お金の流れは「対(ペア)」で初めて真実になる。収支報告書を照合して見えた課題
政治資金規正法が目指すのは、資金の流れをガラス張りにすることです。この透明性は、お金を「出した側」と「受け取った側」の記録が、例外なく一円単位、一日単位で完全に一致していることが大前提となります。なぜなら、お金の移動は常に双方向で記録され、帳簿上で必ず対になっているはずだからです。
今回は、皆さまに関心を持っていただくための一例として、参政党の茨城県支部連合会と、その傘下にある各支部の令和6年分の収支報告書を照合してみました。アップロードしていただいた画像も参照し、支部連合会から支出された資金が、各支部でどのように受領・記録されているかを具体的に検証します。


支部連合の収支報告書を見ると、①第3支部に4月14日付けで50万円、②同じく第3支部に8月1日付けで100万円が支出されています。一方、第3支部の収支報告書には、①4月14日付けで50万円が収入として掲載されています。両者の記載の整合性がとれていることになります。②はどうでしょうか。第3支部は6月1日の日付で掲載されています。日付が2ヶ月もずれています。
このように、「出した側」と「受け取った側」の記録を確かめます。すると、不都合な真実に行き着きます。

1. 支部間の交付金における金額の不一致
まず、支部連合会から各支部へ流れた資金に、記録のズレが生じていました。
- 第3支部への提供金(100万円)の記録欠落: 支部連合会は、政治活動費として第3支部へ100万円を提供したと記録しています。しかし、第3支部側の収支報告書を調べたところ、この100万円の受領を示す記載が見当たりませんでした。これは資金がどこに行ったのか、なぜ記録に残らなかったのか、という極めて重大な疑問を生じさせます。
- 第2支部の1,000円の差額: 支部連合会は第2支部へ38,350円を交付したと記録していますが、第2支部側はそれより1,000円多い39,350円を受け取ったと報告しています。わずかな金額差であっても、政治資金の記録は1円単位で一致することが原則です。
2. 日付のズレ:資金授受ルートへの疑念
資金の授受に関する日付に大きなズレが複数確認されました。
- 支部連合会側の「支出」と支部側の「受領」の日付ズレ: 例えば、画像①や②で示すように、支部連合会側が「8月1日」に第1支部へ100万円を提供したと記載している一方、第1支部側では「6月1日受領」と、なんと2ヶ月も前の日付で処理されているケースがありました。 これは単なる事務処理の遅れかもしれませんが、政治資金規正法では正確な記録が義務づけられています。また、銀行振込などの「明確で検証可能なルート」を経由していないのではないか、という疑念も生じさせ、国民の政治不信を増長させる原因となります。
3. 双方の帳簿に記録のない「幻の資金」
さらに深刻な不整合も確認されました。
- 第3支部が支出した15万円の行方不明: 第3支部は、10月と11月に合計15万円を支部連合会へ支出したと報告しています(10月11日5万円、11月20日10万円)。しかし、支部連合会の収入欄には、この15万円に対応する記載が一切ありませんでした。これは、一方が支出したと記録している資金が、もう一方の収入として帳簿に現れていないということであり、通常の会計処理ではありえない不整合です。
なぜ、私たち国民がチェックする必要があるのか
政治資金規正法は、政治活動における資金の流れを国民の監視のもとに置くために制定されています。政党やその支部が扱う資金には、私たちの税金が原資となっている「政党交付金」も含まれており、その使途説明は極めて厳格であるべきです。
今回のような記録のズレや不一致が複数確認される状況は、直ちに「意図的な不正」と断じるべきではありませんが、会計処理の体制や確認作業に重大な課題があることを示唆しています。
政治資金は、政治家の信頼そのものです。茨城の政治がより信頼されるものとなるためには、政治団体が会計処理の透明性を徹底し、こうした国民の疑問に明確に応える姿勢を持つことが欠かせません。
今回、私たちが収支報告書を「照合」したことで見えてきた課題は、政治資金の扱いにおける厳格さの重要性と、そして私たち国民の「見て、比較して、問いかける」姿勢が、いかに政治の健全な運営に不可欠であるかを強く示唆していると言えるでしょう。
