KDDI茨城通信センターのパラボラアンテナの利活用計画が進んでいます。このパラボラアンテナは、高萩、日立両市にまたがる18万平方メートルの台地に立ち、1963年11月に開設されました。日本で最初の衛星通信地球局です。初めてのアメリカからの衛星テレビ中継で、ケネディ大統領暗殺の歴史的なニュースを受信したことで有名です。今年度一杯で役割を終え、撤去解体されることになっていましたが、地元のランドマークでもあり、跡利の利活用が望まれていました。
今年春、茨城大理学部の横沢正芳教授(59)らの研究グループから、電波天文台への転用の提案があり、井手よしひろ県議らが地元首長らと、計画の実現に向け県や関係機関への働きかけを行っていました。
井手県議は、8月に県企画部長に対して横沢教授らの要望を伝え、9月議会では県の積極的な関与を求めて一般質問を行いました。また、地元住民も電波天文台への活用を求める署名を県に提出しました。
こうした流れを受けて、県、日立市、高萩市、茨城大学、国立天文台そしてKDDIとの具体的な交渉も、着々と進展をしています。12月中旬には、関係者が一堂に会しての話し合いがもたれました。22日には、地元自治体から、茨城大学への協力要請が正式に行われました。
現在までの協議の中で確認されている内容は、①KDDIは来年3月に土地・建物を日立市と高萩市、茨城大学に無償で譲渡する、②茨城大学は、国立天文台と連携してパラボラアンテナ2基を電波天文台として活用する、③電波天文台の稼働は平成20年度をめざす、④県、日立市、高萩市は平成19年度に敷地、施設の利活用計画を策定する、などとなっています。
また、KDDIとして施設は閉鎖されますが、来春の桜の花見は従来通り実施される見込みです。
KDDl跡地利活用を県と日立・高萩市茨城大に協力要請
茨城新聞(2006/12/23付け)
来年二月に山口県内に機能移転するKDDIの茨城衛星通信センター(日立、高萩両市)について、地元2市と県は12月22日、跡地の利活用に向け茨城大(水戸市)に協力を要請した。
同センターはパラボラアンテナを電波望遠鏡に転用する計画が進み、茨城大が参加を予定。自治体側は建物など付属施設も教育文化施設に転用する方針で、この運営に茨城大の協力を求めた。
草間吉夫高萩市長は「子どもたちの理科離れが進んでいる。科学技術を支える人材を確保し、地域連携を促進する観点から、教育研究事業に参画し事業展開することを要望する」などと話し、要望書を菊池龍三郎学長に手渡した。
パラボラアンテナは、国立天文台がつくば市と鹿嶋市、長野県内の3カ所にあるパラボラとネットワークで結び、世界最高水準の電波望遠鏡プロジェクトを展開。茨城大は超新星爆発や星の誕生など目に見えない天体の研究、観測に利用する。
計画ではKDDIはセンター閉所後、来年3月に土地建物を自治体側に譲渡。自治体側は来年度の一年間をかけて利活用方法を検討する。電波望遠鏡は2008年度から稼働する予定。(黒崎哲夫)

