2月25日、農業懇話会に出席のために八千代町に急ぐ途中、国道沿いのあるドラッグストアに立ち寄りました。ここ数日、カミソリ負けのせいか、口の周りが赤くかぶれてしまったため、ぬり薬を購入しようと思いました。薬品の並ぶカウンター前で、「薬剤師の方はいますか」と、商品整理をしていたパートさんに声を掛けました。すると「今日は薬剤師さんは休みです」との答えが返ってきました。「では、薬を相談したいのですが誰かいますか」と更に尋ねると、別の女性従業員が出てきました。その従業員さんいわく、「薬剤師は今、席を外していますので私が承ります」と。ここまで来ると、このドラッグストアは、『薬剤師がいないにも拘わらず営業をしていたのでは』との疑念がわいてきました。
早速、店長さんを呼んでもらい話を聞くと「本来、薬剤師が不在の時はレジを締め、薬品売り場もチェーンで囲い販売を停止することになっていますが、今日は不手際で販売をしていました」とのことでした。
現行の薬事法は、医師の処方せんを基に調剤ができる薬局と、薬店の中でも薬理作用が強い大衆薬(指定医薬品)を扱える薬店(一般販売業)には、薬剤師の常駐を義務付けています。このドラッグストアは薬店であり、薬剤師が不在の時は、薬品売り場を閉鎖しなくてはいけません。
国内には薬剤師が24万人登録されています。一方、薬剤師が常駐しなければならない薬局・薬店は6万店余で、数字の上では全店に常駐させることができます。しかし実際は、就職先として病院や製薬会社の方が圧倒的に人気があり、薬局・薬店は薬剤師の確保が非常に難しいといわれています。2002年の厚労省の全国調査では、指定医薬品を売る薬店の16%、薬局の2%弱で、薬剤師が不在だったという結果がでいています。
しかし、人のいのちに関わる大事な商品を販売するドラッグストアで、それも来客が多い土曜日に薬剤師不在のまま営業を行う感覚には、問題があると思います。
なお、昨年7月には、大阪のドラッグストアが、薬剤師を常駐させていなかったとして、16日間の営業停止処分を受けています。
大衆薬のリスクを3ランクに分類、厚労省が薬事法改正案
厚生労働省は、この通常国会に薬事法の改正案を提出する予定です。現在売られている薬品のリスクを3ランクに分けて、店側がきちんと消費者に説明し、買う側にも薬の副作用の度合いなどが分かるように販売ルールを改めます。国会で成立すれば、2008年から実施されることになります。
新制度では、大衆薬はリスクに応じてA~Cに3分類されます。A~Cのランクは、すべての大衆薬の外箱、容器に表示されるようになります。医療用医薬品から大衆薬に転用された胃腸薬「H2ブロッカー」など、高リスクの薬はランクAとされ、販売できるのは薬剤師が常駐する薬局と薬店のみに限定されます。
解熱・鎮痛薬の「アスピリン」など中程度のリスクの薬はランクB、ビタミン剤など低リスクの薬はランクCに分類されます。これらはすべての薬局・薬店で扱え、薬剤師の常駐は必要なくなります。しかし、販売従事者としての資質確認のため、薬事法や副作用に関する知識を問う試験を新設し、合格者でなければ販売できなくなります。