「そんなことよりも、定数の削減をやりましょう」
先日(2025年11月26日)の党首討論で、高市早苗総理の口から飛び出したこの言葉に、思わず耳を疑った方も多いのではないでしょうか。企業・団体献金の規制という、政治への信頼そのものに関わる重要な議論を指して放たれた「そんなこと」という一言。この言葉を聞いて、私は胸のざわつきが収まりませんでした。政治とカネの問題は、決して「そんなこと」で済まされるような些細な話ではありません。むしろ、私たちの生活や未来を決める政治の、最も根幹に関わる大問題だからです。

この発言が象徴するように、政治の側が自らを律することに消極的であるならば、なおさら私たち国民の手にある武器、「政治資金規正法」の重要性が増してきます。この法律は、一言で言えば政治家のお財布事情をガラス張りにするためのルールです。政治活動にはお金がかかりますが、その入りと出を隠さずに全て明らかにすることこそが、この法律の最大の目的なのです。
ここで改めて注目したいのが、この法律の名前に使われている「キセイ」という漢字です。「規制」ではなく「規正」と書くことには、とても深い意味があります。単にルールで縛り付ける「規制」とは違い、「規正」には「過ちを正し、あるべき姿にする」という前向きな願いが込められているのです。政治腐敗という歪みをただし、本来あるべき真っ直ぐな道へと整える。それがこの法律の魂です。
しかし、総理大臣ですら「そんなこと」と表現してしまう現状を前にして、法律という道具だけ置いておいても世の中は変わりません。道具には使い手が必要です。そして、その最強の使い手こそが、私たち国民一人ひとりなのです。この法律には、政治家に毎年の「収支報告書」の公表を義務付ける決まりがあります。これは政治家の家計簿そのものであり、今ではインターネットで誰でも見ることができます。
もし私たちが「難しそうだから」と無関心でいれば、権力を持つ人たちはこの問題をさらに軽視し、「そんなこと」として片付け続けてしまうでしょう。けれど、私たちが「今年の収支はどうなっているの?」と関心を持ち、報告書に目を光らせるようになったらどうでしょうか。多くの国民が監視しているという事実は、政治家にとって何よりのプレッシャーとなり、不正を許さない緊張感を生み出します。
政治を綺麗にするのは、政治家だけの仕事ではありません。むしろ、「そんなこと」と切り捨てられそうになる問題を、「絶対に許さない重要なこと」として引き戻すのは、私たちの監視の目です。収支報告書をチェックし、検証するという「参加」を通して、私たちは初めて政治を「規正」する力を持てます。
政治への信頼を取り戻すための第一歩は、私たち自身が「そんなこと」と思わずに、しっかりと向き合うことから始まります。次の収支報告書が公開されたら、ぜひその中身を覗いてみてください。その小さな行動の一つひとつが、政治家の意識を変え、日本の政治を正しい姿へと導く大きな力になると信じています。
以下、政治資金を“規正”するために、政治資金収支報告書をどのように活用するか、ブログのまとめてみました。
