鳩山氏献金記録、また食い違い 今度は「した」人も削除
朝日新聞(2009年7月9日)
民主党の鳩山由紀夫代表の虚偽献金問題で、政治資金収支報告書の修正により献金記録を削除された複数の人が、朝日新聞の取材に対し「私は献金している」と話した。鳩山氏の資金管理団体は8割の個人献金者名を削除したが、この修正にも誤りがあった可能性がある。
鳩山氏は先月30日の会見で、自らの政治資金管理団体「友愛政経懇話会」の05~08年分の収支報告書に虚偽の記載がある事実を認めたうえで、同日中に修正報告を提出。その結果、05~07年の3年間分(08年は未公開)では、氏名記載がある88人の個人献金者のうち、家族や秘書らを除く8割にあたる70人について「献金は事実でない」として削除された。
ところが、計20万円分の献金記録を削除された北海道の男性は、修正後の朝日新聞の取材に「私は間違いなく献金した」と言い切った。さらに「なぜ(献金が)消されたのか、私に聞かれても分からない。鳩山氏とは初当選以来の付き合い。事務所に確認してみたい」といぶかしがった。
同様に計20万円分の献金が消された都内の男性も「献金している」。この男性は鳩山氏の父の秘書として働いた経験があるという。「昔からお世話になっていましたから」と献金理由を話す。
ほかにも関西地方の男性など5人が「献金記録はあるはず」「献金していると思う」などと回答。朝日新聞の調べで、少なくとも7人の献金が宙に浮いた状態だ。
鳩山氏側は、調査方法について「書類上の確認」とし、献金者一人一人に確認していないことを明かしており、修正にも誤りがあった可能性がある。
一方、政治家の資金管理団体などへの献金には一定条件を満たした場合、所得税の控除を受けられる制度がある。これを利用するためとして鳩山氏側からの申請に基づいて、総務省が交付した確認印付き書類の数が、05~07年で延べ113人分にのぼることも分かった。これらの人が実際に所得税の控除を受けたかどうかは不明だが、政治資金規正法は控除を受けた場合、収支報告書に名前や住所を記載しなければならないと定めている。
ところが鳩山氏の修正後の報告書を見ると、氏名記載のある献金者はいずれも家族や秘書などで、05年が18人、06年13人、07年16人の延べ47人。3年間で少なくとも延べ66人の計算が合わない。
仮に献金の実態がないのに税の控除を受けた場合は、不正還付の疑いが出てくる。このため、総務省は鳩山氏側に事実確認や交付した書類の返却などの対応を求めている。
調査を一任されている五百蔵(いおろい)洋一法律事務所は、「必要な時は(報道)各社(には)統一で回答する」とだけ文書で答えた。
朝日新聞の長文の引用をご容赦いただきたいと思います。6月7日にこのブログに掲載しました民主党鳩山由紀夫代表の資金管理団体「友愛政経懇話会」の個人献金の修正が、新たな波紋を起こしています。(参考:「鳩山『故人献金』:偽装献金の資金はどこから?」)朝日新聞の指摘によると、少なくとも7人の実際に献金をしたにもかかわらず、収支報告書への記載が削除されたというものです。鳩山代表側は、「書類上の確認」したとして、献金者一人一人に確認していない、とのこと。収支報告書は、実態を全く反映していない、作文であったことが明らかになってきました。
個人献金の大きなメリットである所得税の控除制度のために、献金を証明する書類が選挙管理員会から発行されています。30日に削除された献金に関しては、選管から証明書の返却が求められています。実際に献金をした方が、収支報告者から削除され、その方が所得控除を受けていたならば、問題はさらに拡大することになります。
鳩山代表は、秘書のせい、弁護士に任せている、などなど自身の管理責任を全く認めていません。政治倫理審議会などの公の場で、国民への政治責任を明確にすべきです。麻生首相も党首討論では、この問題だけで鳩山代表との議論を交わしてみてはいかがでしょうか。
<再掲>6月30日付で鳩山代表が修正した「友愛政経懇談会」の収支報告書の内容を精査しました。官報の記載により、平成19年、18年、17年の個人献金を抜き出し、今回、偽装献金を認めて訂正された献金を取消線で示しました。取り消された献金者の名前は、マスキングしてあります。同一献金者であっても、献金の一部が修正された方もありますが、その方は、そのまま実名を示しています。いかに、杜撰な報告書であったか驚かされます。