7月9日、井手よしひろ県議ら県議会保健福祉員会のメンバーは、所管する県企業局の事業の参考に、長良川河口堰を現地調査しました。
長良川河口堰は、伊勢湾に流入する長良川の河口部に淡水を取水する目的で設置された可動堰です。濃尾平野に流入する主要河川の1つである長良川は、その本流にダムが一つも建設されていないため、水質が良く、豊富な魚種の魚やシジミなどの豊かな資源に恵まれています。
反面、昔から木曽三川(木曽川・長良川・揖斐川)は大雨で大洪水となって周辺の人々に被害を与えてきたため、分流工事や堤防強化、さらにダム建設などの治水工事がなされてきました。しかし長良川は、ダムを造る場所が少ないことから長良川の川底を掘り下げ、大洪水が来ても水を低く流し、水害が起きにくくすることにしました。一方、長良川の川底を掘り下げると、流水断面が広くなり洪水は起こりづらくなりますが、海から塩水が今までよりも上流に遡上しやすくなります。そして、長良川から取っている水に塩分が混じったり、周辺の田畑にも塩分が入り、稲や野菜に悪い影響をあたえることになりかねません。
長良川河口堰は、このような悪い影響が出ないよう、ふだんはゲートを降ろし塩水の遡上を止め、洪水のときには堤防より上にゲートを上げて洪水を安全に海に流す働きをします。
しかし、予測した水需要の伸びが見られないこと、堰による魚類の遡上・降下や水の滞留による水質への影響など生態系への影響が懸念されることなどかあら、自然保護団体を中心に全国的な反対運動が巻き起こり、大きな議論を呼びました。
度重なる交渉を経て、1995年、約1400億円の総事業費をもって可動堰は完成しました。その後も、環境影響に関する調査等は継続され、その情報は市民に公開されています。
参考:長良川可動堰のオフィシャルホームページ
参考:長良川河口堰の建設をやめさせる市民会議のホームページ