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子宮頸がんワクチンの早期接種再開を訴える村中璃子さん

管理者 2018年3月10日

10万個の子宮

 この2月に発刊された「10万個の子宮ーあの激しいけいれんは子宮頭がんワクチンの副反応なのか」との書籍が話題となっています。

 著者は、京都大学医学研究科非常勤講師・村中璃子さん。村中さんは、一橋大学社会学部出身の社会学修士。その後、北海道大学医学部を卒業し、WHOの新興感染症チームに加わり、現在は医師としてジャーナリストとして、ダブルメジャーの執筆活動、講演活動、社会啓発活動を行っています。

 2015年10月、子宮頸がんワクチン問題について月刊誌に「エビデンスと無視で作りだされる”薬害” 子宮頸がんワクチン再開できず」、「日本が世界に広げる薬害騒動」、「あの激しいけいれんは本当に子宮頸がんワクチンの副反応なのか」、「子宮頸がんワクチン薬害説にサイエンスはあるか」、「子宮頸がんワクチンのせいだと苦しむ少女たちをどう救うか」などを次々と発表。日本の医学界、科学界から強い支持を得ました。科学的エビデェンスに基づき、子宮頸がんをなくそうと努力してきた多くの医師や関係者に勇気を与えてきました。

 昨年(2017年)11月、こうした活動が高く評価され、イギリスの世界的科学誌「ネイチャー」の元編集長の功績を称えて創設された「ジョン・マドックス賞」を受賞しました。


村中璃子さん 「ジョン・マドックス賞」を紹介したネイチャー誌は、HPVワクチンについて、「子宮頸がんやその他のがんを防ぐ鍵として、科学界や医療界で認められ、WHO(世界保健機関)に支持されている」と評価しています。

 その上で、「日本においては、このワクチンの信頼性を貶める誤った情報キャンペーンが全国的に繰り広げられた。その結果、接種率は70%から1%未満に落ち込んだ)」と指摘し、日本の状況を厳しく批判しました。

 そして、村中さんの言論活動を「困難や敵意に直面しながらも、公共の利益のために科学や科学的根拠を広めた」と評価し、25か国、100の候補者の中から「ジョン・マドックス賞」に選んだとしています。

子宮頸がんはHPVワクチンで予防可能

 子宮頸がんは H P V(ヒトパピローマウルス)によって発症するがんです。HPVの感染を防ぐことができれば、非常に高い確率で子宮頸がんを予防できるとされています。

 産婦人科医、がん専門医などの懸命な努力で、その導入が遅れていた日本でも、2013年4月に小学6年生から高校1年生の女子を対象に、公費による定期接種が認められるようになりました。

 2010年当時、H P V ウクチンの公費助成を認めさせるために、井手よしひろ県議らは、県内で繰り返し有効性を訴える講演会や署名運動を展開しました。(「子宮頸がんワクチンに公費助成を、12,835名の署名提出」http://blog.hitachi-net.jp/archives/51101984.html)

激しい痛みやけいれんはHPVワクチンの副反応なのか

 しかし、定期接種がはじまると、注射後に激しい痛みやけいれんなど多様な症状を訴える声が相次ぎました。この頃からマスコミは、けいれんや痛みを訴える女の子の姿が度々取り上げられました。

 HPVワクチンは「怖いワクチン」との印象操作が繰り返され、「薬害」との煽情的な言葉が飛び交うようになります。

 国はわずか二か月で、HPVワクチンの接種を積極医的には勧奨しない方針に展開しました。

 村中さんは2014年頃、テレビでけいれんする女の子を見て、「これは薬害なのか?」と疑いを持ち取材を始めました。

 ところが、小児科医や小児精神科医を取材したところ、ワクチンを打っていなくても、思春期特有の症状として、同様の症状を訴える子供が多いことに気づきます。

 取材を重ね、2015年10月から、月刊誌にHPVワクチン接種後の多彩な症状は薬害ではないのではないかと科学的に検証する記事を次々に発表していきました。

 厚労省は、接種後の症状に苦しむ人のために全国に診療体制を整えたほか、治療法を探るために二つの研究班を設置しました。その一つ、池田修一・信州大学医学部長(当時)を班長とする「池田班」は、「HPVワクチンの成分が脳に障害をもたらす」という仮設をもとにした研究を行いました。村中さんは、この研究内容の発表に、「捏造行為があった」と指摘。池田班が行っていたのは、その基礎的なメカニズムを明らかにするマウス実験で、自説に都合の良いデータを恣意的に選ぶ不正が行われたと主張したのです。厚労省は後に「池田氏の不適切な発表により、国民に対して誤解を招く事態となった」と異例の見解を公表しました。

