防災環境商工委員会で説明聴取
2月8日、井手よしひろ県議が所属する防災環境商工委員会が開かれ、事務事業の説明などが行われました。この中で、廃棄物対策課長より、東日本大震災に関わる災害廃棄物の処理状況について説明がありました。
特に、宮城県から受け入れている災害廃棄物について、本年1月末現在で可燃物1211トン(平成24年度、25年度の受入計画量:2500トン)、7366トン(同:3万トン)、合計8577トン(同:3万2500トン)の搬入が完了していることが報告されました。
宮城県では今回の震災とその後の津波被害によって、年間排出量の13年分に当たる1103万トンの災害廃棄物が発生しています。昨年12月末までに、その内530万トンの処理が終わりましたが、その処分率は未だに48%と半分にも達していません。
茨城県議会では、昨年3月の定例議会で「東日本大震災で発生した災害廃棄物の本県の受け入れを求める決議」を行い、県が関与する公共最終処分場「エコフロンティアかさま」を中心に、災害廃棄物の広域処理受け入れを表明しました。「茨城県は同じ東日本大震災の被災地であることから、本県が受け入れを表明することにより、被災地を支援していく強い使命感を、広く全国に発信することになると信ずる」と、決議文に記したように、広域処理は被災地復興の大きな力になると信じています。
こうした県議会の動きや地元住民の皆様のご理解を得て、県内に災害廃棄物の処理に一定の見込みがついた昨年8月30日以降、「エコフロンティアかさま」での本格的な災害廃棄物受け入れがスタートされました。
特に、茨城県の災害廃棄物受け入れの特徴は、不燃物の受け入れです。エコフロンティアかさまでの不燃物3万トンの受け入れは、山形県内の施設についで全国2番目の規模となっています。
不燃物にしろ可燃物にしろ、災害廃棄物の受け入れに際しての課題は2つあります。1つは放射線量の厳格な管理、2つに受け入れる廃棄物の適正な分別の徹底です。
(写真は、石巻ブロック災害廃棄物処理センターでの手作業による分別作業)
石巻ブロック災害廃棄物処理施設を現地調査
茨城県議会公明党では、この委員会に先立ち2月5日から7日までの3日間、福島県・宮城県地域の県外調査を実施。2月7日には、宮城県石巻ブロック災害廃棄物処理施設を訪問し、現地での廃棄物処理の現状を直接視察して来ました。この視察には、井手よしひろ県議と八島いさお県議が参加。宮城県環境生活部震災廃棄物対策課の笹出陽康課長より、直接現場の案内と説明聴取を行いました。
宮城県では、県内市町村の一時仮置き場で粗選別した災害廃棄物を、二次仮置き場に搬送し、その後、分別、破砕等の処理によりできる限り再資源化を図ることで焼却・埋め立て処理、処分の減量化に務めています。宮城県内を広域市町村圏をもとに、気仙沼ブロック、宮城東部ブロック、亘理・名取ブロックの4つブロックに分け、各ブロックごとに大規模な中間処理施設を1か所または数か所設置して処理に当たっています。
井手県議らが視察した「石巻ブロック災害廃棄物処理施設」は、この中で最大規模であり、エコフロンティアかさまに搬出される災害廃棄物の処理も行われています。「石巻ブロック処理施設」は、総面積約68haの敷地に、1日あたり1590トンの焼却能力を持つ焼却炉などの中間処理施設を設け、石巻市が排出する一般廃棄物100年分に相当する約650万トンの災害がれきを平成26年3月までの約2年で処理する計画です。中間処理施設としては国内最大規模です。
この中間処分場の運営にあたっては、被災地の復興に資することが最重要視されました。大手ゼネコンのJV職員62名と約500名の作業員が従事し、120台あまりの重機が稼働していますが、資機材や物資は地元優先で調達され、最盛期1日1250名を予定する作業人員は地元での雇用が確保されています。
井手県議らが視察した2月7日は生憎の大雪。広い処分場は雪に阻まれて全体像を望むこともできませんでした。その中でも、茨城に搬入される震災廃棄物の分別状況と放射線管理の現状を中心に調査しました。
茨城に搬出されるトラックは、1日7~8台程度の大型車。積上出しにあたっては、トラックの出発ゲートに設置された放射線モニタリング装置で自動的に放射線量が測定され、記録されていきます。(当然、エコフロンティアかさまでの受入時にも線量を測定しダブルチェックをしています)
また、廃棄物の分別にあたっては、トラックへの積み込みまでに計3回に渡り手選別(人の手による選別)を行い、危険物や異物の混入を極力少なくしていました。
「茨城県にはいち早く広域処理へのご理解をいただき、宮城県民のひとりとして深く感謝いたします。せっかく受け入れていただくからには、放射線管理や分別を徹底し、茨城の皆さんにご迷惑がかからないよう、努力してまいります」との視察後の笹出課長のご挨拶が特に印象的でした。
現地調査と委員会の質疑が連動した有意義な会派県外調査となりました。
(写真上:日量1500トン以上の処理能力を持つ焼却処理施設の説明を聴く井手よしひろ県議、写真下:新たに開発された空間線量率高速計測システム)