4月4日、SNS最大手FaceBookは、イギリスの政治コンサルティング企業ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)によって、約8700万人分の情報を不正取得されと公表しました。
漏洩情報は、当初の推定5000万人から3700万人拡大し、8700万人規模になりました。その大半は、アメリカでのFacebook利用者であり、2016年のアメリカ大統領選に、トランプ陣営により活用された可能性があるといわれています。数あるSNSの中でも、実名登録が基本で、リアルな個人情報がヒモづけされているFacebookの情報漏洩は、影響力が大きいものがります。生年月日や出身校など詳細な個人情報から住居、地域、関心、知人、宗教、支持政党、恋愛の対象に至るまで、その情報は多岐にわたります。その上、その人の友人関係などネットワーク全般にまで情報が利用されています。
ここで注目したいのは、その情報がどのようにして漏洩したかということです。Facebookのサーバーに侵入したり、第三者が情報を持ち出したわけではありません。
Facebookの情報漏洩の要因は、そのほとんどが『アプリ』経由であるといわれています。『占いアプリ』や『心理アプリ』『クイズアプリ』などがあり、そのアプリを利用したいと思った人が、自ら望んで、そのアプリを登録し、利用し、個人情報を流出させてしまったのです。さらに、恐ろしいことに、自分の個人情報のみならず、友達リストなどを明け渡してしまうところに深刻な問題がありました。
一人の不用意なFacebookの友人の存在により、どんなに個人情報をしっかりと管理していても、Facebook上の情報が漏えいしてしまいました。
ケンブリッジ大学の心理学の研究者がフェイスブックのルールに従い、ユーザーの同意を得たうえでフェイスブック専用の性格診断のクイズアプリを使った調査を実施しました。そのアプリは27万人がダウンロードしました。その27万人の「友達リスト」は、推定8700万人もの情報漏えいへと拡大したのです。
Facebookのサイトには、こうしたアプリが個人情報にアクセスすることを明確にうたっていました。アプリをインストールすると、アプリに公開プロフィールにアクセスする許可を与えることの同意を求められます。これには名前、プロフィール写真、ユーザーネーム、ユーザーID、ネットワークなど、公開を許可した情報がすべて含まれます。また、パーソナライズされた利用環境を提供するための他の情報(友達リスト、性別、年齢層、地域など)もアプリに提供されます。
Facebookに占いアプリをインストールすると、結果的にこのような情報がアプリ開発社に渡ってしまっているのです。そしてほとんどのFacebookユーザーが、それを知らないで、承認してしまっていました。
これの情報が第3者にわたり、アメリカの大統領選挙の結果を左右するほどの大事件につながったのです。この世紀の一大事は果たして違法性が問えるのか、今後大きな関心事となるでしょう。
それでは、私たちはこのような情報漏えいを避けるために、どのような対策を取ればよいのでしょうか。
なんといっても、『占いアプリ』や『心理アプリ』『クイズアプリ』などの勧誘に絶対に負けないことです。どんなに興味をそそる内容でも、こうしたアプリを実行しないことです。
そのうえで、Facebook『アプリ』の設定を確認しましょう。
Facebookの【設定】をこの機会にチェックしておくことをお勧めします。記憶のない、使っていないような『アプリ』は、今すぐに削除すべきです。特に、『占い系アプリ』『診断系アプリ』などは、もう使わないはずなので即削除です。
Facebook『アプリ』は、他のウェブサービスなどのIDとパスワードにも利用されています。よく「FacebookのIDでログイン」などと表示されるものです。こうしたアプリも、一度、アプリの設定で確認しておきましょう。
そして、『占いアプリ』『心理アプリ』『クイズアプリ』などが、あなたの情報を悪用しないよう、利用制限を必ず『自分のみ』にして、万一の時にも「友達」に迷惑をおよばないようにこころがけておくべきです。
具体的な設定方法は、例えば、アイフォンのFacebookアプリ(2018年4月7日現在の仕様)では以下の通りです。
①最下段の右側【三】マークをタップし、最下部の【設定とプライバシー】を選択。
②【プライバシーセンター】を選択。
③【プライバシー設定の確認】を選択。
④プライバシーの設定の確認画面が出たら、3つのステップにしたがって、各アプリを確認します。
⑤最初が【投稿】、二番目が【プロフィール】、そして三番目が問題の【アプリ】です。
⑥【アプリ】の画面で、公開する範囲を選択し、不必要なものは✖印をタップして削除します。終わったら右上の【完了】をタップします。