茨城空港乗り入れ検討
「エア・アジアX」マレーシアの格安航空
読売新聞(2008/5/8)
格安航空大手エア・アジア(マレーシア)傘下で中長距離路線を運行するエア・アジアXが、2010年3月に開業する茨城空港(小美玉市)への乗り入れを本格的に検討していることが7日、明らかになった。茨城空港を巡っては、羽田空港の発着枠増のあおりで国内線の就航交渉が難航し、県は格安航空会社の誘致に軸足を移している。
今年3月下旬には県の担当幹部が、先月末には自民党県連の山口武平会長らがマレーシアを訪問し、同社側から就航への意欲を伝えられた。茨城空港が首都圏に近接していることを高く評価している。エア・アジアXは日本便の就航を以前から検討しており、今年2月にはオリックスが資本参加を発表している。
エア・アジア幹部は山口会長らに、空港使用料の抑制や空港周辺の宿泊施設整備などを要望した。同社幹部は今年7月に訪日する予定で、山口会長らはその際、本県にも立ち寄ることを要請し、好感触を得た。
国内航空会社は、2010年に発着枠が拡大する羽田空港での割り当て増を優先しており、茨城空港への乗り入れは留保している。海外の大手航空会社も同年の成田空港発着枠増をにらんで茨城空港への関心が低いため、県は成田発着にこだわらない格安航空会社との交渉に力を入れている。
県は、今秋着工のターミナルビルについて、航空会社のコスト削減のため、出発・到着時の手続きを1階部分で済ませられるよう設計変更した。エア・アジアXはこうした採算性の高さも評価しており、韓国などの航空会社も関心を示している。
橋本知事は先月21日の記者会見で「格安航空会社を受け入れやすい体制の空港として役に立てればありがたい。茨城空港へ来た外国人が国内線を利用するかもしれないので、(国内線就航にも)プラスになってくる」と話している。
エア・アジアXは、マレーシアのクアラランプールを拠点とするアジア最大のLCC(格安航空会社:ローコストキャりア)工ア・アジアの国際長距離部門を担う航空会社として2007年1月にスタ一トしました。07年8月には、英国のヴァージン・グループが20%の株式を取得、08年2月、日本のオリックスが10%の株式を取得して経営に参加しました。
08年末には福岡へ、2010年までには名古屋、大阪など、日本の主要都市6~8ケ所に就航する計画があります。現情では、成田へ就航させる計画はありませんが、都心から車で2時間程度の距離にある代替空港を物色しているとされています。
エア・アジアXのクアラルンプール~オーストラリアのゴールドコースト便(約6500キロ・メートル)は、418リンギット(日本円で1万4000円程度)で、羽田~伊丹便よりも安い料金設定となっています。(空港利用料などの基準が違うため単純には比較できません)
県の空港対策課は、5月1日から全日空OBの民間人を就航対策の専従者として採用しました。この職員はアジアの航空会社の実情に精通しているとされています。
5月6日、橋本昌茨城県知事は、テレビ朝日の報道ステーションに出演して、LCC就航に力点を置姿勢を明確にしました。
アジアを中心とする国際定期便が就航すれば、当然乗り継ぎの国内便の需要を喚起できます。
茨城空港は、日本における格売航空会社の揺籃の地になる可能性があります。