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茨城県が2026年度採用から国籍条項撤廃

管理者 2025年8月23日
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地方自治体の職員採用における「国籍条項」撤廃は、人口減少と多文化共生が進む現在の日本において、実務と理念の両面から避けて通れないテーマになっています。

茨城県も2025年1月に、事務職の採用で国籍要件を外し、2026年度の採用から外国人に採用の門戸を広げます。公権力の行使や意思形成に関わる職務、管理職への登用は対象外となります。まずは受験段階で門戸を開き、採用後の任用に制限を設ける現実的な設計です。

法制度上の位置づけを整理しておきたいと思います。地方公務員法そのものには「日本国籍が必要」とする明文はありません。今日の実務を支えてきたのは、1953年の内閣法制局見解と1973年の自治省回答で示されたいわゆる「公務員に関する当然の法理」です。要旨は「公権力の行使又は公の意思形成への参画に携わる公務員には日本国籍が必要だが、それ以外の職務には必ずしも要しない」というもので、これが長く各自治体の運用基準の拠り所になってきました。
この枠組みは最高裁によっても確認されています。2005年1月の大法廷判決(東京都管理職選考受験拒否事件)は、管理職を日本国籍者に限る措置は憲法14条(平等)等に反しないと判断し、管理職=公権力の行使・意思形成を前提とする任用制度の合理性を認めています。

こうした「法の骨格」のもとで、自治体は1990年代から段階的に国籍条項を見直してきました。政令市では1996年の川崎市が先鞭をつけ、その翌年には高知県が都道府県として初めて一般事務職まで門戸を広げました。以後、神奈川県や大阪府、沖縄県、三重県、滋賀県、鳥取県、大分県、愛知県、岩手県、奈良県などで、一般職を含む職種での撤廃が進んだ経緯があります。いずれも「公権力・意思形成に関わるポストは対象外」という点は共通です。

茨城県の2025年度採用案内では、事務職について「日本国籍・永住者・特別永住者」に受験資格を開いており、上記以外の多くの職では日本国籍要件が残っていることが読み取れます。非日本国籍者については、採用後の任用に制限が付く旨も明記されています。県が示した2026年度からの方針は、まず「受験段階の国籍要件を外す」方向で、任用・昇任段階の制限は従来の法理に沿って運用するという段差設計です。

県内の市町村レベルでは、既に先行事例が重なります。つくば市は1998年度実施試験から国籍条項を撤廃し、現在も消防士を除けば永住者・特別永住者に受験資格を認める運用で、任用段階の制限を住民向けQ&Aで丁寧に説明しています。牛久市は2016年に撤廃済みで、2025年に「事務・グローバル枠」を新設するなど一歩踏み込んだ仕組みを整えています。笠間市も行政事務で外国籍の受験を認める案内を出しており、県内でも「採用=開放、任用=法理に即した制限」という実務が広がっています。一方、土浦市のように今なお日本国籍要件を維持する自治体もあり、県内の対応は分かれています。

この夏の参議院選での参政党や保守党の台頭により、「国籍条項撤廃」をめぐる主な議論が再燃しています。今回の知事選の争点の一つにもなっています。

賛成の立場からは、第一に住民サービスの質と現実性が挙げられます。多言語・多文化対応、外国出身住民の相談支援、国際交流や観光・企業誘致など、自治体のフロント業務は高度に国際化しており、優秀な人材に出自を問わず門戸を開くことは合理的だという見解です。第二に、法制度が許す範囲で適切に任用制限を設ければ、主権や安全保障への配慮と両立できるという実務上の安心感があります。第三に、国際人権の潮流からも、在留外国人に対する公務就任の門戸拡大を日本政府に勧告してきた経緯があり、国内の人権保障の厚みを増す一歩と評価されます。

反対の立場からは、第一に「国民主権」の観点から、公権力の行使や意思形成に関わり得る業務へ外国籍職員を配することへの懸念が根強くあります。最高裁判決が管理職の国籍要件を合憲と判断したことを踏まえ、実務の線引きが曖昧になると訴訟や行政混乱のリスクがあるという指摘です。第二に、採用後の配置・昇任に制限が残るため、本人のキャリア形成や組織運営(ローテーション、決裁権限)に歪みが生じるのではないかという人事面の懸念があります。第三に、忠誠義務・守秘義務の担保、危機管理・災害対応での指揮命令系統の明確化など、実務上のガバナンス整備が不十分なまま開放だけが先行することへの不安です。

私は、積極的に外国人にも門戸を開放すべきと考えます。
茨城県はすでに「受験段階の開放、任用段階の適正な制限」という方向性を打ち出しました。

今後は、①どの職務が「公権力の行使・意思形成」に当たるかの具体例を県民と受験者にわかりやすく公開すること、②日本語運用力や法令理解、倫理・守秘に関する研修と評価の枠組みを整えること、③多文化対応や国際連携等の局面で外国籍職員の力を生かす配置・専門職ルートを明示すること、④任用制限に伴うキャリアの天井をどう補うか(専門職級の創設、参事・技監等のライン外ポストの活用など)を設計することなどが重要と考えます。

これにより、主権原理と人材確保・サービス向上を両立させる「茨城モデル」を現実の運用として根付かせることができると主張します。

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井手よしひろです。 茨城県の県政情報、 地元のローカルな話題を 発信しています。 6期24年にわたり 茨城県議会議員を務めました。
一般社団法人地方創生戦略研究所
https://y-ide.com
master@y-ide.com

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