日立電鉄の累積赤字は81億円超
今年3月末で廃線となった日立電鉄線を経営していた日立電鉄の第98期決算公告が、6月20日付の茨城新聞に記載されました。それによると、営業利益は2億7900万円の黒字、経常利益も2億300万円の黒字でした。しかし特別損失が27億300万円となり、当期純損失は22億9000万円となりました。繰越損失も含めて当期の未処理損失(累積赤字)は81億5500万円に達しました。資本金は5億円ですか、資本金の16倍の損失を計上していることになります。
また、負債総額は151億200万円となっており、会社を清算することもできない状態と思われます。
この数字だけを見ると、日立電鉄線の廃線は、止む終えないことのようにも見られます。
親会社・日立製作所が65億円の資本注入
こうした状況を受け、日立電鉄は系列グループ会社も含めて、6月26日までに、産業再生法の認定を受けました。6月末にも日立製作所による第三者割当増資などで財務基盤を強化し、10月にはバスや観光、サービス会社を合併し、再スタートすることになりました。反対に、不動産事業などは分離されます。
バス事業を中心に再編成される企業は、持ち株会社の日立電鉄ホールディングス、日立電鉄、日立電鉄バス、日立電鉄観光、日立電鉄サービスの5社です。日立電鉄ホールディングスは、日立製作所から65億円の増資を受け、日立電鉄はホールディングスから63億円の増資を受けます。これにより日立電鉄の債務超過は解消されます。
日立電鉄の株式は、すべてホールディングスに集約され、法人や地方公共団体を含めた約500人の株主に対しては、一株50円(額面そのもの)で買い取る計画です。
日立電鉄の不動産事業は、日立製作所の関連企業に移管されます。
こうした再構築により2008年度には有利子負債はキャッシュフローの4.4倍とし、経常収入は同支出を上回る計画になっています。
正式な名称を「産業活力再生特別措置法」といい、不採算部門からの撤退など事業の再構築を支援することを目的としています。産業再生法の適用を受けた会社としては、流通最大手のダイエー、自動車メーカーのいすゞ、マンション建築の長谷工などが有名です。産業再生法においては、事業からの撤退や、新たな分野への進出を支援するため、
1.設備廃棄に伴う欠損金の繰越期間の延長
2.登録免許税や不動産取得税の軽減
3.日本政策投資銀行の低利融資
などが規定されています。