4月9日、鳥取県内の二つの自治体――北栄町と八頭町を訪問し、手嶋俊樹町長、吉田英人町長と懇談の機会を頂きました。地域の魅力と課題を直に伺い、地方創生や地域防災のあり方について率直な意見交換を行うことができました。
北栄町は、全国的にも知名度の高いアニメ『名探偵コナン』の作者、青山剛昌先生の出身地として知られています。この特性を活かし、「コナンの聖地」としての町おこしに力を入れており、町内には「青山剛昌ふるさと館」や、登場キャラクターのモニュメント、駅名標などが随所に配置されています。観光客の目を引くこうした仕掛けが、地域への来訪者数の増加や商店街の活性化に繋がっており、コンテンツを活かした地域振興の好例であると強く感じました。
手嶋町長との意見交換では、災害対応力の強化、南海トラフ震災への対応など、課題を共有することができました。地域の魅力を守りながら、いかに「安全・安心な観光地」として発展させていくかが、今後のまちづくりにおける鍵となると感じております。
次に訪れた八頭町では、地元の鉄道「若桜鉄道」を活用した観光振興が印象的でした。若桜鉄道は1930年に開業し、現在は第三セクターとして運行されています。沿線には昭和の風情を残す木造駅舎や鉄橋が点在し、その多くが国の登録有形文化財に指定されています。終着駅である若桜駅には、かつての転車台や給水塔など、蒸気機関車時代の面影を色濃く残す設備が保存されており、鉄道ファンや観光客を惹きつけています。
また、「隼駅」は大型バイク「隼(ハヤブサ)」と同名であることから、全国のライダーにとっての聖地ともなっており、町をあげての「隼駅まつり」など、イベントによる地域活性化にも積極的に取り組んでいます。
吉田町長とは、こうした観光資源をどう持続可能な形で活かしていくか、また地域住民の生活の安全を守るための防災体制の強化――特に高齢化が進む中での避難支援や防災教育の重要性についても意見を交わしました。
この度の鳥取県訪問を通して、地域がそれぞれの個性と資源を活かし、観光や文化を軸にした振興策と、安全・安心な地域づくりとを両立させようとする姿勢に深い感銘を受けました。防災と地域振興は決して対立するものではなく、互いに補完し合うべき要素であると考えています。