1月4日、小泉純一郎首相は首相官邸で恒例の年頭会見を行い、少子化対策に強い危機感を示し、政府として全力を挙げて取り組む姿勢を明らかにしました。
小泉総理大臣年頭記者会見
(2006/1/4首相官邸のホームページより)
今後、少子化が進んでいく、子育てをいかに楽しめるような環境にしていくか、子どもたちは我々社会の宝であると、国の宝であると、社会全体で子どもたちを健全に、健やかに育てていこうと、そういう環境をつくっていくのがより一層大事な時代になったと思います。
今年は、犬年でありますが、犬は子どもをたくさん産む、そしてお産も軽いそうです。犬にあやかるわけではありませんけれども、多くの方々が子育ては楽しいぞと、子どもを持つことは人生を豊かにすると、そのような環境整備に多くの皆さんの知恵を借りて邁進していきたいと思っております。
この日、小泉首相が年頭会見で示した政策は、構造改革の続行、アスベスト(石綿)と耐震データ偽造の両問題への対応、大雪などの防災対策、少子化対策--の4点でした。全体的には、これまでの改革の成果を改めて強調する内容でしたが、少子化対策だけは、事前に「年頭会見で少子化問題を盛り込むという事前の相談はなかった」(毎日新聞2006/1/5付け)と側近が話すほど、小泉首相の思い入れが深い内容であったようです。
政府は、1990年代から少子化対策に取り組んできましたが、専任の少子化担当大臣が任命されたのは、昨年10月の内閣改造で、猪口邦子少子化担当相が誕生したのは初めてでした。これまで予算的な裏付けがなく、効果的な施策を打ち出せなかった内閣府でしたが、猪口大臣を中心に総合的な対策を打ち上げ、各省庁が連携して取り組む方針です。
少子化対策:3歳まで育児手当、6歳児まで医療費無料検討
こうした小泉首相の意向を受けて、政府は1月4日、少子化対策の一環として、3歳までの子どもを持つ保護者を対象とする育児手当制度を新設し、さらに6歳児までの医療費を全額無料化する方向で検討に入ったと一部新聞が報道しました。
育児手当は月額1万5000円を程度が、経済力の低い若年夫婦層に重点を置き支給されます。財政的支援を増やすことにより、少子化に歯止めをかける考えで、猪口邦子少子化担当相を中心に財務、厚生労働両省とが調整を進める方針です。
一方、医療費の病院での窓口負担は、3歳未満が2割負担、3歳以上が3割負担となっています。乳幼児医療費については、都道府県と市町村が費用を負担して独自に助成制度(マル副制度)を設けているケースがほとんどですが、自治体によってその枠組みに格差が大きく問題となっています。6歳までの本人負担を、国が全額助成する考えです。
政府の試算では、育児手当制度に年間5400億円、乳幼児医療の全額助成に年間3000億円の計8400億円が必要となります。今後、関係省庁で調整し、2007年度からの導入を目指します。