9月3日、井手よしひろ県議は、取手市立井野小学校を訪れ、校庭の除染作業の模様を実際に調査しました。
井野小は、8月23日付けの線量率検査測定で地表1cmで0.290マイクロシーベルト/時(以下単位は同じ)、50cmで0.272、1mで0.258の放射線量が計測されていました。この日は、午前9時前に教職員や児童の父兄、市の教育委員会関係者など約100名が集合し、約1時間半手分けして除染作業を行いました。取手市での除染作業は、作業のノウハウも積み重なって手際良く進められました。局所的に高い場所は事前に専門の担当者によって除染が完了しています。広い校庭は、軽トラに引かれたH鋼で、地表面を削る作業が進められました。集められた表土は、大きな袋に入れられ校庭の一隅に一時仮起き去れ、後日重機によって穴を掘って埋められます。
校庭の表土を削るためには、H鋼に牽引用のフックを溶接した器具を活用しています。地元の橋梁建設メーカーが製作し、取手市に寄贈しました。
取手市では5月から市が独自に市内の教育施設の校庭などで放射線量測定を行ってきました。測定の結果、最高で1時間当たり約1.3マイクロシーベルトの放射線量が検出されたことから、子どもの健康への影響を心配する保護者からは放射線対策を望む声が上がりました。
この声を受け取手市は、7月27日には市議会臨時会を招集し、2454万円の放射線対策の補正予算を計上。これを基に市内の公立小・中学校と私立を含む幼稚園、保育所の全52施設で校庭の表土を削り取るなどの除染作業を実施することが決定しました。全教育施設での放射線量低減対策の実施は、茨城県内では取手市が最初です。
この素早い対応には取手市議会公明党(貫井徹幹事長)のさまざまな働き掛けがありました。保護者からの「放射線に対する具体的な対策を」との声を基に、5月13日には「放射線量測定に関する要望書」を藤井信吾市長宛てに提出。適切な情報提供や測定地点の増設、定期測定の実施などを要望しました。また、6月定例会の一般質問でもこの問題を取り上げ、市民の不安解消に向けて尽力しました。
教育施設での除染作業が始まると、率先して作業ボランティアに参加。この日も公明党市議3人が、子どもたちの学習環境を守るために、関係者とともに汗を流しました。
一方、茨城県は9月1日、土壌などの放射線量を低減する除染活動についての手順や注意点をまとめた手引を作成し、ホームページで公開しました。対象は保育園、幼稚園などとしていますが、県南地域を中心とする市町村で独自に学校の表土除去を行う動きが広がっていることから、小中高校や学校以外の施設などの除染にも応用できる内容です。
この手引は、県が日本原子力研究開発機構の協力を受け作成しました。8月中に守谷市の幼稚園と北茨城市の児童施設で実施した放射線量低減化の実験結果を基に、独自に作成したものです。
手引き書の前文では、約1cmの土壌を取り除くことで、大きな放射線量の低減効果があると指摘。また、雨樋の直下等、雨水が流れ集まる場所は、局所的に線量が高くなっている場合があるため、削り取る深さや範囲を大きくしたりするとともに、子どもたちの行動範囲を勘案することが重要と説明しています。
園庭などの広い面積の表土削ぐ場合には、パワーショベルやブルドーザなどの重機のショベルを立て、バックさせさながら、土壌を約1cmそぎ取る方法を例示しています。
取手市の事例では、H鋼を加工して車両で牽引するやり方も有効です。
除去した土砂や落ち葉などの処理については、校庭等に穴を掘って、ブルーシート等で養生し、埋設(約40~50cmの覆土)する。もしくは、校庭等の一角にブルーシートで養生し、念のためトラロープ等で立入制限をするか、仮置きの表示等をしたうえで、一時保管する、としています。
さらに、注意事項としては「茨城県においては線量が低いことから、高圧水洗浄については使用により放射性物質が周囲に飛散する可能性があるため、使用を避けらた方が良い」とアドバイスしています。
8月下旬に実施した県立学校の放射線量測定で雨どいなどで線量が1マイクロシーベルト/時を超えた箇所について、この手引を活用して試験的に除染を行ったところ、放射線量が4割から9割程度低減するという結果が得られました。
