
本人と家族の所得に応じて決められていた費用負担が、要介護度による費用負担に変わります。

現行の福祉制度では、特別養護老人ホームの措置費はひとり当たり271000円と決まっています。
入所者の負担は、本人と家族の所得によって0円から24万円まで様々な段階の費用が徴収されています。平均負担額は45000円になっています。
ホーム側は、入所者の状態(軽い状態か重い状態か)に係わらず、一定の措置費が入りますので、入所者は固定化する傾向があります。つまり、ほとんどの入所者は、生涯を特養ホームで過ごすことになります。

介護保険導入後は、要介護度別の定額給付となります。
要介護度判定を最低でも6ヶ月に1回行い、それによって入所者の給付額も変化することになります。
ホームしては、できるだけ要介護度の高い入所者を増やした方が、経営的に有利となります。ホームでの介護によって入所者の状態が好転して、要介護度が低くなったときは、成功報酬が支払われることになります。
入所者は、費用の1割を負担します。その他に、食事代も請求され、要介護Ⅲの入所者で自己負担額は49950円程度になります。(特養一泊の仮単価が9050円/日で自己負担はその一割、食事代負担が760円/日)
更に、毎月の介護保険料2885円も徴収されますので、負担額は5万円を超えることが予想されます。
従って、低所得者にとっては、負担が大幅に増加することになりますので、負担の軽減策が講じられることになっています。
特別養護老人ホームは、現行の職員配置基準4:1(入所者4人に対し職員1名)が3:1へ改善されます。
現在、自己負担となっている「おむつ代」は、保険給付の対象とすることになっています。
要支援(虚弱状態)の被保険者は、施設サービスを受けることは出来ません。
介護保険制度の中では、特別養護老人ホームの入所者は、その要介護度の高低によって保険の給付金額と自己負担額が変わります。
そのことによって、入所者側には、所得が低い場合、大幅負担増が予想されます。政府は、軽減策を検討していますが具体的にどの程度の軽減になるかは、現在具体的になっていません。
反対に、平均以上の所得のある入所者は、最高で24万円の負担が5分の1程度に軽減されることになります。施設サービスが非常に活用しやすい状態になります。
ホームの経営の立場から考えると、要介護度が低い(ⅠからⅢ程度)場合は、保険給付が低くなるので、できるだけ重い症状の入所者を入れる傾向が生まれると予想されます。また、要介護度判定が定期的に行われますから、状態を改善しようとする努力が行われないといった、本来の主旨とは逆行する結果になることが懸念されます。
更に、現在入所している人に関して、要介護判定を行った場合、保険給付金が現行制度より下がることが見込まれており、施設によっては経営に深刻な影響を及ぼすこともあります。
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