茨城県では、鳥インフルエンザが発生した養鶏場における従業員や食肉処理に携わった作業員、鶏の殺処分に当たった県職員など約400人を対象に、血液を採取して国立感染症研究所において検査を進めてきました。
その血液検査の結果については、1月8日現在、国において中間とりまとめの作業が進められています。国は、1月10日に検査結果の公表を予定しています。
この検査結果について、1月8日付の新聞各社に情報が掲載されました。
鳥インフルエンザ、県内養鶏場関係者ら40人ウィルス感染か
茨城新聞(2006/1/8付け)
■2次感染恐れなし
茨城県内の養鶏場関係者ら約40人が、H5N2型の高病原性鳥インフルエンザに過去に感染していた可能性が強まり、厚生労働省と国立感染症研究所が、体内にできた抗体などの詳細な検査を進めていることが七日分かった。いずれも症状はなく、二次感染の恐れもない。同県内の養鶏場では、昨年6月から鶏への感染が相次いで判明したが、抗体検査の結果から関係者が感染した時期はそれより前の可能性があるという。
茨城県内で流行したH5N2型は、アジアを中心に人への感染が広がり新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型より、毒性は弱い。しかし感染が確認されれば、鳥から人への感染報告がほとんどないH5N2型が、人へも予想以上に広がることを示す結果で、対策が課題となる。
国内で鳥ウイルスの人への感染は、京都府の農場で2004年2月にH5N1型が発生した際、男性従業員(当時)で初めて確認された。今回、感染が確定すれば、それ以来。
厚労省や茨城県などは、養鶏場の関係者や鶏の処分作業に当たった自治体職員らを対象に、ウイルス感染がないか調査を実施。鶏との接触状況や症状の聞き取り、のどなどの粘液を採取して行うウイルス検査のほか、感染研では血液で感染の有無を調べる抗体検査などを進めている。
■県、400人検査
鳥インフルエンザの鶏への感染が昨年6月以降、40養鶏場で相次いで発覚した茨城県では、新たな感染が確認される度に、県が養鶏場に職員を派遣し、従業員など約四百人を対象に体内にウイルスや抗体がないか検査を行ってきた。
県保健予防課によると、調査対象には、養鶏場経営者や家族、従業員のほか、鶏を食肉処理する施設の従業員や、鶏の処分作業に当たった自治体職員も含まれる。
問診のほか、のどの粘膜をぬぐって迅速診断キットでウイルスが存在するか調べる。
しかし、迅速診断キットはウイルス量が比較的多くないと反応が出ない問題点があり「東南アジアでは感染者の50%程度しか引っ掛からなかった例もある」(同課)という。
このため県は、ウイルスのDNAを増幅させるPCR検査も行っている。さらに約二カ月の間隔をおいて採血し、国立感染症研究所に送付、二度の採血の間に感染によって体内にできる抗体の上昇がないかも調べている。だが、検査期間の途中で養鶏場を辞め、二度目の採血ができない元従業員もいるという。

(2006/1/10更新)
1月10日、厚生労働省と国立感染症研究所は、茨城県と埼玉県の該当する養鶏場の従業員ら77人(内茨城県分は70人)が、過去にウイルスに感染していた可能性があると発表しました。いずれもインフルエンザの症状は出ておらず(発症はなし)、感染が広がることはないとしました。
この弱毒性ウイルスに感染したかどうかを示す判断基準は、現状では確立していません。今回の発表では抗体価が40以上または抗体価上昇が4倍以上を陽性としました。H5N2型の人への感染可能性が示されたのは世界で初めてとなりました。
茨城で40人感染か 鳥インフルエンザ
養鶏場関係者 発症の症状なし
東京新聞(2006/1/8)
茨城県内の養鶏場関係者ら約40人が、H5N2型の高病原性鳥インフルエンザウイルスに過去に感染していた可能性が強まり、厚生労働省と国立感染症研究所が、検査結果などを詳細に検討していることが7日分かった。
ウイルス感染によって体内にできる抗体が検出されたが、全員に症状はなく、二次感染の恐れもない。同県内では昨年6月から、40カ所の養鶏場で鶏への感染が相次いで判明。判明直後に関係者から採った血液中の抗体値は既に上昇しており、人への感染は鶏への感染が分かる前に起きたとみている。
茨城県内の鶏で流行したH5N2型は、アジアを中心に人への感染が広がり新型インフルエンザへの変異が懸念されるH5N1型より、毒性は弱い。しかし感染が確認されれば、鳥から人への感染報告がほとんどないH5N2型が人へも予想以上に広がることを示す結果と言え、日ごろからの予防対策が課題となる。
国内で鳥ウイルスの人への感染は、京都府の農場で2004年2月にH5N1型が発生した際、男性従業員(当時)で初めて確認された。今回、感染が確定すれば、それ以来。
厚労省や茨城県などは、養鶏場の関係者や鶏の処分作業に当たった自治体職員らを対象に、ウイルス感染がないか調査を実施。鶏との接触状況や症状の聞き取り、のどなどの粘液を採取して行うウイルス検査のほか、感染研では血液で感染の有無を調べる抗体検査などを進めている。
茨城県はこれまでに、鶏約250万羽を処分。さらに密閉型鶏舎の計約330万羽を監視下に置き、感染が確認されれば処分する方針。
農林水産省の全国調査などではH5N2型の感染が確認されたのは埼玉県内の一養鶏場だけ。違法ワクチンが最初の感染原因になったのではないかとの見方も出ている。
茨城の鳥インフルエンザ、過去に人に感染の可能性
朝日新聞(Asahi.com 2006/1/8)
茨城県の高病原性鳥インフルエンザ問題で、県内の養鶏場の従業員らが過去に感染している可能性が高いことが分かった。厚生労働省によると毒性の弱いH5N2型で、すでに体内にウイルスがないため二次感染の恐れはないという。同省は従業員ら約400人に対し血液検査などを実施、分析しており、近く調査結果をまとめる。
鶏から人への感染が確認されれば、国内では04年2月に京都府の養鶏場で毒性の強いH5N1型が発生した際、男性従業員に感染して以来となる。
厚労省によると、昨年6月に同県で鶏への感染が発覚して以来、従業員らの血液を採取して分析を続けているが、過去のウイルス感染を示す抗体値が一般の人に比べ高めに出ている人がいるという。ただ、感染と判断する明確な数値基準がないことから、感染者の有無や人数などを、厚労省と国立感染症研究所が今後判断する。
海外では、H5N1型で鶏から人への感染、死亡例が相次いで確認され、新型インフルエンザが大流行する恐れが指摘されている。H5N2型は毒性が弱く、いまのところ感染しても発症していない。
ただ、ウイルスが残っている段階で通常のインフルエンザウイルスと混じりあうことなどで、新型インフルエンザに変異する可能性は否定できず、厚労省は「通常のインフルエンザを発症した人は鶏に近づかないようにするなど、予防対策を心がけてほしい」と呼びかけている。