為と認定し、損害賠償を業者と同じく課しました。また、懲戒処分の実行も求めています。さらに、不法行為の温床となった指名競争入札を将来的には廃止するよう求めました。
【今回の官製談合の概要】
境土地改良事務所 | 官製談合の行われた期間:平成9年度~平成22年9月(公取委の立ち入り調査まで) 官製談合の概要:工務課長が、発注を予定している土木工事のほぼ全てについて落札予定者を決定し、所長の了解を得て、建設協会境支部長からの求めに応じて、落札予定者についての意向を伝えていた。 この行為は、入札談合関与防止法第2条第5項第1号及び第2号に該当する。 |
境工事事務所 | 官製談合の行われた期間:平成19年度~平成22年9月(公取委の立ち入り調査まで) 官製談合の概要:建設協会境の前支部長は、舗装工事(舗装Aランク工事のみ)について業者間の受注の順番をあらかじめ定め、所長に対し順番のとおり受注できるよう要望した。所長の指示を受けた職員が工事場所や発注時期、指名業者の選定に関して必要な配慮を行っていた。 この行為は、入札談合関与防止法第2条第5項第4号に該当する。 |
県西農林水産事務所 土地改良部門 |
官製談合の行われた期間:平成21年度~平成22年9月(公取委の立ち入り調査まで) 官製談合の概要:工務課長は、発注を予定している土木工事について、部門長と協議の上、想定落札者を決定し、その一部の土木工事について、想定落札者についての意向を建設業協会筑西支部長及び常総支部長に伝えていた。 この行為は、入札談合関与防止法上の問題を生じさせる恐れがある行為と認定した。 |
【損害賠償について】
- 第一義的には不法な利益を得た落札業者から回収を図るべき
- 入札談合行為は、落札業者、入札参加業者、県職員による共同不法行為と捉え、損害賠償は三者に請求すべき
- 職員への損害賠償請求額は、談合がなかった場合に市場が正常に機能している状況で想定される落札額との差で算出する
【職員の懲戒について】
- 関与した職員に対し、適切な懲戒処分を行うこと
- 金品を全く受け取っていないこと、事業者と厳しい関係にある組織に配属され、事業の円滑な執行を考え従前からの手法を続けざるを得なかったことは斟酌すべき
【改善措置について】
- 職員の法令遵守意識の徹底。職員研修の充実。公益通報制度の徹底。匿名通報制度の検討など
- 入札・契約制度の見直し。一般競争入札の適用範囲を3千万円から当面1千万円以上に拡大。将来的には指名競争入札を廃止