茨城県では、平成15年より県内全市町村と共同で高速・大容量の情報通信ネットワーク「いばらきブロードバンドネットワーク(IBBN)」を構築し、運用しています。県民・企業誰もが便利で廉価に利用できる情報通信環境を整備することにより、情報格差の是正、産業の振興、行政サービスの効率化・高度化を推進するのが目的です。
IBBNは、2.4Gbpsの性能を備えた光ケーブル総延長距離約800kmの情報通信ネットワークです。県内15箇所のアクセスポイントと3箇所のサブアクセスポイントがあり、インターネット接続事業者(ISP)や企業・団体などには無料で開放されています。
現在、IBBNの利用は、行政系の利用が31システム、産業系利用が79社に上っています。
IBBNの運用に関する評価は、昨年11月に実施したアンケート結果によると、大多数の利用企業及び市町村が、IBBNのもたらす効果を高く評価しています。また県においても、県民サービスの向上と行政の効率化が可能となるなど、IBBNの整備・運用は大きな効果をあげています。
県のとりまとめによると、県、市町村及び企業の経費削減効果は下記のとおりで、今年度単体で8億772万円の経費削減効果が認められ、累計では11億4800万円の効果があると試算されています。
分野 | 民間サービスを利用した 場合に要する通信回線費 (A) | IBBNアクセスポイント までの通信回線費 (B) | 通信回線コスト 削減効果 (C)=(A)-(B) | IBBN 運用管理費 (D) | 経費削減効果 (C)-(D) |
県 | 7億3,569万円 | 3億4,063万円 | 3億9,506万円 | 2億7,572万円 | 1億1,934万円 |
市町村 | 6億2,949万円 | - | 6 億2,949万円 | 2億2,401万円 | 4億548万円 |
企 業 | 3億4,698 万円 | 6,408万円 | 2億8,290万円 | - | 2億8,290万円 |
合 計 | 17億1,216万円 | 4億471万円 | 13億745万円 | 4億9,973万円 | 8億772万円 |

IBBNのルータの保守期限は平成23年3月であり、機器の更新が必要となってきました。IBBNをこのまま、直接自治体が中心となって運営していくのか、民間事業者に業務を委託するのか、まったく民間のネットワークシステムを利用するのかなど、早急に方向性を結論づける時期に差し掛かりました。
IBBNによって、県、市町村ともに大きな経費削減効果が出ていますが、一層の運用管理費の低減が求められていることも事実です。さらに、つくばWANなどの他のネットワークとの連携が求められており、今後市町村のIT化が益々進展すると、市町村支線の帯域不足が懸念されます。また、医療、教育、民間の各分野において、今後、動画利用などの増加が見込まれており、これに対応した高速、広帯域なネットワークが求められています。
IBBNを事業継続することには、企業利用者からのニーズが強くあります。一方、行政分野でも、IBBNは県・市町村ともに行政ネットワーク基盤の中核として必要不可欠となっています。反面、民間で提供するネットワークサービスの進捗や普及状況、価格、技術動向を踏まえたうえで、地方自治体が直接運営するIBBNが、いつまで必要なのかを検討すべきであるとの意見もあります。
井手よしひろ県議は、9月議会で行う代表質問でこのIBBNの更新の問題を初めて取り上げることにしています。簡素で効率的な行政ネットワークとして、茨城の発展の基盤を支える基幹ネットワークとしてIBBNを育てていくための議論をスタートさせたいと思います。