1月31日、井手よしひろ県議は福島県いわき市の株式会社磐城高箸(いわきたかはし)を訪れ、高橋正行社長より地域の資源を活用したものづくりについて、工場や開発の現場を視察するとともに、様々お話を伺いました。
高橋社長は、東日本大震災の前年、2010年に神奈川県横須賀市からいわき市に移住し、高級杉割り箸製造・販売を営む磐城高箸を設立。そんな時に東日本大震災に被災してしまいました。震災後の大変の状況から福島が立ち上がり、50年後、100年後の磐城の森を守るために、高橋さんは全く新しい発想でのものづくりに挑戦し始めました。
林業復興には杉間伐材の有効活用が不可欠です。そこで着目したのが間伐材を使った割り箸。ただの割り箸ではありません。最高級の割り箸です。高橋さんがつくりあげたのが、「希望のかけ箸」です。「希望のかけ箸」は、震災で被害が大きかった岩手県、宮城県、福島県の杉の間伐材を使用した割り箸です。割り箸が復興の架け橋となるよう、自然豊かな東北の地が再び人々の希望を実らせる場所となるようにと願いを込めてつくられました。
国内で見かける割り箸の95%以上は外国産でつくられています。しかし、磐城高箸は100%国産の杉材を使用しています。国産割り箸は間伐材、端材(丸太から建築用材を取った残り)等から製造されて、環境にとても優しいものです。森林の荒廃を防ぐために、間伐は非常に重要です。CO2削減の観点から、使用後の割り箸もボイラーで燃焼し工場の暖房に使うなど、環境負荷をゼロに近づける努力をしてきました。
株式会社磐城高箸のHP
http://iwaki-takahashi.biz/
この「希望のかけ箸」の製作には、被災地を支援しようという様々な力が結集しました。パッケージのデザインや商品紹介のウェッブサイトなどを、デザイナーのグループがボランティアで支援してくれました。素材、製品そのものの素晴らしさと、デザインや訴求法の素晴らしさで、「希望のかけ箸」は大ヒットとなりました。
平成23年度全国間伐・間伐材利用コンクールにおいて間伐推進中央協議会会長賞を受賞、平成24年度福島県新商品生産による新事業分野開拓者認定制度認定商品に選ばれ、平成24年度福島県観光みやげ品推薦品、平成25年度グッドデザイン賞受賞など数々の賞を受賞しました。
現在は杉のチップを使った枕「眠り杉枕」を開発。クラウドファンディングで全国からの投資を呼びかけています。柔らかく、湿気をよく吸収する杉材。独自の芳香成分が安眠を誘います。この杉のチップは割り箸を製造した際に出る、未利用材です。捨てられてしまう材料に新たな生命が吹き込まれました。
クラウドファンディングによる先行販売では、目標の120万円を大きく上回る170万円を以上の資金が、1月末現在で集まっています。
割り箸から枕!?優しい感触と癒しの香り、育てて寝るのが楽しみな「眠り杉枕」
https://www.makuake.com/project/waribashi-iwaki/
磐城高箸の製品作りの特徴は、原材料から製品まで、そしてその加工を行う機械・装置まで、徹底的に“自らがつくる”ということにこだわったことです。
磐城高箸の割り箸作りは、杉の丸太を仕入れることから始まります。丸太をチェーンソーで切断し、斧で割り、乾燥させ、板に加工。その板を箸に加工し、仕上げを行い、焼き印を押し、袋詰めや箱詰めを行う。この過程を全て自社工場で完結しています。
杉という材質の特徴はその柔らかさにあります。しかし、割り箸にするためには、水分を蒸発させ杉板を乾燥させなくてはいけません。高橋さんは、何とその乾燥機さえ独自のアイデアで自作したのです。トラックのラジエーターと、端材や切りくずを燃やすウッドボイラー、そして断熱材入りの冷蔵コンテナを組み合わせて、特製の乾燥室を作りあげました。
すべての製造工程が自己完結できますので、お客様の要望に細かく応えることが出来ます。高級飲食店の厳しい要望や国賓級のお客様を迎えるイベント毎の特注品に、答えることができる仕組みが出来ています。
地域の素晴らしい素材に磨きを掛け、それを輝く宝物ものとして日本中、世界中の人々に届けていく。こんなエキサイティングな取組が、いわき市の郊外・小さな工場で行われていました。
創価大学経済学部の碓井健寛准教授には、磐城高箸の高橋社長をご紹介いただき、訪問の機会を作っていただきました。碓井准教授と一緒に学んだ創価大学の学生の皆さまに感謝いたします。