先週末から日本列島を襲った台風24号の影響で、静岡県を中心に大規模な停電が発生し、一時は岐阜、愛知、三重の各県も含めて被害は99万戸にまでに及びました。
電力会社が送電設備などの修理を進めているが、一部地域ではいまだ停電が解消されていません。一日も早い完全復旧が望まれます。
停電は住民の暮らしに大きな影響を与えます。家電製品が使えないだけでなく、集合住宅では給水タンクに水をくみ上げるポンプが動かなくなり水道も止まりました。信号機が点灯しなくなった交差点では接触事故が頻発しました。
先月には、北海道胆振東部地震により道全域が停電する「ブラックアウト」が発生しました。災害の発生は防ぎようがないだけに、被害を最小限に抑える手だてに知恵を絞る必要があります。
まずは今回のような送電設備の被害を避けるため、耐震強化や電線の地中化といった取り組みを加速させなければなりません。
その上で、何より重要なのは、電力の供給体制を見直すことです。再生可能エネルギーを軸とした「分散型電源」が注目されている理由がここにあります。
分散型電源は、太陽光や風力、地熱、中小水力、バイオマスなどを利用するもので、火力や水力、原子力といった主力電源が止まった際に、これを代替する役割が期待されています。
政府は既に、分散型電源を災害時に活用するための取り組みを進めている。「仮想発電所(VPP)」という技術です。
これは、再生可能エネルギー発電などの供給側と家庭や企業などの需要側をインターネットで結び、主力電源による供給が止まった時に、他の電源が瞬時に穴埋めする仕組みです。
政府は2020年以降に、約1万5000世帯分の電力需給を賄える規模のVPPを整備する方針を明らかにしています。
ただ、再生可能エネルギーの活用には、大規模な蓄電池の開発や余剰電力を水素にして蓄える技術の開発が欠かせません。こうした課題を一つ一つ乗り越え、災害に強い国づくりを進めていかねばなりません。