7月11日、日立市のかみね公園に静態保存されていた8620型蒸気機関車の分解が修了し、青森県深浦町に向けて出発しました。
このSLはかみね公園に35年間にわたって展示され、老朽化が目立ってきたことから、日立市は解体撤去を決定。今年3月に解体業者とも工事契約を締結していました。
しかし、JR五能線での蒸気機関車復活に夢をかける「五能線活性化倶楽部」は、かつて五能線を走った機関車と同型で、保存状態も比較的良いことなどから、日立市へ解体工事の中止と無償譲渡を申し入れ、日立市は解体を中止しNPOへの譲渡を決定しました。
2日間掛けて慎重に陸送され、青森県深浦町などが出資して設立された第三セクター会社「ふかうら開発」が運営するレジャー施設「ウエスパ椿山」敷地内で展示公開されることになっています。
ハチロクは、本体の長さ約10メートル、付嘱の炭水車が約5.6メートル、幅が約2.5メートル、高さ3.8メートル、重さは48.9トンと大変大きく、そのままでは搬送できないため、後部に取り付けてある炭水車を引き離し、機関車はボイラーと台車の3つに分割されました。
写真は11日昼過ぎに撮影したトレーラーに積み込まれたハチロクのボイラーと運転室部分です。
かみね公園のSL撤去 36年の展示終え青森へ「旅立ち」
茨城新聞(2006/07/12 社会面)
日立市宮田町のかみね公園に展示され、約三十六年間、市民に親しまれてきた蒸気機関車(SL)が十一日撤去され、同夜、新たな展示先となる青森県深浦町に向けて出発した。
SLは一九二四年、山口県の日立製作所笠戸工場で製造。8620型から「ハチロク」の愛称で親しまれ、四十五年間に約二百三十二万㌔を走行した。引退後の七〇年、かみね公園入り口に展示され、子どもたちの遊び場となっていた。
老朽化で遊ぶには危険で、本年度からの公園整備に支障を来すため解体撤去を計画したところ、青森県のNPO法人「五能線活性化倶楽部」が譲渡を申し入れ。六月下旬から解体工事に入った。
長さ約十五㍍、重さ約五十㌧のSLは、車輪など台車、機関車本体、石炭車に三分割。大型クレーンでつり上げられ、慎重にトレーラーに積まれた。SLファンなどが撤去の様子をカメラに収め、「なくなると寂しいね」などと話していた。
SLは通行量の少ない夜間に、二日掛かりで搬送する。今月下旬には青森県深浦町のレジャー施設に展示される。