小麦や大豆など世界的に穀物需給が逼迫する中で、日本のカロリーベースの食料自給率(国内で消費されている食料のうち自国でまかな賄われている割合)は、約4割という低水準で推移しています。
一方、全国には耕し手のいない耕作放棄地が約38万ヘクタールもあり、大きな問題になっています。そもそも、耕作放棄地とは1年以上の間、作物を栽培せず、今後数年の間に再び耕作される見込みのない土地のことです。
こうした耕作放棄地は、年々増え続けています。日本の耕作放棄地面積は、平成7年に約24万4314へクタールだったのが、平成12年には34万2879ヘクタール、平成17年には約1.5倍の38万5791ヘクタールに達しました。茨城県の場合、平成7年に1万392ヘクタールであったものが、平成12年に1万6250ヘクタール、平成17年には2万357ヘクタールと2倍近くに増大しています。
耕作放棄地の増加 | ||||
平成7年 | 平成12年 | 平成17年 | 増加率 | |
全国 | 244,314ha | 342,789ha | 385,791ha | 157.9% |
茨城 | 10,392ha | 16,205ha | 20,357ha | 195.9% |
耕作放棄地が増加している要因は、農家の高齢化と労働力不足にあります。今や農業従事者の6割は65歳以上の高齢者といわれ、農業の主力はお年寄りが担っているといっても過言ではありません。今後、高齢農業者の引退は避けることができず、ますます耕作放棄地が増加することが懸念されています。
また、農作物価格の低迷や農地の貸し借りがうまくいっていないことなども後継者不足に拍車を掛け、耕作放棄地が増加しています。
農地は一度遊休化すると、数年足らずで荒廃が進み、再び耕作が可能な農地へと復旧するためには多大な労力と資金が必要になります。
耕作放棄地の所有者は「土地持ち非農家」が多数存在しています。土地持ち非農家とは、耕地や耕作放棄地を合わせて5アール以上所有している農家以外の世帯のことです。耕作放棄地の4割を土地持ち非農家が占めています。農家が高齢化などで農作業ができなくなった後に、その田畑を管理する人がいない現状があります。また、農地のある市町村外に住んでいる「不在土地持ち非農家」が増加することが懸念されています。
茨城県においては、耕作放棄地の解消・活用のために次のような対策が行われています。
- 遊休農地整備継承事業
財団法人茨城県農林振興公社が事業主体となり、耕作放棄地を耕作可能な状態にするための簡易な基盤整備を行い、その農地を活用する生産者の負担軽減を図る(助成率:国1/2、県1/4) - 遊休農地活用緊急対策事業
市町村等が主体となって取り組む市民農園や企業参入等に必要な農地整備などに助成(助成率:国1/2) - 放牧等による遊休農地再生活用事業
遊休農地を活用した放牧技術を普及させるための実証圃を設置 - 企業等を活用した遊休農地再活用促進事業
一般企業が農業に算入する際に必要な機械・施設の整備等を支援(助成率:県1/3) - いばらき農業元気アップチャレンジ事業
農業者集団、市町村等が創意工夫して行う耕作放棄地の発生抑制・再活用等も含めた新たな取り組みへの支援(助成率:県1/2)