5月26日、井手よしひろ県議は日立港湾事務所から、平成29年度の予算個所付けについてヒアリングを行い、堤防整備や日立港の整備、瀬上川の水門設置などについて意見交換を行いました。
日立港湾事務所関連の平成29年度予算総額は、52億5900万円と昨年の108億5900万円と比べて56億円余りの大幅減となりました。これは、茨城港日立港区第5ふ頭の整備が完了したために、減額となったものです。東日本大震災の教訓で進められている津波対策などが継続中であるため、通常ベースよりは2倍以上の額となっています。
日立港湾事務所の事業で特筆すべきは2点です。
まず1点目は、瀬上川の水門整備です。東日本大震災では、瀬上川を遡上した津波が上流部で溢水して、市街地に大きな被害を与えました。また、高潮や満潮時には瀬上川上流で排水が間に合わず溢水が発生しています。そのため瀬上川の河口部分に新たに水門が整備される事になりました。遠隔操作可能な電動の水門が設置され、排水用のポンプも配備されます。すでに、水門などの構造物は発注され、現地においては基礎部分の工事も始まっています。
今年度の事業費は、全体で2.3キロ整備される高さ4.5メートルの堤防とあわせて、11億1600万円です。懸案である水門の管理主体などは、今後、検討されることになります。
(写真は瀬上川の河口水門完成予想図)
2点目が日立港第3ふ頭の整備です。昨年度までに、東京ガスが第5ふ頭にLNGエネルギー基地を整備しましたが、さらに同規模のLNGタンク1基を増設する計画が進んでいます。そのために、第5ふ頭用地を東京ガスが買収し、第5ふ頭の自動車輸出入港としての機能を、第3ふ頭に移すことになりました。第3ふ頭を水深12メートルの耐震岸壁整備するとともに、航路や泊地をしゅんせつする工事が急ピッチで進められています。平成29年度の事業費は22億8400万円、全額東京ガスの負担で工事が行われます(第3ふ頭の整備費総額は150億円です)。
東京ガスは、2020年に向けた天然ガスの需要の増加に対応した製造・供給インフラの柱として、LNG船やLPG船の受入設備となる大型桟橋、容量23万キロリットルのLNGタンクや熱量調整用のLPGタンク、ガス製造設備などを備えた日立LNG基地と、日立~真岡間のパイプライン工事を2016年に供用開始しました。今後は、2020年までに「日立LNG基地2号タンク」の建設を目指しています。さらに、既存 の「鹿島臨海ライン」と今後建設を目指す「茨城幹線」(日立~鹿嶋)を接続し、高圧ガスパ イプラインのループ化を更に図ることにより、関東圏全域のエネルギーセキュリティ向上を図る計画です。