定員の純減5年間で国5%、地方4.6%以上
小さくて効率的な政府や自治体作りに注目が集まっています。その中でも、公務員数の削減は、最も重要な課題です。
日本の公務員は、国が95万8000人(日本郵政公社職員含む)で、地方が308万4000人。人件費の割合は、国で2005年度一般会計予算の5.7%を占め、地方(教員や警察を含む)も、2002年度の普通会計決算で28%に迫ります。行政のスリム化を進め、政府が掲げる「小さくて効率的な政府」を実現するためには、公務員の定員削減や、給与の見直しなどを通じて、人件費を減らすことが必要不可欠です。
政府は、経済財政諮問会議の意見などを基に削減計画案をまとめ、これを盛り込んだ「行政改革の重要方針」を2005年12月に閣議決定しました。通常国会では、「重要方針」を受けた行政改革推進法案が提出されます。
削減計画は、国家公務員(07年10月から民営化される郵政公社を除く68万7000人)を今後5年間で5%以上純減(新規増員分を差し引いた削減数)させます。このうち、増員を厳しく制限することで1.5%以上を確保し、残る3.5%以上を国の事業を減らして達成するとしました。
事務事業の抜本的見直しが必要、公明党は「事業仕分け」を提案
事業を大胆に整理するため、公明党の強い主張により民間の目線から事業の廃止・統合、民間開放などに仕分けする「事業仕分け」の手法が導入されます。具体的には農林統計や食糧管理、北海道開発など行政需要の低下した業務の見直しや、各省庁の地方支分部局の統廃合、事業の民間委託などが実施されます。このほか、自衛官や国会、裁判所なども行政機関に準じて減量。さらに、特定独立行政法人も支障が少ないところは非公務員化されます。政府は現在、民間人による「行政減量・効率化有識者会議」(仮称)の設立を準備しており、この場で6月までに具体案をまとめる方針です。1月24日の衆院代表質問では、公明党の神崎武法代表の質問に対し、小泉純一郎首相が、推進法案に「事業仕分け」の趣旨を盛り込むと明言しました。
308万人の地方公務員、14万人以上の純減を目標
一方、地方公務員の純減については、政府は昨年の「新地方行革指針」などで、5年間で定員を4.6%以上純減する指標を示しています。全国の自治体は、この数値目標などを含めた「集中改革プラン」を策定作業中ですが、北海道が「10年間で30%(約6000人)」の削減を打ち出すなど、財政再建への動きは活発です。さらに、自治体では、徒歩のみの通勤者に通勤手当を支給する“徒歩手当”など、公務員の優遇手当が相次いで廃止されています。