Skip to content
ひたみち日記

ひたみち日記

井手よしひろが茨城県日立市からローカルな情報を発信中

Primary Menu
  •  ホーム
  • ご挨拶
  • プロフィール
  • 投稿一覧
  • facebook
  • X.com
  • youtube
  • 地創研
  • ご感想・ご意見
動画配信
  • 県政の話題
  • 防災

富士山の大規模噴火に備えて―茨城県の立場から考える防災の視点―

管理者 2025年8月28日
250828fujisan_map

富士山の噴火の影響は茨城県にも

富士山は日本を象徴する山であると同時に、日本最大級の活火山でもあります。最後に大規模な噴火が起きたのは1707年の宝永噴火で、すでに300年以上が経過しています。国の想定によれば、今後100年の間に再び噴火が発生する可能性は決して低くなく、首都直下地震と並んで日本社会が直面する大きな災害リスクのひとつとされています。

茨城県は富士山から120〜250キロという距離に位置しているため、火砕流や溶岩流といった直接的な被害を受ける心配はありません。しかし、広範囲に及ぶ「降灰」の影響は免れず、県民生活に深刻な影響をもたらすと考えられています。本稿では、水戸市、土浦市、つくば市、日立市を例に、想定される被害と私たちが今から取るべき備えについて考えてみたいと思います。

県民生活にも降灰による影響

宝永噴火の記録をひもとくと、茨城県南部ではおよそ1センチの降灰があったとされています。現代に同規模の噴火が発生すれば、土浦市やつくば市などの150キロ圏では1〜3センチ、多いときには5センチほどの火山灰が積もると考えられます。水戸市や日立市のように200キロ圏にある地域でも、1センチ前後の降灰は十分に起こり得ます。

一見すると数センチ程度の灰に過ぎないように思えますが、その性質は決して軽視できません。火山灰は細かいガラス片や鉱物の粒であり、乾燥すれば風に舞って視界を奪い、雨に濡れればセメントのように固まります。道路は滑りやすくなり、鉄道もわずか0.05センチの灰で運行が難しくなるといわれています。電力設備では、降雨とともに灰が付着することで碍子の絶縁が低下し、停電が発生する恐れがあります。水道も安全ではありません。特に緩速ろ過方式の浄水場では、1センチの灰で機能が停止する可能性があるとされています。通信も例外ではなく、電話の回線は混雑し、アンテナに付着した灰で電波が遮られることもあります。

こうした影響は日常生活に直結します。物流が滞れば食料や飲料水が手に入りにくくなり、健康面でも呼吸器や目に悪影響を及ぼします。特に高齢者や持病を持つ方にとっては、命に関わる深刻な問題となりかねません。

必要な備え

このような事態に備えるためには、平時からの準備が欠かせません。まず住民一人ひとりが、降灰による交通の混乱やライフラインの停止、物流の停滞といった影響を正しく理解しておく必要があります。そのうえで、水や食料を少なくとも1週間以上、できれば2週間分備蓄しておくことが望ましいでしょう。さらに、防塵マスクやゴーグル、掃除用のスコップやほうきなども揃えておくと安心です。

やってはいけない行動についても、あらかじめ知っておくことが大切です。火山灰を側溝に流してしまうと排水路が詰まり、浸水を招きかねません。降灰の最中に車を運転することや、無理に屋根の灰を下ろすことも大変危険です。

また、企業や団体には従業員を守りつつ業務を継続できるよう、事業継続計画(BCP)の策定が求められます。交通機関が止まった場合の対応や、電気や水道が使えなくなった場合の備蓄もあらかじめ考えておく必要があります。自治体もまた、火山灰の仮置き場や処分場を事前に確保し、国や近隣自治体と連携しておくことが望まれます。

