2月1日、日立製作所と三菱重工業は、火力発電事業を統合し新会社を発足させました。新しい会社名は「三菱日立パワーシステムズ」。本社は横浜市に置き、出資比率は日立製作所が35%、三菱重工が65%となっています。初代社長には三菱重工出身の西沢隆人さんが就任しました。取締役10人のうち6人が三菱重工、4人が日立製作所の出身です。
売上高は1兆1000億円、内訳は日立が5000億円、三菱が6000億円となっています。従業員数は約2万3000人で、日立製作所が9000人、三菱重工が1万4000人です。主な拠点工場は日立製作所が、そのいわば本拠地である日立事業所(日立市幸町)、三菱重工が長崎造船所と兵庫県の高砂製作所です。
両社の合併は、中国など新興国を中心に火力発電の需要が高まる中、統合で事業規模を拡大し、製品の開発力や品ぞろえを強化し、世界市場で先行する二大メーカーであるゼネラルエレクトリック(GE)やドイツのシーメンスを追い上げるのが狙いです。合併での売り上げ目標を、現在の約2倍に2兆円としています。
両社の合併によりお互いの長所と、短所を補い合うことができます。三菱重工は大型ガスタービンに強く、東南アジアや中東に販売基盤を持っています。一方、日立製作所は中型や小型ガスタービンが主力です。ヨーロッパやアフリカで受注実績をあげています。国内市場が飽和に達する中で、両社の合併による、国際競争力の強化の強化に繋がると経済産業省も高く評価しています。政府は成長戦略の柱と位置づける「産業競争力強化法」適用の第1号に両社の合併を決定しました。この決定により新会社は税制の優遇措置を受けることができます。
今回の合併話、日本企業の世界戦略の再構築の先進事例として、非常に注目をされています。日本一の発電機製造会社の誕生に、本来、地元ではお祝い気分が盛り上がってよいところです。しかし、日立市においては、合併により日立製作所の主力工場である日立事業所が統合や縮小などの不安が払拭できず、期待の声よりも心配する空気が強いことも大変残念です。事業統合は、下請け企業関連企業にとっては、効率化の名の下に再編も行われる行われる可能性もあり、日立製作所城下町の日立市にとっては、むしろ不安視する声の方が大きいのも事実です。
2月1日、日立製作所日立事業所の正門前。今日発足した新会社の銘版は、まだ白い幕をかけられたままでした。