不合理な国直轄公共事業の地方負担金を至急見直しすべき
幹線国道や大規模な港、河川などの整備など国が直接行う公共事業(国直轄事業)は、その費用の一部を都道府県や市町村が負担をすることになっています。
その具体的額は、平成12年度で515億2800万円、13年度で505億6000万円となっています。
この直轄事業負担金は、度重なる国の経済対策において、補助事業(地方自治体が事業の主体で国がそれを補助する事業)に比べて、比重が毎年高まっています。ここ数年では、国補公共事業全体の25%に及んでいるのが実態です。
直轄事業といいながら、地元の負担率が高いことも問題です。例えば、国道脇の電線共同溝や河川の環境整備事業は50%。道路や河川の維持・修繕、ダムなどの水資源整備事業は45%。道路の新設や河川の災害復旧なども1/3の都道府県負担があります。このように負担が3割以上あっては、補助事業と比べメリットがあまり感じられ磨円。補助事業は、地方自治体がその事業の必要性を十分に検討し、地元住民の理解を得て行う事業です。厳しい財政の中で、難しいやりくりをしながら国と協議を重ねて実施されます。しかし、その補助率は多くて1/3程度です。反面、国の一方的な事情で行われる直轄工事の負担金が5割近くになっているのは、どうしても納得ができません。
直轄工事については、その実施箇所や内容、規模等について事前に地元都道府県や市町村と話し合う制度がありません(事前協議制度)。したがって、地元住民が優先的に工事をもとめる工事に適切な予算が投下されているか疑問があります。地方自治体は、国から直轄工事の出来高に応じて、納入通知書が一方的の送りつけられ、その金額を機械的に支出しなくてはいけない仕組みになっています。多くの直轄事業が、経済対策の一環として補正予算として行われたため、県の財政運営にも深刻な影響を与えています。(平成13年度の直轄事業負担金の当初予算は399億6500万円でしたが、最終補正予算では505億6000万円に上り、105億9500万円、26.5%も増額されました)
また、道路や河川、港湾などの維持管理費の負担を地方自治体に課することは、それ自体不合理であると考えます。平成12年度で48億3200万円、13年度48億1200万円と高額になっています。
具体的な事例をご紹介してみたいと思います。平成14年度の当初予算で、霞ヶ浦の環境整備事業に40億900万円あまりの直轄事業負担金が計上されました。国の事業費82億円の半分が茨城県の負担金となります。霞ヶ浦の底泥を浚渫したり、ヨシ原を守るための消波離岸堤を整備します。湖沼の環境整備の立場からは重要な事業ですが、厳しい県予算の中で今どうしてもやらなくてはいけない事業なのでしょうか?
国は決められた河川環境整備事業の予算から、用地買収の必要もなく、すぐに予算執行ができる事業として霞ヶ浦環境整備事業に82億円の補正予算を計上しました。県には事前の協議もなく、41億円の請求書がつけ回されてくることになります。41億円の財源があれば、小規模河川の緊急改良や交通危険個所の道路改修が何百箇所も進むことになります。公共事業の必要性、緊急性という観点から、公共事業全体を厳しく検証することが求められています。地方財政が破綻の危機にさらされている現在、国直轄事業の見直しが喫緊の課題です。
直轄事業負担の見直しへの提案
維持管理費にかかわる直轄事業負担金は、本来管理者である国が負担すべきものであることから、地方自治体の負担金を廃止すること。
直轄事業の実施にあたっては、事前協議制度を導入し、地元の意向を無視して事業が行われないような制度に改めること。
直轄事業費の負担率を軽減し、補助事業と同じレベルにすること。
このページは、茨城県議会井手よしひろの公式ホームページのアーカイブ(記録保管庫)の一部です。すでに最終更新から10年以上経過しており、現在の社会状況などと内容が一致しない場合があるかもしれません。その点をご了解下さい。 |