

97/8/29 動燃山村所長よりの事情聴取
動燃は1993年度以降、廃棄物貯蔵庫の改修とそれに伴う建屋建設の予算を要求し、1997年度までの5年間に約9億5千万円を獲得していたことが判明した。実際は浸水対策に追われ、建屋は造っていなかった。科学技術庁は現地を確認せず、1998年度予算の概算要求で存在しない建屋の撤去費用まで積算していた。
今回、浸水が発覚したウラン廃棄物の屋外貯蔵庫に対して、動燃は1992年に「老朽化し、補修の必要が生じている」として、貯蔵庫の上に建屋を建てて、その中に廃棄物を一時移転し、貯蔵庫の補修後に戻す、という計画を科技庁動力炉開発課に提出した。
動力炉開発課はこれを認め、1993年度の動燃予算の積算に建屋の設計費1,600万円を組んだ。
動燃は1994年度予算で建屋工事費、1995年度は廃棄物移転費、1996年度は貯蔵庫補修費、1997年度は貯蔵庫の内壁改修や結露防止対策などの名目で予算を獲得した。
ところが、現地調査で大幅な浸水対策が必要なことが分かり、1994年度以降、予算は土中にある貯蔵庫外壁への防水工事や、貯蔵庫内の水のくみ上げ装置の購入などに使っていた。
動燃は浸水について科技庁に報告しておらず、架空の工事計画で予算を獲得し、浸水対策に予算を流用していたことになる。
そのうえ、1994年に東海事業所のプルトニウム燃料工場の機器にプルトニウムが大量に残留していることが国際的に問題にされたため、建屋関係の予算の大半をプルトニウム関係などに転用していた。
建屋は現在も未着工のままだが、動燃は来年度予算で建屋撤去と整地費用を要求している。科技庁は7,100万円を概算要求に計上していた。
特殊法人である動燃は、予算を科技庁に費目別に積算見積もりを添えて要求する。科技庁は妥当と判断したものを合計して「動燃への出資金」の大枠で科技庁予算に組み込んでいる。したがって、予算の範囲内で費目を流用することがある程度認められている。
しかし、今回のような、あまりにも実態と異なった予算の流用が許されるのか。科技庁の監督責任とともに、今後大きな問題となると思われる。

「節約」について:科技庁から動燃に交付される予算の内、予算執行を節約し浮いた予算を科技庁に戻すことが慣例化している。実際は、当初の予算の中で、その節約分を組み込んで(勘案した)予算が作られているという。「節約」とは、予算の執行を効率化して、予算から浮いて部分を科技庁に戻す金額のこと。
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