情報と行動のあり方

大規模噴火が起こったときに最も必要なのは「確かな情報」です。どこでどれくらいの灰が降っているのか、ライフラインの状況はどうなっているのかを、国や自治体、事業者が連携して速やかに伝える仕組みが欠かせません。外国人住民や観光客に向けては、多言語や「やさしい日本語」での発信も重要です。

住民の行動については、降灰量に応じて方針が変わります。少量の場合は自宅にとどまることが基本となりますが、数センチを超えて生活が難しくなれば、透析を必要とする方や介護が必要な方を中心に、安全な地域へ移動する必要があります。さらに数十センチもの灰が積もるような極端な場合には、家屋の倒壊や土石流の危険もあるため、降灰の影響を受けない地域への避難が必要になります。

結びに

富士山の大規模噴火は「遠い出来事」と思われがちですが、茨城県に暮らす私たちにとっても決して無関係ではありません。直接的な火砕流の危険はなくても、降灰によって社会生活は大きく揺さぶられます。交通の停止や電力・水道の障害、通信の遮断、そして物資不足は、日常を一変させる可能性があります。だからこそ、私たちは平時からの備蓄や訓練、そして正しい知識の共有を通じて「備え」を積み重ねていかなければなりません。

地方自治体もしっかりとした備えを行う必要があります。まずは、茨城県や県内市町村の地域防災計画に、大規模噴火の項目を含める必要があります。毎年の防災計画の見直しの中で、早急に検討を加えるべきです。

災害はいつ起こるか分かりません。しかし「備えること」は今すぐにでも始められます。富士山がもし噴火したら、私たちはどのように生活を続けるのか。家族や地域で話し合い、実際に行動へ移すことが、未来の安心へとつながるのです。

印刷する 🖨
閲覧数 187

Continue Reading

Previous: 天明の浅間山大噴火と鎌原村の悲劇を訪ねて
Next: TX開業20周年/茨城県発展の推進力のこれから

Related Stories

251004top
  • 防災

茨城県地域防災計画に「防災士」「防災士会」を明確に位置づけを

管理者 2025年10月5日
251004zyousou00
  • 常総水害
  • 防災

多様な支援をつなぐハブ ― 防災中間支援組織の役割

管理者 2025年10月5日
251002hitachioota
  • レスキューホテル
  • 日々の話題
  • 防災

災害時の新たな支援体制 – レスキューホテルが拓く安心の地域社会

管理者 2025年10月2日



井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
https://y-ide.com
master@y-ide.com

2025年10月
月 火 水 木 金 土 日
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
« 9月    

最近の投稿

  • 日本版ソブリンファンドが開く、新しい未来への扉
  • 日立市の経常収支率が1.9ポイント改善
  • “やると言ったら、やり切る。公明党”ポスターに込めた公明党の魂
  • 公明党が自民党との連立政権に“区切り”
  • 石破総理が「戦後80年に寄せて」の所感公表

アーカイブ

カテゴリー

  • 野鳥における高病原性鳥インフルエンザについて
    2025年10月21日
  • 茨城県の取組「ここがすごい!」(第2次茨城県総合計画~主要指標等実績一覧~)
    2025年10月19日
  • 県民の皆様から寄せられたご意見に対する現状・対応について
    2025年10月17日
  • いばらきパートナーシップ宣誓制度を実施しています
    2025年10月9日
  • 【CHALLENGE IBARAKI】#76 おさやと学ぼう!食品ロス削減対策
    2025年10月4日
  • 自維政権合意 深く危惧
  • 企業献金の規制強化 今国会で法案を提出
  • 地雷除去、日本の支援に謝意
  • 【主張】ドクターヘリの運休 安定的な運航継続へ支援強化を
  • コラム「北斗七星」
このホームページ(Blog)へのリンクは自由に行ってください。
文章の引用等も自由です。
ただし、リンクや引用等によって生じた不利益に対して、管理者はその責任を負いかねますので、ご容赦ください。
Copyright © All rights reserved. | MoreNews by AF themes.