
私は、かみね動物園が大好きです。掲載した写真は開設50周年記念の写真コンテストで最優秀賞をいただいた私の写真です。
日立市が令和3年9月に取りまとめた「かみね公園活性化計画」は、大変興味深いものでした。その計画は、「誰でも いつでも 楽しめるかみね公園」という将来像を描き、子どもから高齢者まで、あらゆる世代が日々の暮らしの中で何度も足を運びたくなるような、開かれた空間づくりを目指すものでした。
とりわけ、かみね動物園は、北関東唯一の本格的な動物園であり、地域に根差した憩いの場であり、教育・観光・交流の場として、市民から深く愛されてきました。市はそのシンボル的存在に、さらなる魅力を加えるべく、再整備と活性化の方針を明確に示してきました。動物園を核とした“Zooっと楽しい”公園というコンセプトは、我が意を得たりとの思いでした。
しかし、現実はどうでしょうか。
計画策定からわずか4年。令和7年度より、かみね動物園は「経常収支の改善」を理由に、長年守ってきた年中無休の体制をやめ、「月曜休園」に変更されました。この決定に対し、私は強い違和感を覚えます。なぜなら、その議論の過程が、市民に十分に知らされていなかったからです。
多くの市民が、ある日突然、「休園日ができた」ことを市の発表やSNS、あるいは新聞報道などを通じて知る──これは本来あるべき公共施設のあり方とは言えません。かみね動物園は、私たち市民の財産であり、市の顔でもあります。その運営方針が大きく転換されるのであれば、当然ながら、事前に市民との意見交換の場が持たれるべきでした。
「市民の声に耳を傾け、共にまちをつくる」と掲げてきた地方自治の原点は、どこに置き去りにされたのでしょうか。収支の合理化だけで、開かれた施設を“閉じる”方向へ舵を切るのであれば、その影響や代替手段、市民の生活や観光への波及効果などを丁寧に説明する責任があります。
本来、「かみね公園活性化計画」は、観光振興、地域活性化、そして市民の誇りの醸成を目指すものであったはずです。ところが、いつでも誰でも訪れることができるという「公園の顔」が、月曜には“閉ざされる”。この方針転換は、理念と実際がかけ離れてしまった象徴的な出来事ではないでしょうか。
今、私たちが求めるべきは、単なるコスト削減の論理ではありません。市民の信頼と共感を得ながら、公園の未来を共に築いていく「参加と対話」の行政です。動物園の休園に限らず、公共施設の在り方一つを取っても、そこには市民の生活、感情、まちへの愛着が深く関わっていることを、行政は再認識するべきです。
かみね動物園の月曜休園──それは一つの決定ではなく、「市民との距離」が問われる大きな象徴です。私は、今こそ対話の場を設け、初心に立ち返った開かれた議論を望みます。そして、再び「いつでも楽しめる公園」としてのかみねの姿を、市民と共に描き直すべき時だと考えています。
参考:かみね公園活性化計画(令和3年9月)
https://www.city.hitachi.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/003/316/1.pdf