5月13日、日立市の南部久慈町を流れる瀬上川の溢水(いっすい:水が溢れること)対策に関する説明会が、久慈交流センターで開催されました。
この説明会は、地元住民らでつくる瀬上川対策期成会の求めに応じ、日立市と茨城県高萩土木事務所が毎年開催しています。期成会のメンバーを始め、地元選出の県議、市議も参加し、溢水対策の進捗状況の説明を受けるとともに、地元からの意見、要望を交換する場となっています。
瀬上川流域の浸水被害の原因は、①瀬上川自体の高潮や長い周期の波による溢水による被害、②急激な降雨により、排水施設の能力を超え排水路より溢水する、③瀬上川の水位が上がることによって、既存の雨水排水管の処理能力を超え水が溢れる、の3点が上げられます。
瀬上川本線の改修
瀬上川本線の改修は、平成6年度に延長850mの内、780m全面的な工事が完了しました。しかし、台風や高潮の際、長い周期(130秒~160秒)の波浪が、上流に行くにしたがって高くなるという現象が起きるようになりました。
そのために県では、①河口部に30mの波除堤を設置する、②下流部に波を減衰させる池(減衰池)を設置する、③上流の護岸の嵩上げ、暗渠河道の改修、などを行い、①と②については概ね完了しました。
当初、水門を設置しポンプアップによる対策を要望していた住民は、その効果に疑問を持つ声もありました。しかし、平成16年、17年の経過をみると、波除堤と減衰池によって波の高さは、大きく減衰され、具体的な被害は報告されていません。
今後は、日立電鉄線の廃線に伴って利用されていない旧久慈浜駅の土地利用と関連して、上流部の整備をどう進めかが課題となります。
ふきあげ調整池の整備
日立市では、瀬上川流域の排水路への雨水流出を軽減させるために、久慈町2丁目のふきあげ児童公園の地下に調整池を建設しています。この工事は、昨年9月から始まり今年夏までには完了する計画です。地下に、長さ30m、幅25.2、深さ2.5mの貯水槽(容量2100t)を、総工費1億7500万円を掛け整備します。
これにより、急激な降雨による溢水被害が大幅に軽減されることが期待できます。
瀬上川右岸の雨水排水路の改良
日立市では、平成17、18年度の事業として、瀬上川右岸の久慈町3、4丁目地内の排水管の取り替えと瀬上川へのポンプアップ施設の整備を行います。
現在、この地域は直径60cmあまりの排水管が敷設されていますが、処理能力が足らずに、排水が溢れる結果となっています。また、瀬上川の水位が上昇すると、排水路から瀬上川への排水口が 閉められる構造になっています。そのあめ、排水路の断面を大きくし、瀬上川へポンプアップする施設を、来年3月までに整備することになりました。
工事は、6月から具体的に始まります。その際は、関係する道路が順次全面通行止めなりますので、注意が必要です。