 池田氏は村中さんや村中さんの主張を掲載した雑誌を、名誉を毀損されたとして訴訟を起こしました。

 また、障害を発症した人たちやその関係者により、国や製薬会社に損害賠償を求める集団訴訟が全国で提起されました。

 こうした状況を村中さんは「訴訟以降は、HPVワクチンについては書かないという空気がメディアに広がり、当時もっていた3つの連載は全て切られてはいました。私は、同薬害を薬害でないと言っている悪者と位置付けられ、ほとんどメディアで記事を発信することができなくなりました」と述べています。

 これについても、ネイチャー誌は、「訴訟で彼女の口を封じようとし、彼女の専門家とし、彼女の専門家としての地位を貶めようとする動きに直面しながらも、このワクチンの安全性について科学的根拠を明らかにし続けた。これにより、科学的根拠を重視することが日本人だけでなく世界の公衆衛生に対しても役立つということを保証してきた」と評価しています。

 なお、アイルランドやデンマークでも、薬害を訴える人の運動をマスメディアが広く報道することで、HPVワクチン接種率が激減する事態が起こっており、世界共通の問題となっています。

 厚労省はワクチンの安全性を検証する検討会で、ワクチン接種後の体調不良の多くは、心理的・社会的な要因が関連する心身反応(機能性身体障害)と結論づけています。

 さらに、厚労省の研究班(祖父江班)が行った全国疫学調査で、ワクチンを打っていない人でも、接種後に体調不良を訴える女子と似た多様な症状が見られることが明らかにされました。

 日本小児科学会や日本産科婦人科学会など17の関連学術学会は、2016年4月に、積極的な接種を推奨する見解を発表。ワクチンの有効性は国内の研究でも徐々に明らかにされていっています。

 WHOは、2015年12月に「若い女性たちはワクチン接種によって予防しうるHPV関連のがんに対して無防備になっている。弱い科学的根拠に基づく政策決定は、安全かつ有効なワクチンを使用しないことにつながり、実害をもたらしうる」と日本を名指しで批判ました。今年7月にも改めて「HPVワクチンと様々な症状との因果関係を示す根拠は今のところない」「HPVワクチンは極めて安全」という見解を公表しました。

日本初ワクチンの安全性を確かめる大規模調査

 2015年1月、ワクチンの薬害を訴える「子宮頸がん予防ワクチン被害者連絡会愛知支部」が、名古屋市に実態調査を要望したのを受けて、河村たかし市長が大規模な疫学調査を実施しました。

 日本で初めて、HPVワクチンと接種後に訴えられている体調不良との関連を調べる大規模な調査で、ワクチンの安全性を検証する重要な研究として注目を集めていました。

 調査は、2015年9月、名古屋市に住民票がある女子7万1177人を対象にアンケート形式で行われ、3万793人から回答がありました。そのうち、有効回答2万9846人分を解析したものです。

 この問題を受けて、名古屋市が名古屋市立大学に委託してワクチンを打った女子と打たなかった女子で現れる症状を比較した調査の結果をまとめた論文が、このほど公開されました。

 「月経不順」「関節や体が痛む」「身体がだるい」など、接種後に現れるとされている24の症状について起こりやすさを比較したところ、いずれも統計的に意味のある差は見られませんでした。

 解析した名古屋市立大学大学院医学研究科公衆衛生学分野教授の鈴木貞夫さんは論文で、「HPVワクチンと有害な症状との因果関係がないことを示唆している」と結論づけました。鈴木氏の研究がなければ、この名古屋の調査は闇に葬られる瀬戸際でした。

 子宮頸がんの薬害を裏付けようとした大規模調査が、その因果関係を否定する結論となりました。

3万の命と10万個の子宮

「ジョン・マドックス賞」の授賞式での村中さんのスピーチの一説が胸に刺さります。

日本では毎年、3000の命と1万の子宮が失われている。

母校北海道大学で講演をした際、ひとりの若い産婦人科医が私にこう尋ねた。

――僕たちだけあとどのくらい子宮を掘り続ければいいんですか。

子宮を「掘る」、すなわち子宮を摘出するという意味だ。

日本では国家賠償請求訴訟が終わるまでには10年を要すると言われる。また、訴訟が終わるまで、接種再開を決断できる首相や官僚は出ないだろうとも言われる。よって、もし子宮頸がんワクチン接種再開まであと10年を待つ必要があるとすれば、日本人の産婦人科医は、いったいいくつの子宮を掘りだせばいいのだろうか。

答えは「10万個」だ。

掘り出した10万個の子宮を想像してほしい。その持ち主である女性たち、そこから生まれ母を失った子どもたちを。そこから生まれてくるはずだった子どもたちを。

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井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
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