7月14日、厚生労働省は、介護保険の見直しによって、今年10月から介護施設の居住費と食費が保険給付から外れることに伴う、施設の介護報酬の改定案について、社会保障審議会介護給付費分科会に諮問し、同分科会は諮問通り答申しました。これにより、年間3000億円の介護給付費が抑制されます。介護保険給付から外された居住費と食費は、利用者から徴収されることになります。
特別養護老人ホームなど介護施設の居住費については、居住環境に応じ、1.少人数ごとに共同リビングがあるユニット型個室、2.リビングはあるが隣室と完全に分かれていないユニット型準個室、3.リビングがない従来型個室、4.相部屋の4つに分類。個室については部屋代と光熱水費、相部屋については光熱水費だけを除いた額を、新たな報酬額としました。
改定後の報酬額は、特養の「要介護5」の場合、ユニット型個室と準個室は現行より4万3500円低い月額25万2600円、従来型個室は3万400円低い26万1100円、相部屋は5400円低い28万6100円となります。
利用者が負担する居住費の額は、施設によって異なり、施設と利用者の契約で決まることになります。低所得者対策を行うために国が示した標準額によると、ユニット型個室で月額6万円、準個室と従来型個室で5万円(特養の従来型個室のみ3.5万円)、相部屋は1万円です。
居住環境 | 新介護報酬 | 減額高 | 利用者 負担額 |
ユニット型個室 | 25万2600円 | 4万3500円 | 6万円 |
ユニット型準個室 | 25万2600円 | 4万3500円 | 5万円 |
従来型個室 | 26万1100円 | 3万400円 | 5万円 |
多床室 | 28万6100円 | 5400円 | 1万円 |
特別養護老人の場合の標準月額
一方、食費については、現行の基本食事サービス費を廃止し、現在、自己負担となっている食材費だけでなく、調理費も利用者負担となります。国の標準額では、月額4万2000円。新たに栄養管理加算を設け、個別に栄養・食事指導した場合などは加算されます。
また、低所得者対策として、年金収入が年間266万円以下の低所得者には、収入に応じて負担上限を設け、それを超えた分は保険から補足給付(特定入所者介護サービス費)を行います。
所得段階 | 自己負担額 | 補足給付 | 備考 |
第6段階 | 5万0000円 | 1万0000円 | 一定の条件で 第3段階と 同じ扱いを行う |
第5段階 | 5万0000円 | 1万0000円 | |
第4段階 | 5万0000円 | 1万0000円 | |
第3段階 | 5万0000円 | 1万0000円 | |
第2段階 | 2万5000円 | 3万5000円 | |
第1段階 | 2万5000円 | 3万5000円 |
特別養護老人ホームユニット個室の場合
参考:第25回社会保障審議会介護給付費分科会資料(PDF形式)