
政治活動に使われるお金は、民主主義の根幹を支える重要な要素です。政治家や政党がどのように資金を集め、何に使ったのか、それを国民に対して明らかにする制度が「政治資金収支報告書」です。この制度の意義は明快で、国民の「知る権利」を保障し、政治資金の透明性を高めることにあります。つまり、政治とカネの関係を白日の下に晒し、不正や腐敗を未然に防ぐ、民主主義のガードレールといえるのです。
しかし、令和5年分の参政党の政治資金収支報告書を確認すると、茨城県における資金のやり取りに複数の不明瞭な記載が見られました。これは制度の趣旨に照らしても看過できない問題です。
不一致①:本部→茨城県支部連合会 57万円余りが不明金に
党本部の報告書によると、茨城県内の支部および支部連合会に対して交付された金額は合計353万円となっています。しかし、茨城県支部連合会の報告書には、党本部からの収入として295万円しか記載されておらず、その差額の57万円余りが不明です。
特に注目すべきは、7月25日付で党本部が県連に支出した57万円余りの記載が党本部側にあるにもかかわらず、受け取ったとされる県連側の報告書に記載がない点です。この不一致は、単なる記載漏れでは済まされない問題です。
不一致②:茨城第2支部 50万円の交付金が片側記載のみ
茨城第2支部は7月11日に党本部から50万円の交付を受けたと報告書に記載していますが、党本部の側にはこの50万円の支出が記載されていません。これは、片側の帳簿にしか記録されていない「幽霊のような資金」となっており、収支報告書制度の信頼性を揺るがすものです。
不一致③:茨城第6支部→第3支部の会場使用料は第3支部に記載されず
また、茨城第6支部が3月11日付で12万円余りを「会場使用料」として茨城第3支部に支出したと記していますが、茨城第3支部の報告書にはこの収入が記載されていません。党内での資金移動であるにもかかわらず、双方の報告が一致しないというのは、帳簿管理の杜撰さを物語っており、極めて深刻です。
内部統制が効かないずさんな会計処理
これらの記載の不一致は、単なる「事務的ミス」では済まされない問題です。もしもこのような不明瞭な記載が意図的なものであったならば、政治資金規正法に違反する可能性さえあります。こうしたズサンな会計処理は、政治への信頼を根底から損なうのです。記載の間違いであれば、速やかに訂正されることを望みます。
政治資金収支報告書の目的は、単に数値を記載することではなく、「国民に対して説明責任を果たすこと」にあります。参政党は、これらの不一致がなぜ生じたのか、誰が管理していたのか、どのような経緯で記載されなかったのかを、明確に説明する責任があります。
報告書は、透明な政治の入り口であり、同時に信頼のバロメーターでもあります。今回の事例を通じて、私たち有権者は、政治資金の扱いについて一層厳しく目を向けていかなければなりません。