【ファイザー製3週間の間隔で2回/米英3社と契約1億5700万人分】
新型コロナウィルス感染症が蔓延する中で、そのゲームチェンジャーとして大いに期待されているのがワクチンの接種です。
新型コロナウイルスのワクチンを希望する全国民への無料接種に向けて政府は、米、英両国の3社と計1億5700万人分のワクチン供給を受ける契約を結んでいます。内訳は、ファイザー社(米国)と1億4400万回分、モデルナ社・武田薬品(米国)5000万回分、アストラゼネカ社(英国)1億2000万回分です。(1人2回の接種が必要です)
このうち、現段階で薬事承認申請が出ている米ファイザー社のワクチンが承認された場合、政府は、2月下旬から国立病院などの1万~2万人程度を対象に「医療従事者向け先行接種」を開始できるよう準備を進めています。
厚生労働省によると、接種は「医療従事者向け先行接種(1万~2万人程度)→医療従事者向け優先接種(370万人程度)→65歳以上の高齢者向け優先接種(3600万人程度)→その他の人(持病のある人などを優先)」の順で始まります。接種回数は2回となる見通しで、ファイザー製の場合、3週間の間隔を空けます。接種対象は当面、16歳以上になる見込みです。
「医療従事者向け優先接種」は、都道府県が3月中旬以降に実施できるよう取り組みます。
一般住民への接種を担うのは市区町村です。まずは「高齢者向け優先接種」の3月下旬から4月上旬の開始を想定しています。接種は原則、住民票がある市区町村の医療機関や体育館などの特設会場で受けます。市区町村から接種券(クーポン券)が届く→電話やインターネットで予約→「接種券」と運転免許証などの本人確認書類を持って会場へ――という流れとなります。やむを得ない事情がある場合は、住民票所在地以外でも受けられます。
高齢者向け優先接種では、接種券(クーポン券)を3月中旬以降に発送し、2回の接種を開始から3カ月以内に終えることをめざします。高齢者施設入所者への接種の際に、職員に接種することも認められます。
ファイザー製は、基本的に零下75度での保管が必要となるため、超低温冷凍庫を設置した医療機関などが「基本型接種施設」と位置付けられ、そこを起点に他の施設に配送されます。
高齢者の定義は、令和4年3月31日までに65歳なった方です(昭和32年3月31日以前に誕生した方)。
副反応に関しては、海外での接種で、まれな頻度で急性アレルギー反応が発生しています。接種後は会場でしばらく待機し、その間に同反応が起きたら、その場で治療を行うことになります。副反応を巡る相談・治療の体制は各都道府県で整備されます。健康被害が生じた場合、予防接種法に基づく救済を受けられます。
【日立市/3月下旬から高齢者5万9千人にかかりつけ医で接種を計画】
1月28日、日立市のワクチン接種体制の概要が明らかになりました。日立市では、基本的にかかりつけ医で実施することになりました。ワクチン接種には住民に不安感もあり、接種場所への移動の観点も踏まえ、身近でよく知る医療機関での接種が妥当と判断しました。日立市は2月1日付けで、新型コロナウイルス感染症対策本部に17人の職員で構成する「ワクチン接種対策チーム」を設置する方針です。
日立市の人口は約17万3千人で、国が想定する接種率7割を当てはめると約12万人が接種を受けることになります。この内、高齢者は約5万9000人で、接種想定は4万2千人となります。1人2回の接種が必要ですので、高齢者枠で8万4千回の接種が必要となります。3月下旬から3カ月以内(6月下旬まで)に完了を目指します。日立市は、昨年10月~12月の3ヶ月で、市内70カ所の医療機関で、述べ8万7千人のインフルエンザワクチンの接種を行っています。高齢者分の接種は十分に可能であると判断しました。また、高齢者施設など必要に応じて集団接種も検討します。
ファイザー社のワクチンに対応する超低温冷凍庫は、日立市に11台割り当てられます。ファイザー社製ワクチンは温度管理などで扱いが難しい面もあり、接種の在り方については、国からのワクチン配分方法や量、時期なども勘案しながら調整します。