昨年を象徴する漢字は「災」でした。年末に起きたスマトラ津波の被害は、まさに「災」の極ともいえる残念な出来事です。「災い転じて福となす」との諺のように、私達は「福となす」努力を積み重ねなくてはいけないと思います。
さて、災害の後に議論されるのが、情報伝達のあり方です。
昨年10月の新潟中越地震では、インターネット、特にブログによる情報発信について混乱が見られました。
私は、昨年7月の集中豪雨に際して、「災害ボランティアへの情報発信の規準作り」という記事をまとめました。その基本は、信頼できる一次情報(災害現場で情報の発信者が事実に基づき発信する情報)をどう効果的に発信するかということでした。
新潟中越地震では、一次情報ではない、伝聞や引用による情報がチェーンメール化して、話題となりました。(実際は問題となったという表現が正しいかしれません)
意見や感想を述べる場合に、引用や他のサイトの情報を使用することがあります。しかし、防災情報に関しては、安易な情報の転用は避けるべきです。
また、現場以外での情報発信も控えるべきです。マスコミ情報を引用し、データベース化したブログサイトも誕生しましたが、徒に情報の混乱を増すばかりだと思います。過ぎたるは及ばざるが如し、自分で検証できない情報は掲載しないという原則を確認したいものです。
さて、防災関係のブログとしては草分け的存在の「ケーンオカサカドットコム」では、こうした混乱を冷静に受け止めて建設的な提言が行われています。11月4日には「『diblog:ディブログ』の提案」、そして1月1日には「▼災害情報とインターネットについての予測」が掲載されています。
その中でケーンオカサカ氏は、「この事態(チェーンメールなどインターネットによる防災情報の混乱)に太刀打ちする技術のイメージは『情報ロンダリング』『情報洗濯機』だ。現在の技術で言えば『セマンティックウェブ』がそれに近いような気がする」と、今後の方向性を示唆しています。
今年は、防災上の提供方法についても「災い転じて福となす」努力を、確実に進めたい一年です。
参考:ケーンオカサカドットコム
参考:Tips Semantic Web(セマンティックウェブについての簡潔な説明)
参考:新潟地震に関するチェーンメール
参考:わが家の閑話休題~別館~(新潟中越地震関連で派生したインターネットにおける草の根的な災害情報を提供する人のアドバイス用ブログ)
井出さん、あけましておめでとうございます。でも『セマンティックウェブ』はあくまで概念であって技術として成り立っていないのが現状です。それを災害情報に特化して、いかに実現するか?がとりあえずのベクトルになります。でもこの考え、単純に「情報の出し側を制御できないなら、受け側を制御しよう」と発想しただけなんですけどね。