現行制度は少子高齢化を計算済み、積立金も問題なし
2004年に改革した現在の年金制度は、今後の少子高齢化も織り込んで計算し、持続可能な制度になっています。もちろん、その時々の経済状況や賃金上昇率などで微調整が必要ですが、大枠は現行制度で安心して大丈夫です。
一つは生涯平均年収が420万円を超える大多数の中堅サラリーマンで、今よりも年金額が減るということです。低所得者への月額7万円の最低保障年金も、実現は40年後です。
また財政的にも大きな問題があります。政府は15年に消費税率を10%に引き上げるとしていますが、民主党の年金改革案だけで、将来10%の税率が必要になるとの指摘もあります。合計20%になり、非常に無理があると言わざるを得ません。
低年金者への対策が急務。年金額のかさ上げに取り組みます
現行制度で低年金の方への対策は急務です。単身世帯で年収150万円未満、夫婦で同200万円未満の方には年金額のかさ上げが必要だと考えます。例えば、現在は基礎年金の5割を国庫負担としていますが、低所得の方には6割まで引き上げる。そうすれば月額6万6000円の国民年金は、8万3000円となります。
2009年度に約151兆円あった積立金が121兆円あまりに減っているとの指摘がありますが、595の厚生年金基金への貸し出し分など20数兆円が返ってこないとの前提に立っています。しかしこれまで順調に返ってきています。
ただ、今は団塊の世代が高齢者となり、急激に年金をもらう人が増えており、財政的には厳しい時期ではあります。しかし今後、厚生年金は最高で年収の18.3%(事業主と本人で折半)まで保険料率を引き上げることになっているので、年金財政は安定してきます。
この問題は公的年金の話ではなく、「3階部分」と言われる厚生年金基金(私的年金)の問題です。3階部分は企業などが独自に運営しており、公的年金とは完全に切り離して考えなければなりません。公的年金の安定性に問題はありません。