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ひたみち日記

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「大地の芸術祭」は、地域活性化、賑わいの創出の手段!

管理者 2018年8月2日

棚田の風景
 7月31日、井手よしひろ県議は、越後妻有「大地の芸術祭」を行政の立場から推進する十日町市観光産業部観光交流課を訪ね、樋口具範課長補佐より芸術祭の概要とその課題などを聴き取り調査し、意見交換を行いました。
 「大地の芸術祭」は、平成6年当時の新潟県知事であった平山征夫氏の提案でスタートしました。『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2000』の図録に掲載された平山元知事の挨拶には、次のような言葉が綴られています。
 “新潟県では時代のパラダイムシフトを見据えた広域地域づくりプロジェクト「ニューにいがた里創プラン」を県内6地域で進めています。その一つ十日町地域の里創プラン「越後妻有アートネックレス整備事業」は、地域に内在する様々な価値をアートを媒介として掘り起こし、その魅力を高め世界に発信しつつ自立へ向けた道筋を築いていこうというものであり、その中核となる事業「大地の芸術祭」が昨年(2000年)の夏に開催されました。
 アートの力は、人々の想像力に働きかけ、営々と築いてきた日常に新しい光と未来を考えるヒントを与えてくれました。また、世界のアーチストと地域の人々との「協働」は、多くの感動の物語と自らの地域に対する誇りを与えてくれました。全国からの来訪者も優れた作品との出会いのみならず、山里のたたずまいの美しさや温かいもてなしの心にも触れていただいたことと思います。
 この事業は、前例のない地域づくりへの挑戦であったことから多くの課題や困難に直面しましたが、総合ディレクター始め関係者の大変な努力により達成することができました。また、「こへび隊」という若者を中心としたボランティア組織の活躍は目ざましく、世代や立場を越えた様々な協働や交流の原動力となり、地域づくりに多くの示唆を与えてくれました。
 次世代の地域づくりを目指し時間をかけて取り組んできた「里創プラン」、その一つが20世紀最後の年に「大地の芸術祭」として開花しました。新世紀を迎え、「心の豊かさ」が大切とされる中で、新たな時代へ大きな足跡を残したことと思います。今後の更なる飛躍を期待しております。”


越後妻有現代美術館キナーレ
 平山元知事が提唱した、“広域地域づくりプロジェクト「ニューにいがた里創プラン」”とは、新潟県内で6か所選定され、県が10年間にわたり6億円を支援することで、地域の活性化を図ろうというプロジェクトでした。まさに、安倍政権の地方創生戦略を先取りするような取り組みです。
 この6つのプロジェクトの一つが「大地の芸術祭」でした。そして、その芸術祭を地域活性化の視点で創り上げ、地域芸術祭の草分けとして発展させたのが、アートディレクターの北川フロム氏です。
 大地の芸術祭の事業費は、2000年の第1回が4億7400万円、第2回4億3590万円、第3回6億7100万円、第4回5億8200万円、第5回6億2400万円でした。県の負担は、平山元知事が作った仕組み通りに、第1回2億3800万円(事業費全体の50.2%)、第2回2億2050万円(50.5%)、第3回1億640万円(24.4%)、第4回以降は全く支出していません。実行委員会では、県の負担分を入場券(パスポート)やマップなどの販売収益や企業(サポーター)からの寄付金や協賛金、文化庁の補助金などで賄っています。
 県が種を蒔き、実行委員会(+地方自治体)が予算的にも自律して運営していることになります。

