11月26日の党首討論で考えた、日本の原則と政治の姿勢
11月26日の党首討論で高市早苗首相の答弁を聞いていると、日本の安全保障の土台となるはずの“国家としての原則”が十分に認識されないまま議論が進んでいるように感じました。日中関係や台湾情勢など緊張をめぐる問題が取り上げられる中で、本来であればまず確認されるべき非核三原則が、討論の背景へと後退していたからです。
非核三原則は、「持たず、作らず、持ち込ませず」という三つの原則でまとめられており、戦争被爆国としての日本が世界に示してきた重要な姿勢です。これは単なる政策ではなく、核廃絶をめざすうえでの国是であり、どの政権であっても揺らぐことのない基本的な方向性として示され続けてきました。
討論では、公明党の斉藤幹事長が核軍縮や非核三原則の重要性について丁寧な質問を行っていました。その姿勢は、日本が国際社会の中で果たしてきた役割と責任を踏まえたもので、本来議論の軸となるべき問いかけだったと思います。
もし自分が斉藤代表の立場であったなら、冒頭で一つだけ率直に確認したい点がありました。
「高市総理、あなたは在任中に非核三原則を変えることはありませんね。まずその点を国民に明確に示してください」と、
日本外交の基礎である以上、最初に確認すべきはこの一点です。原則への明確な姿勢が示されてこそ、続く安全保障政策の議論にも説得力と方向性が生まれます。
しかし、高市首相の答弁では、非核三原則を改めて強調する明確な表現はほとんど見られませんでした。議論の中心は周辺国の軍事行動や緊張の高まりへの懸念に偏り、肝心な日本の立場は十分に再確認されないままです。また、「政府が総合的に判断する」という言葉が繰り返されたものの、その表現だけでは具体的な核政策の方向性が伝わらず、原則を軸に据えた姿勢が見えにくい状況でした。
もちろん、日中関係や台湾情勢に対する懸念が軽視できないことは明らかです。国際環境が不安定化する中で、現実を踏まえた安全保障議論を行うことは不可欠です。しかし、どれほど情勢が変化したとしても、日本が“何を守り、何を変えないのか”という基本方針は明確であるべきです。非核三原則を国是として掲げ続ける姿勢こそ、日本外交の信頼性を支えてきた基盤です。
今回の討論を振り返りながら、政治家の言葉がもつ意味をあらためて考えました。相手国への懸念を述べるだけでは状況は前に進みませんし、国民の安心にもつながりません。必要なのは、国家の原則を丁寧に確認し、その上で現実的な対応をどう進めていくかを示すことです。
討論の終わりに、私の中にひとつの思いが残りました。
「総理こそ、非核三原則の先頭に立ち、その価値を国内外に明確に伝える役割を果たすべきではないか」非核三原則という日本の根幹を明確に示すことが、これからの外交環境を安定させ、平和をめざす日本の姿勢をより確かなものにしていくはずです。
これからの政治には、緊張を高める発言ではなく、国家としての原則を軸に据えた確かな言葉と説明責任が求められています。非核三原則という基本に立ち返ることこそ、日本が進むべき道を見失わないための大切な一歩だと強く感じました。
党首討論での高市早苗首相と公明党斉藤代表のやりとり

▼公明・斉藤鉄夫代表
どうかよろしくお願いいたします。非核3原則についてお伺いいたします。
高市総理は、米国の拡大抑止と、日本の非核3原則は「論理的に矛盾する」と、著書でお述べになっておられます。そして日本政府では、非核3原則の見直し、また国家安全保障戦略から削除するというようなことが検討されているやにうかがいます。
それは昨日の私の質問主意書への答弁からもうかがえます。
しかし「それでいいんでしょうか」ということを今日おうかがいしたい。
抑止の論理そのものは否定しませんが、しかし、それだけで判断するのはいかがなものか。
総理は、守るべきは非核3原則なのか、国民の命かと、このようにおっしゃっておりますけれども、私は、それはあまりに拡大や抑止論に傾いた、ちょっと日本の総理としてはアンバランスな姿勢を感じます。
私は、国民の命を守るための非核3原則だと、このように思う次第です。
核兵器がいかに非人道的で悲惨か。これは私は多くの被爆者の方からお話を伺ってまいりました。
そして、原爆資料館、そして被爆の実相に触れたG7の首脳の皆さんが、皆さん、核戦争は二度と起こしてはならないという強い決意を持って帰られました。
そういう中にあって、唯一の戦争被爆国の日本がある意味でぶれて、この非核3原則を見直すようなことがあっては、核廃絶は夢のまた夢だと私は思います。
私は先ほどの先日の本会議の代表質問で、強い国家、強い経済、それも大切だ、しかしその先に人の顔が見えているのか、というふうに申し上げさせていただきました。
どうか総理、改めまして、被団協をはじめとする、被爆者の方々の声をもう一度聞いていただいて、考え直していただきたいと思いますけども、いかがでしょうか。

▼高市早苗総理大臣
まず、非核3原則を政策上の方針としては堅持をしております。
その上で「持ち込ませず」につきましては、2010年当時の民主党政権時代でしたが、岡田外務大臣の答弁を引き継いでおります。つまり緊急事態が発生し、核の一時寄港ということを認めないと、日本の安全が守れないというような事態が発生したとすれば、その時の政権が政権の命運をかけて決断し、国民に説明するという、御答弁でございました。
今後ですね、戦略三文書の見直しに向けた作業が始まりますが、明示的に非核3原則の見直しを指示したという事実はございません。
▼公明・斉藤鉄夫代表
先ほどの岡田答弁、これを以後の総理大臣も継承しているということでございますけれども、当時、これはあくまでも非核3原則は堅持すると、そういう立場の上で、究極的な有事の際に、その時の政府が命運をかけて判断するということでございまして、非核3原則を見直すということではありません。
だから、平時に前のめりに、この非核3原則を見直すということがあってはならないと、このように思います。
そしてこの非核三原則を初めて訴えて、国会決議まで持っていったのは、野党時代の公明党でございます。これはあくまでも、国会決議でございます。
ですので、いわゆる閣議決定、政府と与党だけで決めていいというものではないと思います。これらの見直しがあるならば、あくまでも国会でしっかり議論をして、国会の議決を経るべきだと、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
▼高市早苗総理大臣
日本は唯一の戦争被爆国でございます。私も核不拡散条約、これを非常に重視いたしております。
このNPT(=核不拡散条約)体制のもとでですね、これ以上核が拡散しないように、そのための誠実な努力を日本は続けていかなければならないと考えるものでございます。
先ほどの岡田元外務大臣による答弁でございますが、ぎりぎりの決断ということで、そういうことが、万が一そういう事態が起こったらということの中での答弁であられたと思います。
今後しっかりと、現実的な対応も含めて、そしてやはり日本がですね、唯一の戦争被爆国としてこれまで国際社会の平和と安定に、ものすごく貢献してきたということも多くの国が知っていることでございますので。それらを総合的に検討しながら、次の戦略三文書の策定も、細心の注意をもって作ってまいりたいと思っております。
▼公明・斉藤鉄夫代表
時間が来てしまいました。先日、ノーベル平和賞の(日本被団協の)箕牧理事長とお会いしましたけれども、ぜひ堅持してほしいという言葉をお伝えさせていただいて終わります。
