9月は、政治の世界では「鬼門」なのかもしれません。福田康夫首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、「体制を整えた上で(臨時)国会に臨むべきだ。国民生活を第一に考えるなら、政策実施の歩みを止めることはできない」として、「新しい布陣のもと、政策の実現を図っていかないといけないと判断し、辞任を決意した」と述べ、退陣を表明しました。さくねん9月25日の安倍首相に引き続き2代続いての辞任劇となりました。
記者会見で福田首相は、退陣表明のタイミングについて、「まだ国会の実質審議入りには時間のある、このタイミングを狙って、国民には大きな迷惑がかからないと考え、時期を選んだ」と述べました。その上で、「これをきっかけに次の自民党総裁の下により強力な体制を敷いてもらい、国家国民の政策実現に向けてまい進してもらうことを期待している」と述べました。
首相の辞任表明を受け、自民党は早期に総裁選を実施し、新総裁を選出することになます。
福田首相は、参院で野党が過半数を握る中で、道路特定財源関連法が4月一カ月失効したり、日銀総裁人事が参院で相次ぎ不同意になるなど厳しい国会運営を強いられていました。
福田首相は洞爺湖サミットで地球温暖化対策への取り組みを強調。道路特定財源の一般財源化や、消費者庁の来年度創設、行政経費のムダ排除、社会保障制度の抜本改革を図ることで「国民目線の行政への転換」を目指しましたが、道半ばで頓挫した形になりました。
今後の日程は12日に一旦決定した臨時国会の予定は白紙に戻り、20日過ぎに自民党総裁選挙が行われます。その後、公明党との政権協議、首班指名のための臨時国会が10月上旬に想定されます。解散総選挙の時期も前倒しになるのでは、とのマスコミ報道が盛んに流されていますが、国政に停滞は許されません。緊急の課題である経済対策や消費者庁の設置関連法など、与党には責任ある対応が強く望まれます。
政治空白許されず、決断を重く受け止め対処:太田公明党代表
公明党の太田昭宏代表は1日夜、福田康夫首相の退陣表明を受け、党本部で記者団に対して、大要次のような見解を述べました。
一、突然の辞任表明で驚いている。会見を聞いて、総理として熟慮を重ねた結果のご判断だと思う。
一、会見でも言われていたように政治空白はつくらない。新しい体制をつくって、緊急経済対策をはじめとした課題に対処したいと言われていたので、首相の決断を重く受け止め、対処したい。