11月11日に開催されたトークフォーラム「心の中の“ある町の高い煙突”」の模様が、11月26日付けの公明新聞に紹介されました。
「大煙突」が映画に、煙害克服の人間像描く
茨城県と日立市が世界に誇る歴史を発信-。昭和の文豪・新田次郎の小説「ある町の高い煙突」の映画化に当たって11月11日、日立市内で映画「ある町の高い煙突」を応援する会(原田実能事務局長)主催のトークフォーラムが開催された。松村克弥監督、大井川和彦知事、小川春樹市長、原田事務局長が同作品の魅力をアピールした。映画は来春撮影、来秋公開をめざす。
「ある町の高い煙突」は、100年前の日立鉱山を描いた「奇跡の感動実話」。1905年に現在の日立市に開業した日立鉱山が発生する亜硫酸ガスが山を枯らし、農作物に被害を及ぼす煙害に対して、住民と企業が対立ではなく協調と融和のもと、英知を絞り公害の解決に向けて共に手を携えていく人間像を描いておけ、当時としては世界一高い155.7メートルの煙突を建設し、煙害を克服していく内容となっている。
1915年に完成した大煙突は、1993年に突如として倒壊し、54メートルの高さになった今も「まちのシンボル」としてそびえ立ち、使用され続けている。
フォーラムの中で、松村監督は「奇跡的にまだ映画化されていない新田次郎氏の最後の傑作と言っても過言ではない。素晴らしい脚本になっているので、市民の皆さまと一緒になって、いい映画をつくっていきたい」と語った。
同市出身でまちの象徴である大煙突を見ながら育ったという大井川知事は、公害に対し、企業と行政への抗議に終始するのではなく、広い視野で解決に導き、企業もまちも存続・繁栄させた主人公の若き住民リーダーを評価した上で「高い視点に立って建設的に物事を考えると、いろんなことを変えられるとのメッセージを全国、世界に送り届けたい」と訴えた。
小川市長は「モノづくりのまち・桜のまち日立のルーツを描いた作品」と強調。その上で、煙害によって緑を失った地域の環境を少しでも回復させようと、先人たちが桜の植樹を行ってきたことで、今では「日本さくら名所100選」に選ばれるまでになっている歴史を語った。
また、大井川知事と小川市長は、小説「ある町の高い煙突」のあとがきで新田氏が、当時、日立市天気相談所の所長だった山口秀男氏(公明党の山口那津男代表の実父)に同小説の執筆を勧められたと記していることに言及し、小説誕生のルーツを紹介した。
原田事務局長は「応援する会」として、①支える②伝えを③集まる④つくる-の4つの観点で市民を糾合し、「映画を通して多くの人に日立に来てもらい、まち起こしをしていきたい」と話した。