
9月21日、土浦市三中地区公民館で開催されたNPO茨城県防災士会主催の「スキルアップ研修会と認定講師候補者によるプレゼンテーション」は、学びと交流に満ちた充実した半日となりました。
冒頭、理事長の川上政和さんが挨拶に立ち、「防災士一人ひとりが地域に根差した活動をさらに深めるため、今日の学びを活かしてほしい」と語りかけました。さらに、「今後は小学校でのマイタイムライン研修に力を入れていきたい。その担当講師として、ここに集まった皆さんが大いに期待されています」と述べ、会場に集まった防災士たちへの期待とエールを送りました。
スキルアップ研修では、マイ・タイムラインA級リーダーの吉川清信さんが「マイタイムライン」について講義を行いました。吉川さんは10年前の常総水害の経験を例に挙げ、当時の混乱や避難判断の遅れが多くの住民に深刻な影響を及ぼしたことを振り返りながら、マイタイムラインの意義を具体的に語りました。特に「逃げキット」を活用した実践的な講座は印象的で、非常持ち出し袋の中身を確認し、何を優先的に持ち出すべきか、どのタイミングで行動するかを参加者が自ら考えるワークショップ形式で進行しました。参加者は配布されたシートに家族ごとの行動計画を書き込み、災害時に迷わず避難できるよう準備する重要性を実感していました。

後半は、認定講師候補者によるプレゼンテーションが行われました。最初に登壇した水谷浩子さんは、自身が制作した「やさしいにほんごで防災かるた」を紹介し、外国人住民や子どもたちが言葉の壁を越えて楽しく防災知識を身につけられる方法を提案しました。
5・7・5のリズムで覚えやすい読み札と、英語の解説が併記されたカードを使い、誰もが参加できる防災教育の実践例として注目を集めました。
<水谷浩子>やさしいにほんごでぼうさいかるた(白泉社のHP)
https://goods.hakusensha-shop.jp/products/detail/2785

また、桑野あゆみさんは、「見えない障がいをもつ方の防災」をテーマに発表。難病患者のための防災対策と避難行動についての情報を参加者と共有しました。
平常時から、家族と連絡方法や集合場所を確認。主治医と相談し、避難時の注意点を把握。家の中の安全確認や家具の配置換えを行うことの重要性が、強調されました。
さらに、難病患者が考えた「難病患者ならではの必需品」として、日常服用している薬や医療器具を準備。ヘルプマークやお薬手帳の持参。そしてマイナンバー健康保険証の常時携帯が大事と訴えました。
難病患者のための防災ガイドブックvol.2改(発行者:難病カフェ アミーゴ・桑野あゆみ)
https://www.amigo-55.jp/library/661e02299afbd61ce471d52f/6837042f74dd2d0679647256.pdf
他にも、飯田弘文さんや笹島俊秋さんのプレゼンも発表され、若林美智子委員長から、「一つひとつの提案が地域防災力を底上げする貴重な視点であった」と高く講評されました。
今回の研修会は、単なる座学ではなく、常総水害という具体的な教訓を踏まえた実践的な学びや、多様な立場からの発表を通して、参加者が「明日から地域でできること」を具体的に持ち帰る機会となりました。