9月19日、茨城県議会予算特別委員会が開かれ、井手よしひろ県議は、知事を始め関係部長と質疑応答を行いました。
知事との質疑の中で、井手県議は災害公営住宅の整備状況を問題にしました。早期の生活再建に向けて住宅の確保をどのように進めていくかが課題となっています。
茨城県内で避難生活を続けている方は、8月14日現在、4349人に上ります。そのおよそ8割に当たる3461人が、福島県からの避難者で占められています。また、茨城県民で仮設住宅や公営住宅、民間の賃貸住宅などで避難生活を送っている人は合わせて800人に上り、早い人では退去期限が、来年3月に迫っています。
こうした中、住宅を自力で確保することが難しい人のための「災害公営住宅」が、北茨城、鹿嶋、高萩、水戸、ひたちなかの5つの市で、合わせて274世帯分の整備が進められています。
しかし、一部の災害公営住宅については、市街地から離れた場所に整備されたため、入居の申し込みがほとんどなかったり、建設工事が長引き、完成が遅れたりしているケースがあります。被災者の生活再建に欠かせない住宅の確保をどのように進めていくかが課題となっています。
特に、水戸市に県が建設した「藤が原アパート」は、今年4月から入居が始まりましたが、64戸に内、すでに入居しているのはわずか5戸しかありません。その理由は、被災者の生活実態や住宅の希望などをしっかりと調査せずに建設を進めたからと批判されています。
井手県議は、この日の質問をするために、藤が原アパートを現地調査してきました。藤が原アパートは、いわゆる十万原開発の地域に建設された県営住宅。歩いて行ける距離に買い物をする場や医療機関がありません。若い世帯には人気の住宅ですが、災害公営住宅に住むお年寄りには非常に不便で、敬遠されています。
終の棲家(ついのすみか)を求める被災者が多いにもかかわらず、県が8.6億円も投じて建設した災害公営住宅が使われないのは、非常に残念な結果です。
そこで、こうした現状を知事はどう改善し、震災被災者の住宅確保を進めていこうとされるのか、具体的な対応を質問しました。
この質問に対して橋本知事は、「通常県営住宅を新規に建築するためには4、5年の期間が必要であり、災害公営住宅建設の建設の緊急性を重視し、従来から県営アパートの整備が進んでいた藤が原アパートや勝倉アパート(ひたちなか市)に災害公営住宅を建設した」と語り、被災者の意向調査などが十分でなかったことを認めました。その上で、来年まで、応急仮設住宅(みなし仮設住宅も含む)の無料措置を続くことから、「新たに家賃が発生する県の災害公営住宅への移転が進んでいないのでないか」とも語りました。
さらに、茨城県民のだけを入居対象にするのではなく、福島などからの避難者にも災害公営住宅の入居案内をする行うことを表明しました。
この災害公営住宅の建設には、国からの災害復興予算が投入されており、一般県民のための県営住宅として転用する際は、その手厚い補助金(建設費の8分の7)を精算(返却)する必要があります。