
(7月15日更新、この投稿で取り上げたJAPAN NEWS NAVIと関連のアカウントは、Xの規定に違反しているとして、運営者からアカウントが凍結されました)
「このニュース、なんか腹が立つな…」「許せない!」
普段使っているSNSで、特定の政治家や政府を批判する投稿を見て、そう感じたことはありませんか?実はその怒り、海外からの情報操作によって仕組まれたものかもしれません。
現在、ロシアによるとみられる大規模な情報操作が、日本のX(旧Twitter)やTikTok、YouTubeなどで活発化しています。特に選挙前など、国民の関心が高まる時期を狙って、私たちの社会を混乱させようとする動きが強まっています。
情報操作の巧妙な手口
ボットによる「バズ」の捏造: 「ボット」と呼ばれる自動化されたプログラムが、特定の投稿に大量の「いいね」やリポストを短時間で行い、あたかも大きな話題になっているかのように見せかけます。
怒りを煽る「レイジベイティング」: 人々の怒りを意図的に引き出すような、過激な見出しや切り取られた情報で注目を集めます。私たちは感情を刺激されると、情報の真偽を確かめる前に拡散してしまいがちです。
ニュースサイトを装う偽情報発信源: 例えば、「JAPAN NEWS NAVI」のようなサイトです。一見すると普通のニュースサイトですが、その実態はロシア政府系のニュースサイト「スプートニク」の内容を拡散するための「装置」です。ボットの力を借りてこの記事をSNSで拡散し、広告収入を得ながら、ロシアの意図に沿った情報を広めているのです。
目的は「社会の混乱と分断」-結果として参政党に集まる支持
なぜロシアはこのようなことをするのでしょうか?その最大の目的は、偽情報や過激な意見を広めることで国民の怒りを煽り、社会に混乱や対立、分断を生み出すことにあります。
彼らは特定の政党を直接支援しているわけではありません。政府批判や排外主義的な感情を煽るためなら、利用できる政党や団体は何でも使います。その結果として、現在「参政党」の主張に沿うような情報がロシア製ボットによって拡散され、ネット上で同党に支持が集まっているという状況が生まれています。
重要なのは、彼らの目的があくまで「日本の社会を不安定にさせること」であり、そのための道具として、既存政党に不満を持つ人々の受け皿となりやすい政党の主張が利用されているという点です。
私たちができる対策
このような情報操作から身を守るために、私たち一人ひとりができることがあります。感情を揺さぶる投稿には一呼吸おく
情報の発信源はどこか、信頼できるメディアかを確認する
怪しい情報を安易に「いいね」や「シェア」をしない
SNSは便利なツールですが、その裏には見えない意図が隠れている可能性もあります。情報に踊らされることなく、冷静な目を持つことが、私たちの民主主義と社会を守ることに繋がります。
※この記事は、ジャーナリスト 山本一郎氏の記事「参政党を支えたのはロシア製ボットによる反政府プロパガンダ」を参考に作成しました。