 井手県議は、「茨城県北芸術祭」と「大地の芸術祭」を対比させながら、樋口課長補佐との意見交換を進めました。
 茨城県は2016年秋、「茨城県北芸術祭」を開催しました。77万6000人の鑑賞客を集め、動員数では大地の芸術祭(前回開催は51万人)を上回りました。6億6000万円の事業費の大部分は県が支出しました。周到な準備を重ね、20年という長いときの流れの中で洗練された大地の芸術祭とわずか2年余りの短期間で開催にこぎ着けた県北芸術祭との違いを、予算割合からも垣間見ることが出来ます。
 ただし、大地の芸術祭が潤沢な予算を背景に運営されているわけではありません。大地の芸術祭の個別入場料は非常に高く設定されており、有料施設も数多くあります。県北芸術祭はほとんどが無料観賞出来たと言っても過言ではありません。有料施設の入場料も大地の芸術祭の半額程度でした。したがって、大地の芸術祭では3500円のパスポートを購入しないと圧倒的に割高になってしまいます。逆にパスポートの売上は大きく伸び、入場者が少ない大地の芸術祭が入場料収入が1億4550万円であったに対して、県北芸術祭は7300万円余りと半分程度しかありません。
 会場マップも大地の芸術祭では、1部100円と有料になっています。県北芸術祭では、無料で希望者には潤沢に配布されました。来訪者にとっては、無料でマップをもらえることは嬉しいことですが、運営を継続して行く上ではやむを得ないことかもしれません。
 こうしたことにも、大地の芸術祭が行政が行うイベントではなく、一つの有機体として機能していると評価せざるを得ません。

 大地の芸術祭と県北芸術祭のコンセプトで最も著しい違いは、作品の扱い方です。大地の芸術祭は、今回新たに175点の作品が加わり、これまでの開催で世界のアーティストが制作した約203の恒久展示作品とともに、378点の作品が展示されています。大地の芸術祭では単純平均で40点以上の作品が、恒久作品として残されてきたことになります。一方、県北芸術祭は、南條史生総合ディレクターの芸術作品との「一期一会」との考え方もあり、大部分の作品は会期終了後に撤去されました。県北芸術祭のこの考え方は、数年に一度開催する地域芸術祭を楽しみにするものにとっては大変ワクワクする取り組みです。毎回毎回、新たな感動と出会いの感激を実感できるからです。恒久作品が多くなった大地の芸術祭は、どうしても作品のメンテナンスや費用や手間も掛かり、作品自体が陳腐化してしまっています。
 こうした作品に対する考え方の違いは、地域芸術祭を地域の活性化の手段として開催するのか、地域の魅力度をアピールする観光誘客の手段として開催するのかという、基本的な哲学の相違によるものだと、今回の視察や意見交換で気づかされました。
 北川氏は、作品を展開するために、集落ごとにアンケートを取り、この地域にはどのような作品を展示して欲しいのか要望を聞くことから始めました。越後妻有地区には250の集落があるといわれますが、北川氏は100以上の集落に直接赴き、住民と対話しながら作品を展開してきました。こうした背景のある作品を、一定の期間が過ぎたら全て撤去するということは出来ないでしょう。したがって、地域のシンボルとして恒久作品が増え続けることになります。

 大地の芸術祭の会場を回ってみると、会場の案内も立派な鉄骨や鉄製の恒久的な看板が目立ちます。一方、県北芸術祭のように、のぼり旗で詳細に、分かりやすく開場まで観客を誘導する体制にはなっていません。新規に作られた作品を探すのは、結構難しいというのが実感です。北川氏から「案内板は極力少なくした方が良い。地域のために、少し迷っていろんな所に行ってもらうのも悪いことではない」との言葉もあったことを教えてもらいました。大地の芸術祭は、その全てが地域の活性化につながるか、賑わいの創出につながるかに収斂されているのです。

 大地の芸術祭の拠点施設であるキナーレでは、「2018年の<方丈記私記>展~建築家とアーティストによる四畳半の宇宙~」と題された展示が目を引きます。これは、櫛の歯が欠けたようになってしまった地方都市の中心市街地を再活性化しようとする試みに他なりません。空き店舗、空きビルの一室をアートの力で再活用し、まちの目抜き通りに賑わいを復活させようという企画です。スタンディングバーやカラオケボックなど、ユニークな作品が並んでいます。こんな遊び心からまちは復活するのかもしれないと、期待感が膨らみます。

 大地の芸術祭は、越後妻有地区の活性化、賑わいの創出のためにある、そのことを改めて確認しました。

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井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
https://y-ide.com
master@y-ide.com

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