東日本大震災により、県内市町村の庁舎は大きな被害を受けました。6月末日時点で、井手よしひろ県議が県を通して、各市町村役場の被災状況を調べた結果、以下の13市町の本庁舎が被害を受けました。
市町村の庁舎は、言うまでもなく通常時は市民サービスの拠点施設であり、震災や大規模災害時には防災や復興の拠点となります。必要以上に華美な市役所や町村役場の建設は、税金の無駄遣いと住民から大きな批判を受けていますが、そこに住む住民の命を守るための最低限の施設の再建は喫緊の課題となっています。
しかし、市町村の庁舎の再建には、その財源をどのように確保するかという大きな問題があります。市役所や町村役場を建設するための費用には、原則国からの補助はありません。100%地元の自治体が負担する必要があります。地方自治体は、基金と呼ばれる蓄えを切り崩すか、長期の借金をするしか方法はありません(地方債の発行)。茨城県内の市町村は、財政的に恵まれている自治体はほとんど無く、その上、震災の被災地であることから、その他の震災復興にも多くの費用を必要としています。自主財源による、調査の再建は大変難しい状況です。
庁舎の建設に国からの補助はないと書きましたが、実は2つの方法があります。
一つは、合併特例債の活用です。平成の大合併を行った市町村は、一定額の特別な借金をすることが出来ます。その借金の返済には、国費からの支援があり、結果的に地方自治体は、少ない自己負担で庁舎を建て直すことが出来ます。
合併特例債は、「合併市町村の一体性の速やかな確立を図るため又は均衡ある発展に資するため、及び合併市町村の建設を総合的かつ効果的に推進するために行う公共的施設の整備事業」に対して、「(その建設費の)充当率が95%で、その元利償還金の最大70%は後年度の普通交付税の基準財政需要額に算入されることになっています」。つまり、合併市町村の市町村建設計画に位置づけられていれば、建設費の66.5%を国が財政的支援をしてくれるという枠組みがあります。
もう一つは、5月2日成立した「東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律」で位置づけられた、地方自治体の単独災害復興事業です。茨城県など被災地は、仮庁舎などの建設に3分の2の補助を受けられることになりました。
一 主たる事務所の庁舎に代えて一時的に事務所として使用する仮設の建築物の建設及び当該建築物において使用する政令で定める情報システム(以下この条において「補助対象情報システム」という。)の整備に要する経費
二 主たる事務所の庁舎以外の建築物を主たる事務所の庁舎に代えて一時的に事務所として使用するために必要な改修及び当該建築物において使用する補助対象情報システムの整備に要する経費
三 主たる事務所の庁舎の応急の修繕及び当該庁舎において使用していた補助対象情報システムの応急の復旧に要する経費
いずれにしても、現状では被災した自治体が、地力でその庁舎を再建することは大変な負担を要します。庁舎の建て直しに対しても、速やかに新たな支援の枠組みを作ることが必要です。
№ | 市町村名 | 被害状況 | 対応状況 (予定を含む ) |
1 | 水戸市 | ・本庁舎 (7階建)及び水道庁舎 (4階建)が、地盤沈下やコンクリート剥落等により使用不可。 | ・代替施設として市等施設 (市民会館、県合同庁舎等)を活用し、事務室を分散化。 ・本庁舎敷地及び隣接地に仮設プレハブ庁舎を設置。 ・分散している市民窓口と担当課を集約化し、効率的に行政サービスを提供するため、大規模な仮設プレハブ庁舎を建設予定 (県三の丸庁舎敷地、本庁舎敷地 )。 |
2 | 日立市 | ・本庁舎の第1~第5庁舎建物 (5階建 )及び各庁舎間連絡通路等が損傷。 | ・今後大きな余震が発生するおそれもあるため、主に市民が多く来庁する課を、9月1日に仮設プレハブ庁舎へ移転。 |
3 | 石岡市 | ・本庁舎 (4階建 )のうち、3・4階が使用不可。主に柱及び壁のひび割れ。 | ・議会は支所 (八郷庁舎 )へ移転。 ・本庁舎敷地内に仮設プレハブ庁舎を建設し、今後、一部窓口業務等を移転予定。 |
4 | 常総市 | ・本庁舎のうち旧庁舎 (3階建 )が使用不可。 | ・旧庁舎所在の各課を仮設プレハブ庁舎や別棟、公民館等へ移転。 |
5 | 常陸太田市 | ・本庁舎議場の天井、照明器具、空調器具、壁面が破損し落下した。 ・地盤沈下により宅内排水施設の汚水管及び玄関通路が損壊した。 |
・本庁舎議場は立入禁止とし、別の会議室を利用。今後修繕予定。 ・宅内排水施設損壊のため、障害者用トイレは使用禁止。今後修繕予定。 |
6 | 高萩市 | ・本庁舎(3階建)、第2庁舎(2階建)及び第3庁舎(2階建)は、柱や壁に亀裂が発生したため使用不可。 | ・仮庁舎として一時的に次の市施設へ移転、総合福祉センター、社会教育施設「リーベロたかはぎ」、庁舎敷地内車庫 |
7 | 笠間市 | [笠間支所(教育委員会及び支所各課)]庁舎(2階建)の使用不可 [本庁舎(旧友部町庁舎)]室内天井及び照明の一部崩落、空調設備の破損 |
[笠間支所]代替施設として、笠間公民館を一時的に利用。笠間支所の機能は、仮設プレハブ庁舎を建設し対応。 [本庁舎]室内天井の一部崩落により落下物等危険な状況、空調設備が使用不可。今後、修繕予定。 |
8 | 坂東市 | ・本庁舎 (3階建)は、一部を除き使用不可。 | ・本庁舎敷地内に仮設プレハブ庁舎を建設。議場は猿島庁舎へ一時移転。その他は、分庁舎に移転。 |
9 | かすみがうら市 | ・本庁舎 (3階建 )の2・3階が使用不可。3階の議場は、壁のひび割れ、天井の落下や入口扉の落下等。2階の市長等室・会議室・サーバー室は、天井の落下、壁がせん断破裂等。 | ・議会は、本庁舎 (千代田庁舎)に隣接する防災センター及び増築庁舎にその機能を仮移転。本会議については、防災センター2階の大会議室を仮議場として使用。 ・市長室及び秘書課は、増築庁舎1階に配置。 |
10 | 行方市 | ・本庁舎の第2庁舎にある望楼に亀裂があり、一部崩壊の可能性がある。 | ・第2庁舎で業務を行っていた税務、財政、企画の各課が第1庁舎及び保健センターに移転。 |
11 | 鉾田市 | ・本庁舎敷地内擁壁が10㎝程度起き上がり、その影響で福祉事務所 (福祉関係各課)が最大20cm沈下した。 | ・窓の開閉不能、床の傾斜、自動ドアの開閉不能。 ・今後、擁壁、建物の傾斜復旧の予定 |
12 | 小美玉市 | ・議会議場の天井及び照明設備が崩落 | ・議会議場以外の場所で議会を開催。議場は改修予定。 |
13 | 城里町 | ・本庁舎 (3階建)が使用不可。外・内壁の亀裂、天井落下、望楼の損壊。 | ・代替施設としてコミュニティセンター城里を利用 |